「被害者のヒアリングからは、少なく見積もっても「数百人の被害者がいる」という複数の証言が得られたということです。また、1980年代に所属した被害者は、性被害について事務所に相談したところ、「デビューしたければ我慢するしかない」「みんな通っていく道だ」などとスタッフから言われたといい、事務所は対応しないどころか、むしろ辛抱させるしかないと考えていたふしがあると、調査報告書は指摘しています。」
「デビューしたければ我慢するしかない」、「みんな通っていく道だ」という事務所の言葉からは、「性被害はスターダムへの通過儀礼だ」という発想が窺える。
「同書によると、〈月300時間の残業はザラ〉で、〈財務省の新人は、ときとして「家畜」にたとえられることがありました……〉という。」
「「確かに、民間企業ならパワハラで大問題になったであろうことはたくさんありました。しかし、財務省には上司と部下の関係には誰も口出ししないという空気があり、公務員の勤務には『特別権力関係』という一般の労働現場とは異なる法的概念が用いられ、私人としての権利が制限されることもあります。その上司にはよく『君に人権なんかないんだよ』と言われました」 」
かつて、(さすがにホルモン注射を受けることはないだろうが、)「家畜」(ドレイの犬、廊下トンビなど)扱いされても、「君に人権なんかないんだよ」と言われても、多くの若い官僚たちが”我慢”をしてきたのは、例の事務所のように、「出世したければ我慢するしかない」、「みんな通っていく道だ」と諭されていたからなのかもしれない。
だが、橋田さんや山口さんのように、「我慢しない人」が出て来る時代になったのである。