和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

情報公害と過疎の町。

2014-06-03 | 地域
注文してあった
樺島忠夫著「日本のことば」(ポプラ社)が届く。

夢屋(北九州市戸畑区中原西)
800円+送料300円=1100円
古本感はあるものの、読むに支障はなし。
表紙をひらくと、ペン字で
「○○様 樺島忠夫」と署名入りでした。
とりあえず、ネット古書店で一冊しか
検索できなかったので、注文したのですが、
それが署名入り。まずはめでたい(笑)。

そそくさと、第一章と、最後とをひらく。
本文の最後に、
塩田丸男著『情報公害』からの内容引用があります。
中学一年生に、電話で、ある場所への道順を聞く。
というエピソードでした。その中学生は
図式を描くのは、お手のものなのに、
電話では、まるで答えられなかったのだそうです。

「私はやっぱり、
知識(情報)の全面的な視覚化は、
コミュニケーションを阻害する
要素を持っていると思わずには
いられない。」(p235)

「テレビや劇画の影響で、
絵で表現することはできても、
ことばによって表現することは
得意でないというのでは、
情報公害の被害者になっていると、
考えなければならない。」(p236)

こう、樺島忠夫氏は、まとめられております。


さっそく、以前に整理し並べた未読本棚に、
塩田丸男著「文章毒本」(白水社)があった
のを思い出して、とりだしてくる。
こちらも、本文の最後をめくる(笑)。

そこに、こんな箇所。

「私の生れ故郷は山口県の日本海側の一寒村で、
人口二千人足らずの過疎の町である。
過疎になったのは人々がつぎつぎと都市へ出て
いってしまったからだが、町の郵便局長が
志のある人で、町を出て全国にちらばっている人
たちに、生れ故郷のことを忘れないようにと、
年に四回、謄写版刷りの『ふるさとだより』を
つくって郵送している。・・・
B4版の紙一枚だけの『ふるさとだより』には
町の人々の消息などが記されているだけであり、
格別のことは書かれていない。
文章もお世辞にもうまいとはいえない。
しかし、故郷のことを忘れずにいて下さいよ、
という郵便局長の熱い気持は
紙の表にも裏にもあふれている。
それが読む者の心を搏つのである。
文章といものの究極は、ここではないか、
と私は痛切に思う。」(p235~236)

ちなみに、塩田丸男さんは
1924年生れ、読売新聞記者になりました。

さてっと。高齢過疎の町に、私は住んでおり
郵便局長の思いは、人ごとではありません。


もどって、樺島忠夫著「日本のことば」は
入門書の結構をそなえた一冊で、
これ、手に入れてよかったです(笑)。

本購入の経緯を追記すれば、
ブログ「ことばの本の森」2014年5月30日に、
樺島忠夫著「日本のことば」(昭和49年発行)
の紹介文が載り、その文への興味から注文。
コメント
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