だが、1月1日が「特別な日」ではないかと言えば、必ずしもそうとは言い切れない
古代ローマでも、この日に近い期間(12月17日から12月23日まで)に、「サートゥルナーリア祭」が盛大に開催されていた。
ちなみに、これはクリスマスの起源とも言われているそうだ(大祭「サートゥルナーリア祭」はクリスマスの原型か)。
サートゥルナ―リア祭が、農耕儀礼の側面を有する点については争いがない。
冬至の前後に行われることから分かる通り、「太陽の復活」がテーマであると見てよい。
だが、ローマ人のことゆえ、この祭りが単に農耕儀礼としてのみ機能していたわけではない。
"L'etat ancien est attesté a contrario, dans les fêtes de type Saturnales qui signifient le monde renversé --- celui où les paysans (serfs) ont accès à la ville."(p272)
(古い状態は、これとは逆に、サートゥルナ―リア祭のようなタイプの祭りに示されている。これは、逆立ちした世界を意味しており、そこにおいて、農民たち(奴隷たち)は、街に立ち入ることが出来るのである。)
(注 ここの"ville"は、”cité"(都市)の方がよいように思う。)
サートゥルナ―リア祭の期間中、「都市と領域」、「主人と農民(奴隷)」という対立関係はいったん解消され(更には逆転してしまい)、本村先生いわく「無礼講」の状態となっていたようである。
つまり、政治的・社会的関係が、一時的とはいえリセットされたのである。
したがって、この祭りが、農耕儀礼としての意義だけではなく、政治的・社会的儀礼としての意義を併せ持っていたことは明らかだろう。