すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

エクセレントなサイレント

2018年10月23日 | 雑記帳
 これも一度は生で観ておきたい芸の一つだった。「がーまるちょば」。全国ツアーが大曲にやってくるので早々に予約し、2列目ほぼ中央という絶好のポジションで堪能した。パントマイムのパフォーマーとして知名度は高く、小学生から七十代?までたくさんの方が来場していた。



 映像でお馴染みの鉄板ネタのほかには、舞台でしか見られないストーリー仕立てなど、世界的な活躍も頷けるパフォーマンスだった。なにしろ一切「言葉」を使わずに2時間超をこなすわけだから、その工夫と技術はかなり洗練されている。見えないものを見させる圧倒的な力だ。


 人間の細かな動きを緻密に見つめ、再現する。老人が若い頃を思い出して演ずる入れ替わりの場面や、走って逃げる様子をスローで表現するところなど、ほおーっと会場からもため息がもれるようだった。そうした技能の確かさと共に、観客を惹きつける構成、仕掛けも見事だった。


 ライブではステージ上からよく観客に盛り上がりを要求することが見られる。ここでも冒頭からそういう動きがあったが、それが実に上手だ。言葉で指示できない分、自らの表現(声と動き)で見本を示し、分割、競争、評価、煽動等をうまく組み立てて、観客席を速攻で温めた。


 さらに観客参加を促すネタを取り入れる。ステージに上げるだけでなく、観客席に下りて仕掛けていくネタもあり恐れ入った。あるネタでの印象的な音フレーズを、最後の長編ネタに再び登場させるなど、くすぐり、繰り返す笑いが追求されている。まったく見事なコメディだった。