和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

貴重なオナラの話なのだ。

2014-06-17 | 古典
読もうと思っても、つい脱線していた今昔物語集。
今度こそはと読み始めたのが、
水をえたように、泳ぎまわる一冊(笑)。


山口仲美著「すらすら読める今昔物語集」(講談社)

古本で注文したのは、
高原書店(東京都町田市森野)

「すらすら読める今昔物語集」864円
「クレオール物語 小泉八雲名作選集」文庫1080円
送料320円。 以上合計2264円


山口仲美さんの新刊の新書が出ており、
その新刊を買う前に、そういえばと
思い出して読み始める。以前に読んだ
山口仲美著「日本語の古典」(岩波新書)の
今昔物語集の箇所が印象に残っていたのでした。
その印象の箇所も、「すらすら読める・・」に
登場しておりました。この帯には
「総ルビつき原文・著者オリジナル現代語訳つき」
とあります。選りすぐりの11の話を
説き明かしてゆきます。

そこから一箇所とりだすと、
巻28の第10話
「近衛の舎人の秦武員、物を鳴らすこと」。
これはオナラの話。ルビつき原文で3ページ。
それも原文の下に現代語訳。そして、そのあと、
6ページほどの著者の感想。
感想のはじまりは「私は、この何気ない
小さな事件がことのほか気に入っている」。
そうそう、オナラに、今昔物語の当時も、
そして現代も、違いはありません。

山口仲美氏は
「・・自分自身が似たような出来事に遭遇していることである。・・お年を召した大学教授と私は同室であった。大きな研究室で、助手の若い女性三人もその部屋に机を並べていた。私もまだ若かった。それぞれ壁に向いて机が配されている。皆、机に向かって一生懸命仕事をしていた。いきなり、『ぷーっ』という派手やかなオナラの音がした。・・・」


さて、「派手やかなオナラ」のあと
しばし間があって、ひと言。
うん。それは読んでのお楽しみ。

いきなり、今昔物語と現代とが重なってくる。
うん。ここまでにしておきます(笑)。

ちなみに、
私は、家では見境なしにオナラが出るタイプ。
つい、身につまされる(笑)。

そうそう。
この話の最後を、
山口仲美さんは、
こう締めくくっております。

「オナラの話が気に入って、
私は『今昔物語』に収録されている1040の
説話をことごとく読み直してみた。たいてい、
類話があるのだが、オナラの話には類話がない。
ここに掲げた一話だけである。
貴重なオナラの話なのだ。」(p140)

コメント
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