ハンナ・アーレントの「悪の凡庸性・陳腐さ」の言葉で有名になったアイヒマン
彼の裁判判決文は、その意味するところがとても大事だと思われるので
以前ここでもアップしたが、今一度、改めて取り上げるをも意味あることと思われる
読んだ方は、どう感じるのだろう?
君は戦争中ユダヤ民族に対して行われた犯罪が史上最大の罪であることを認め、そのなかで君が演じた役割を認めた。しかし君は、自分は決して賤しい動機から行動したのではない、誰かを殺したくなったこともなかったし、ユダヤ人を憎んだこともなかった、けれどもそうするよりほかはなかったし、自分に罪があるとは感じていないと言った。われわれはそれを信じる事はまったく不可能ではないまでも困難だと思う。(中略)
君が大量虐殺組織の従順な道具となったのはひとえに君の不運だったと仮定してみよう。その場合にもなお、君が大量虐殺の政策を実行し、それ故に積極的に支持したしたという事実は変わらない。というのは、政治は子供の遊び場ではないからだ。政治においては服従と支持は同じだ。そしてまさに、ユダヤ民族および他の多くの国の人民たちとともにこの地球上に生きることを拒むーーあたかも君と君の上官がこの世界に誰が住み誰が住むべきでないかを決定する権利を持っているかのようにーーー政治を君が支持し実行したからこそ、何人からも、すなわち人類に属する何人からも、君と共にこの地球上に生きたいと願うことは期待できないと思う。これが君が絞首されなければならぬ理由、しかもその唯一の理由である。