ショパン前奏曲 嬰ハ短調 op.45
シューマン交響的練習曲 op.13(遺作変奏付き)
シベリウス悲しきワルツ op.44
シューベルト楽興の時 D780 op.94
「・・・ポゴレリッチはヨーロッパでは、いわゆるドサ回りをしている。イタリア、スペインの名前もない町の、公民館のようなホールでリサイタルを開いているのである。収容人数は、しばしば200~300人。時折ベルリンやパリの大ホールにも登場するが、あくまで例外。これは言うまでもなく、意識的な選択である。あえて大手エージェントではなく、各国の個人事務所と契約して、メインストリームから外れた道を辿っているのだ(筆者はドイツで、シュタイナー学校の講堂や羊小屋を改築したホールで聴いたことがある)。」(公演プログラム:城所孝吉氏)
ポゴレリッチは、いわずと知れたピアノ界の奇人である。
近年は、ショパンのように、ホールよりもサロン的な会場を好んでいるようだ(ホールとサロン)。
なので、サントリーホールというのは例外に入るようだ。
足か腰を痛めているようで、杖を突いての登場。
「(次に弾く曲、または弾き終わった曲の)楽譜を、まるで捨てるように床に勢いよく落とす」などの行動で最初から楽しませてくれる。
演奏自体は意外にもオーソドックスで、大ホールでも音がよく響くのはこの人の良いところ。
私が気になったのは、むしろ選曲の方である。
ショパン、シューマン、シベリウスはいずれも苦悩や悲しみを表現した曲で、最後のシューベルトも「束の間の安らぎ」といった感じの曲である。
プログラムには「嬰ハ音をめぐる幻想の円環」とあるが、私見では、伴侶を亡くした悲しみからようやく癒えつつある状態を、選曲が示しているように感じた。
♪シューマン:アラベスク
♪リスト:愛の夢 第3番
♪ワーグナー(リスト編):イゾルデの愛の死
♪ショパン:バラード 第4番
♪チャイコフスキー:『四季』より
6月「舟歌」&11月「トロイカ」
♪チャイコフスキー(プレトニョフ編):
『くるみ割り人形』よりアダージョ
♪ラフマニノフ
前奏曲 嬰ハ短調「鐘」op.3-2
前奏曲 ト長調 op.32-5
練習曲 ト短調「音の絵」op.33-8
前奏曲 op.32-12 嬰ト短調
楽興の時 第6番 ハ長調 op.16-6
ピアノ・ソナタ 第2番(1931年版)
♪リスト:愛の夢 第3番
♪ワーグナー(リスト編):イゾルデの愛の死
♪ショパン:バラード 第4番
♪チャイコフスキー:『四季』より
6月「舟歌」&11月「トロイカ」
♪チャイコフスキー(プレトニョフ編):
『くるみ割り人形』よりアダージョ
♪ラフマニノフ
前奏曲 嬰ハ短調「鐘」op.3-2
前奏曲 ト長調 op.32-5
練習曲 ト短調「音の絵」op.33-8
前奏曲 op.32-12 嬰ト短調
楽興の時 第6番 ハ長調 op.16-6
ピアノ・ソナタ 第2番(1931年版)
選曲が好みに合っていたのでチケットを購入。
ちなみに、武蔵野市民文化会館の小ホールは、「小ホール」とは言っても400人以上を収容出来るので、「サロン」と言うのは難しいかもしれない。
それにしても、ラフマニノフというピアニスト&作曲家の凄まじいこと!
ピアノ・ソナタ第2番などは、あと3分くらい続くとピアニストは死んでしまいそうな曲である。
ホロヴィッツいわく、
ホロヴィッツいわく、
「ラフマニノフは私より遥か上に存在するピアニストだ。彼の録音は、その凄さの半分も伝えていない。」
こういうアーティストの迫力を味わうには、やはり大ホールではなく、サロン又はそれに近い会場がふさわしいだろう。
ラフマニノフの演奏をサロンで聴いた人は、卒倒しそうになったのかもしれない。