和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

詩を書く食卓で。

2014-06-16 | 詩歌
坂崎重盛氏の古本が3冊とどく。
古書店ふくろう(岩見沢市幌向北1条)
文庫350円×2冊・新書450円×1冊で1150円
送料350円で、合計1500円。

まずは、
坂崎重盛著「『秘めごと』礼賛」(文春新書)
の「まえがき」をひらく。

「・・しばらく前、テレビで『家族が一番あたたかい』
とかいったコピー・・・が流れていたことがある。
作品として非常に完成度が高いものだっただけに、
私は、いっそう嫌なものを感じた。
高々とヒューマニズムをうたうふうではあるが、
その実、人間を無視している、と思ったのである。
都会で一人さびしく暮す人、田舎で
孤独に耐えつつも家を守る人、あるいは母子家庭、
父子家庭で生きる親子、また、心ならずも家庭内
にトラブルを抱えている家族
――そういう人たちへの心くばりが感じられない。
このコマーシャルは健全な家庭重視、
理想的な家庭重視という、誰もが否定しにくい
メッセージ(思想)をタレ流している点で、
かなり『悪質だ』と思った。・・人が選び歩く道は、
いつも整然と舗装された道とはかぎらない。
ときに自ら好んで路地や横丁に迷いこんだり、
あるいは林の中を枝をかきわけながら
進まねばならないこともある。」(p4~5)

さて、本文を読むのは後回しにして、
思い浮かんだのは
田村隆一詩集「水半球」にある
詩「都市論」でした。その詩のはじまりは
詩の引用からでした。

「W・H・オーデンは云う――
『すなわち、名誉を重んじる人間が、必要とあらば、
そのために死ぬ心構えをしていなければならない
半ダースあまりのもののうちで、遊ぶ権利、
とるに足りないことをする権利は、決して
小さな権利ではないということである。』
 夕方、農夫がするトランプ遊びも、
詩人が食卓で書く詩も、共同体をはなれては
不可能なゲームである。そして、ゲームであれば、
ルールがあるだろう。そのルールやロゴスの
自由を保障するものが共同体であり、
そういう共同体こそ、農夫や詩人にとって、
真の意味の『都市』なのである。したがって、
経済効率と情報だけが支配する『都市』は、
名誉を重んじる人間、つまり『個人』が
生きることはできない。・・・」

この詩の最後も引用。


「詩人と都市との関係は、不可分というよりも
文明としての有機的な関係である。
詩人と都市とが有機的に結びつかない以上、
ぼくらの文明は、詩人も都市も持たないことになる。

きみに食卓があるか?夕方、トランプをしたり
詩を書いたりする死者の食卓が?」


ちなみに、
坂崎重盛は、1942年東京生まれ。
田村隆一は、1923~1998年。東京生まれ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする