すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

分かる本、感じる本再読

2018年10月06日 | 読書
 選書の基準など考えたことはないが、再読したいと思う気持ちが湧く本には何かを求めているはずだ。「分かる」それから「感じる」ということかな。手元に本がなくなったので書棚から引っ張り出した2冊を読み終え、そんなふうに思った。タイプはまったくちがうけれど、お気に入りの著者、愛読書とも言えそうだ。


2018読了93
 『疲れない脳をつくる生活習慣』(石川善樹  プレジゼント社)

 この予防医学研究者の論述は、明快で前向きだ。数年前から「マインドフルネス」を広めた功績は大で、改めてページをめくっても実に読みやすい。前回は教育と姿勢についてメモしたと記憶している。今回は冒頭の20世紀の心理科学者の発見「人間が1日に使える意思決定の量は限られている」が、ずんと心に響く。

 それを使い果たすと「理性ではなく欲望がわたしたちを支配」するそうである。そうなると、いかにその場をコントロールするかが疲れないための鍵となる。至極当然のことのようだが、情報過多社会では、生活全般の管理が必須となる。だからこそ、結論「『考え方』を変えるより『注意』を変える」の習慣化なのである。



2018読了94
 『つむじ風食堂の夜』(吉田篤弘  ちくま文庫)



 「吉田篤弘イヤー」を宣言して九ヶ月。そもそも発端となったのはこの文庫本である。一昨年の12月に読んでいる。いわゆる「月舟町三部作」の本は、全て読み切ったが、このシリーズで描かれる好きな風景を拾い出すと、どうやら「路面電車」「坂道」「昔からの商店街」というイメージか。実に心地よく身を置ける。

 先日読んだ「レインコートを着た犬」同様、やはり「ここ」がテーマだ。「私は、ここにいる」と語るとき、その「ここ」はどこを指すかという問いが同じように登場する。PCの前、自宅…秋田、東北…どんなふうにも答えることは可能だが…。具体的に自分が立つ場を宣言すれば、そこに宿る心は意識せねばならない