Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

「周辺」からの逆襲(3)

2024年01月17日 06時30分00秒 | Weblog
 「一枝を伐らば、一指を剪るべし」という義経のメッセージを、熊谷直実は、「陣屋の脇に生えている若い桜を守護せよ」という文字通りの意味だけでなく、 「後白河法皇の落胤である若き平敦盛の命を守れ」という密命をも含んでいると解釈した。
 そこで直実は、義経の密命に従うため、我が子:小次郎を敦盛と偽り討ち、その首を持参して首実検に臨んだ。
 顧みると、「一枝を伐らば、一指を剪るべし」は、何ともストレートなレシプロシテ原理の表現である。
 ちなみに、「子殺し」は、「自殺」(ポトラッチとしての自殺)に次ぐ強力なポトラッチであり、既にギリシャ神話にその例を見ることが出来る。
 タンタロスは、ゼウスにある要求(demande)を受け容れさせる目的で、我が子:ペロプスを殺して食べさせようとしたのである。

Le festin de Tantale
"Zeus avait prié son hôte de faire telle demande qu'il lui plairait; la demande deTantale, ce fut de partager la vie des dieux. Zeus fut obligé d'y satisfaire; mais mal en advint au solliciteur.・・・
Dans l'échange des dons, contre-dons, offres et promesse qui caractérise les 《 formes archaïques 》, c'est d'abord une obligation que d'accéder à la demande, quelle qu'elle soit, d'un partenaire."(p22)
「タンタロスのごちそう」
 「ゼウスは、ホスト(タンタロス)にどのような要求を満たせば満足するか言うよう頼んだ。タンタロスの要求は、神々と命を共にする(不死となる)ことであった。ゼウスは、この要求を満足させなければならない。ところが、ある不幸がこの嘆願者(タンタロス)の身に起こったのである・・・
 贈与又は反対贈与の échange においては、給付と約束が「祖型」を特徴づけている。それは何よりも、相手方の要求を、それが何であれ、受け容れる義務なのである。」(私訳につき誤訳あるかも)

 ルイ・ジェルネは、モース先生を引用しながら、ギリシャ神話における「ポトラッチとしての子殺し」を指摘した。
 日本でも、熊谷直実は、歌舞伎の世界の中で(史実では、熊谷小次郎(直家)は53歳まで生きたとされる。)、タンタロスと同じことをやっていた(もっとも、ここでは「首」と「首」とのポトラッチ的な échange という形式であるが)。
 これは何というすさまじい”ポトラッチ合戦”であることか!
 ・・・それにしても、生首が出てくる「熊谷陣屋」は、果たして「新春歌舞伎」の演目としてふさわしいのだろうか?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする