Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

ひとり別格(5)

2023年09月03日 06時30分00秒 | Weblog
Die Mauern stehn
Sprachlos und kalt, im Winde
Klirren die Fahnen 

障壁(へき)は言葉なく、冷かに連なりて、
風吹くなべに風見(かざみ)ぞきしめく。
(訳:吹田順助)

 最後の Fahnen が難物である。
 「旗」という訳もあるが、「風見」が多数派のようであり、これが正しいと思う。 
 というのは、klirren は、「クラッシュすることによって、かき鳴らして、明るく振動する音を作り、鳴り響く音を出す」という意味なので(ドイツ語でKLIRRENはどんな意味ですか?)、これは金属製の風向計と見るのが妥当だからである。
 複数の「風見」がカラカラと回っているのだから、ここには生き物は一切存在しないけれども、風は吹いているわけだ。
 つまり、(当然のことだが、)ここには空間が存在しており、したがって時間も存在していることが示されている。
 このことは、「時間のない世界」(又は「空間のない世界」)の例と比べると分かりやすい。
 その典型は、「野いちご」に出て来る「針のない時計」である(映画鑑賞「野いちご」(1957年)の2つめの写真)。
 これは「時間のない世界」、つまり死の世界を象徴している。
 対して、「生のなかば」の2連の世界では、風が吹いており、空間も時間も存在している。
 したがって、ここは「あの世」(jener Welt)ではなく、この世の「半分」なのである。
 なお、「風見」も「壁」も複数形であるところからすれば、「風見」は動きを止めた個々の生命体を表しており、「壁」は個々の生命体をもう一つの「半分」の世界から隔てる障壁を意味しているようだ。
 
 
コメント
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