少しばかり怪しい話なので
(自分にとっては現実でも)
酔った勢いの時しか話せないことがある
30年前、後先考えずドイツに旅たったが
ハイデルベルクでのこと
駅前で、その日泊まるユースホステルの場所を聞こうとしたら、
案内の人はひどくご機嫌斜めだった
何故だか分からなかったが
「フルトヴェングラーのお墓はどこですか?」
(カラヤンの前のベルリンフィルのドイツの指揮者)
と聞くと急に丁寧になって親切に教えてくれた
どうやらハイデルベルクに訪れる日本人は
学生牢屋に落書きをするので
好ましく思われてなかったらしい
そこで教えてもらったフルトヴェングラーのお墓
なかなか分からずモタモタしていたが
そうこうするうちに何の変哲もない
質素な彼のお墓をやっと見つけた
その時だ、突然頭の中で急にベートーヴェンの
第5番の交響曲、第1楽章の途中が
ひどく中身の詰まった音で
(そして左から右へ風が吹いて穂が揺れるように)
聞こえてきた
それは演奏者も必死になっているような音だった
そしてその時、
これはフルトヴェングラーの演奏している音だ
と確信を持って思った
今でもあの時の感覚は覚えている
しかし物理的にはお墓の近くで
音がしているのではなかった
このことはあまりにも個人的なことなので
自分の心の中にしまっておいたのだが
10年ほど前、そのころ定期購読していた
レコード芸術の読者の投稿欄に
なんとフルトヴェングラーのお墓の前で
自分と同じ経験をした人の話が載っていた
彼も不思議な演奏を聴いたのだという
そうすると自分の聞いたのは全くの
幻聴ではなかったのかもしれない
そんな思いが徐々に頭にもたげてきた
だから、出来ることならもう一度ハイデルベルクに行って
フルトヴェングラーのお墓の前に立って
あの音が聞こえるかどうかを
試してみたい気がしている
もしかして、あの音を聞くのは自分はあまりにも
不純になる過ぎているのだろうか?
やっぱり、酒を飲んでいい気分にならないと
ダメな話かな?
(自分にとっては現実でも)
酔った勢いの時しか話せないことがある
30年前、後先考えずドイツに旅たったが
ハイデルベルクでのこと
駅前で、その日泊まるユースホステルの場所を聞こうとしたら、
案内の人はひどくご機嫌斜めだった
何故だか分からなかったが
「フルトヴェングラーのお墓はどこですか?」
(カラヤンの前のベルリンフィルのドイツの指揮者)
と聞くと急に丁寧になって親切に教えてくれた
どうやらハイデルベルクに訪れる日本人は
学生牢屋に落書きをするので
好ましく思われてなかったらしい
そこで教えてもらったフルトヴェングラーのお墓
なかなか分からずモタモタしていたが
そうこうするうちに何の変哲もない
質素な彼のお墓をやっと見つけた
その時だ、突然頭の中で急にベートーヴェンの
第5番の交響曲、第1楽章の途中が
ひどく中身の詰まった音で
(そして左から右へ風が吹いて穂が揺れるように)
聞こえてきた
それは演奏者も必死になっているような音だった
そしてその時、
これはフルトヴェングラーの演奏している音だ
と確信を持って思った
今でもあの時の感覚は覚えている
しかし物理的にはお墓の近くで
音がしているのではなかった
このことはあまりにも個人的なことなので
自分の心の中にしまっておいたのだが
10年ほど前、そのころ定期購読していた
レコード芸術の読者の投稿欄に
なんとフルトヴェングラーのお墓の前で
自分と同じ経験をした人の話が載っていた
彼も不思議な演奏を聴いたのだという
そうすると自分の聞いたのは全くの
幻聴ではなかったのかもしれない
そんな思いが徐々に頭にもたげてきた
だから、出来ることならもう一度ハイデルベルクに行って
フルトヴェングラーのお墓の前に立って
あの音が聞こえるかどうかを
試してみたい気がしている
もしかして、あの音を聞くのは自分はあまりにも
不純になる過ぎているのだろうか?
やっぱり、酒を飲んでいい気分にならないと
ダメな話かな?