Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

ベルイマン流トラウマ対処法(6)

2021年09月13日 06時30分28秒 | Weblog
(引き続きネタバレにご注意)

野いちご「この映画をキューブリックがベストに選ぶ理由がわかった」
 「妻に先立たれ、子どもも独り立ちしたため、家政婦と二人きりの寂しい日々を過ごしている78歳の医師イーサク(ヴィクトル・シェストレム)。
そんな彼に名誉博士号が贈られ、ルンド大学での授賞式に出席することに。
受賞式前夜に死を暗示するような夢を見たイーサクは、予定していた飛行機ではなく、車でルンド大学へと向かう。
息子の妻マリアン(イングリッド・チューリン)を同行させて車を走らせる中、ふと彼は青年時代の夏を過ごした屋敷へと寄り道する。
その景色を眺めるうちに、過去の記憶がくっきりとよみがえり……。


 映画の中で、イサクはたびたび眠りに落ち、悪夢を見る。
 この設定には、フロイトの理論がよく当てはまる。
 彼のトラウマが、無意識の中から蘇るというわけである。
 青年時代の夏を過ごした屋敷の畑で休んでいるうちに、イサクはさっそく眠りに落ち、夢を見る。

 ・・・青年時代の夏のこと、家の近くの畑で、(「アーロンおじさん」:イサクの父にプレゼントするための)野いちご摘みに励む若い女性がいる。
 イサクの婚約者:(いとこの)サラである。
 そこにふと現れたのが、若きジーグフリド(イサクの弟)である。
 彼はサラに惹かれており、彼女を誘惑し、無理やりキスしてしまう。
 サラは既にイサクと婚約しているので、ジーグフリドの行為にいったん怒りをあらわにするが、内心では、優しいイサクよりも粗暴なところのあるジーグフリドにより強い魅力を感じている・・・。

 その後、(偶然にも)サラという若い女性の声でイサクは夢から覚め、サラの男友達のアルマンとヴィクトル、それに最初から同行していた息子の妻:マリアンと一緒にルンドへ向けて再出発する。
 だが、ルンドへの道中でもイサクは何度か眠りに落ち、夢を見る。
 (結婚した後の)ジーグフリドがピアノを弾くサラに近づき、優しくキスをする。二人は手を取り合って楽しそうに食卓に向かう・・・。

 イサクのセリフから、サラはイサクとの婚約を解消し、ジーグフリドと結婚して6人の子を儲けたことが明かされる。
 他方、サラから婚約を破棄されたイサクは、その後別の女性と結婚し、1人の息子を儲ける。
 だが、常に不機嫌なイサクと妻との間では諍いが絶えず、その妻も40年ほど前に早々と先立ってしまった。
 別の夢の中では、妻と浮気相手との密会の場面が現れる・・・。
 といった調子で、イサクの現実の人生も、夢の中に出てくる場面も、「悪夢」の連続である。
 彼の不幸の発端は、「野いちご」であり、これが、彼の人生最大のトラウマの象徴となっている。
 

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