Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

ホールとサロン(2)

2023年09月05日 06時30分00秒 | Weblog
エフゲニー・スヴェトラーノフ: 12の前奏曲
ラフマニノフ(田所編):    ヴォカリーズ Op.34-14
チャイコフスキー:歌劇『地方長官』の主題による「ポプリ」
ヘンゼルト:          12のサロン風エチュードより
 アヴェ・マリア Op.5-4
 愛の詩 Op.5-11
グラズノフ:          サロン風ワルツ Op.43
ラフマニノフ:         サロン小品集
 ワルツ Op,10-2
 ユモレスク Op.10-5
チャイコフスキー(プレトニョフ編): 演奏会用組曲「くるみ割り人形」Op.71

 「くるみ割り人形」目当てで行ったコンサートだが、「ホール」というのに「サロン」的な雰囲気が楽しめる、不思議な会場である。
 ショッピングセンターの中にあるせいか、買い物帰りと思しきマダムたちや子ども連れの姿があって、アットホームな雰囲気を醸し出しているのだ。
 アナウンスにも感心する。
 「客席内での飲食はお控え下さい。また、飴の袋を破ったりしますと、鑑賞の妨げとなりますので、このような行為もお控え下さい。」というアナウンスがあったのだ。
 先日国立劇場で開催された「舞台芸術のあしたへ」では、何度も泣き出しては会場外に連れ出される幼児、頻繁に会話をする夫婦、袋を破って飴玉を取り出したりペットボトル飲料を飲むお客さんなどが頻出し、かなり不快な思いをした(もともと国立劇場はこういう劇場なのだろうか?)。
 無神経なマナー違反行為の中で最も私が嫌うのは、飴玉を袋から取り出す行為である。

 「ポピュラー音楽と違い、アンプで音を増幅せずに、楽器自体の音とホール内の反響のみで聴かせるクラシック音楽は、耳をすませば全てが聞こえるほど緻密で階層の深い表現である一方で、ちょっとしたノイズが聞こえるだけでもかき消されかねない繊細さがあります。
 そのために、コンサートホールは、外部からの音を遮断するような構造になっていますが、内部からの音は、遮断しようがありません。
 そのような空間の中で、飴玉の包装紙を開ける音が、どれほど大きく聞こえるでしょうか。
 演奏中に、鞄の中からおもむろにのど飴を取り出す行為は、飴玉の所有者とそれを見守る観客、両方に対して、極度の緊張を強いることになります。

 ちなみに、今回は、コンサートでときどきみかける「鈴を付けたハンドバッグ」を持ち込むマダムも幸いなことに居なかった。
 コンサートの会場というのは重要なもので、ホールとサロンでは、音の響き方が違ってくる。
 会場に応じて、適した曲目もおのずと定まる。
 例えば、ショパンのノクターンなどの場合、大型ホールの後方座席では細かい表現が十分聴き取れないこともある。
 なので、この種の曲目は、サロン風の会場で弾かれるべきなのだ。
 おそらく、主催者側もその辺を理解した上で曲目を選定しており、「サロン風」の作品が並んでいる。
  面白かったのは、アンコールで、かの文豪トルストイが作曲した「ワルツ」が演奏されたこと。
 これはさすがに私も初めて聴いた。
 感想は、「可愛らしい、シンプルな曲」というもので、やはりサロン向きの曲である。
コメント
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