今になってわかることがある
それは難しい概念的なことではなくて、もっと世俗的なことだ
子供の頃、大人たちはどうして歌手やタレントの名前、
流行っている音楽を覚えられないのだろうと不思議に思ったものだ
ところが還暦を過ぎた今になると、まさに子供の頃バカにした状況そのものだ
男も女も大勢のグループの名前は覚えられないし(覚える気もないし)
それぞれの見分けもつかないし、音楽も全て似たように思えて仕方ない
そしてそれにシンパシーを感じている若者の気持ちがわからない
話題の店に行くことも、そこで写真を取ることも、急いでトレンドのアイテムを
手に入れることも、流行りのスイーツを食べることも関心がない
それは生命力の低下かもしれないが、あえてそれに逆らう気もない
ただ、歳を重ねてわかることもある(勘違いかもしれないが)
最近、特に思うことの一つが、ヴァイオリンの名曲ヴィターリのシャコンヌは
女性演奏家の方が、男性のそれに比べて曲に対する共感の度合いが大きくて
心動かされることが多い、、ということだ
シャコンヌといえばバッハのそれが有名で、普通こちらのほうが一般的だ
冒頭の低音の動きを基本にいくつかの変奏が展開されて、その技法精神的な充実度は
奇跡に近く、バッハの曲の中では好きな曲のベストスリーに入る
一方ヴィターリのシャコンヌは同じく低音の動きを基本に変奏が展開されるが
それは技巧的というよりはエモーショナルで聴き手にも感情移入を要求するような音楽だ
ヴィターリはバロック時代の作曲家らしいが、この曲はもっと後の時代の人の作らしい
というのが通説になっているらしい
確かにこの曲の内面の表現意欲はロマン派的な要素があるように思える
女と男の演奏の違い
単に思い込んでいるにすぎないかもしれないが、この曲に向かう時、女性演奏家のそれは
この曲を演奏することによって、ある意識を現在進行系で感じ取って、
今まさにそれを経験しているかの様に思われる
一方、男の演奏家のそれは、一曲の起承転結を理解した上で客観的に技巧的に
そして過度にエモーショナルになりすぎないように演奏する
ということで、これらは思い込みなのだろうが、好き嫌いで言えば
自分は女性演奏家の弾く演奏のほうがいつも心動かされる
Youtubeは情報の宝庫で、ヴィターリのシャコンヌの聴き比べのチャンネル(?)があった
これがなかなか面白くて、冒頭のヴァイオリンの音だけで自分は好きだとか
イマイチだな、、と感じることができる
人によって違うということは当たり前の洋で何かとても不思議だ
最近見つけた若い女性の演奏するヴィターリのシャコンヌの動画
圧倒的な世界観の名曲!【ヴィターリ / シャコンヌト短調(Vitali: Chaconne in G minor)】
男性(スーク)の演奏するヴィターリのシャコンヌは
Vitali: Chaconne. Josef Suk
ところで、これを生で聴いたのは宗次ホールでキム・ダミの演奏で、これは良かった