「希望の光」は、世話物の演目にも見ることが出来る。
私見では、その代表が「与話情浮名横櫛」(切られ与三)である。
「新春浅草歌舞伎」第一部の目玉であり、これぞ新春にふさわしい演目である。
ちなみに、私が最初にこの演目に出会ったのは小学生の頃であった。
親戚の運動会に飛び入り参加したところ、「Disco Otomisan ディスコお富さん」の音楽に合わせて参加者が自由にダンスするという種目があり、この曲が強烈な印象を残した。
当時は春日八郎さんがときどきNHKの懐メロ番組に出て来て、「お富さん」を歌っており、歌詞の意味はよく分からないものの、歌舞伎が元ネタであることを知った。
もっとも、実際に歌舞伎座で全幕を観たのは、三十代になってからだった。
つまり、私がたどってきたのは、「Disco Otomisan」→ 春日八郎の「お富さん」→歌舞伎の「与話情浮名横櫛」という、まるで逆転したルートだったのである(もっとも、こういう入り方で歌舞伎にハマる人も多いと思う。)。
さて、この演目が実話を素材にしていることはよく知られている。
テーマは、「お富(=妾)の請出し」であり、拡張解釈すれば「自由と独立」である。
ということは、「自由と独立」のパイオニアである古代ギリシャ・アテネに手がかりがあるということになる。