北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

令和五年度十月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2023.10.21-2023.10.22)

2023-10-20 20:12:18 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 京都三大祭の一つであります時代祭がいよいよ今週末挙行されるところですが皆様いかがお過ごしでしょうか、今週末の自衛隊関連行事紹介です。

 横須賀オータムフェスタ2023、今週末最大の行事といいますとこの海上自衛隊の行事でしょう。例年サマーフェスタとして行われてきましたが、一般公開か熱中症かという厳しい行事でしたので大事を取り秋の涼しい日に行われる事となったのでしょう。事前応募制ではありますが特務艇はしだて体験航海も行われ、いま貴重となった体験航海行事だ。

 横須賀オータムフェスタ2023、一般公開されますのは最新鋭護衛艦くまの、そして古参の護衛艦ゆうぎり、また潜水艦の上甲板も公開され陸上自衛隊車両装備品展示も逸見岸壁において行われます。吉倉桟橋が前部公開されるわけではなく、横須賀基地を代表するヘリコプター搭載護衛艦いずも、が見られないのは残念ですが明日0900時から1600時まで。

 日本原駐屯地創設58周年記念行事、陸上自衛隊行事として今週末注目の行事はこの日曜日に行われます日本原駐屯地創設58周年記念行事でしょう、戦車部隊駐屯地で行われる74式戦車の参加は、この日本原駐屯地創設58周年記念行事が最後であり、来年全国土の戦車部隊駐屯地を回っても、74式戦車は保存展示地区のみ、動いているものはいません。

 日本原駐屯地には第13特科隊と第13戦車中隊が駐屯、昔は四国の第14旅団隷下の第14戦車中隊が駐屯していましたがこちらも廃止、更に第13特科隊も年度末改編で姫路の中部方面特科連隊隷下となる予定であり、第13戦車中隊は第13偵察戦闘大隊戦闘中隊となり出雲駐屯地へ移駐予定、駐屯地は創設58年を経て大きく転換する節目の行事となる。

 下総航空基地開庁64周年記念行事、土曜日に行われます。下総という地名を見まして千葉県南部と勘違いされる方がいるようですが場所は柏市で一月の空挺団降下訓練始めが行われます習志野訓練場から見て奥の方に位置する航空基地、海上自衛隊教育航空集団司令部が置かれる海上自衛隊の航空基地です。この基地、昔は航空集団司令部も置かれた。

 下総航空基地は航空祭というかたちをとるのですが、あの混雑人ごみでコミケと並ぶという入間基地航空祭に比べますとかなり余裕がありまして、もちろん飛行展示も行われます。そしてこの基地の名物、いや迷物というべきか、有名なのはミニP-3C展示で、オートバイでP-3Cを模した展示が仮設敵の潜水艦を魚雷で真っ二つにする展示が行われます。

 北富士駐屯地創設63周年記念行事、土曜日に行われます。東部方面特科連隊、早い話が昔の第1特科隊の駐屯地となっていまして、南都留郡忍野村忍草の駐屯地です。第1特科隊の廃止は今年3月ですので文字通り改編後初の行事で、このほか駐屯地には富士学校部隊訓練評価隊も駐屯しています。ただ、第1機械化大隊の評価支援隊は滝ケ原の部隊だ。

 掃海艇つのしま尾道港一般公開、すがしま型掃海艇の一般公開で広島県尾道市西御所町の尾道港西御所岸壁にて、21日土曜日と22日日曜日と午前の部は1100時から1200時まで、午後の部は1300時から1600時までで最終受付は1545時が予定されています。大きな艦艇ではありませんが、その分は尾道港の歴史豊かな風景とともに見学ができるでしょう。

 峰岡山分屯基地開放日2023、こちらは千葉県南部の航空自衛隊分屯基地で第44警戒隊のレーダーサイトとなっています。明日土曜日の一般公開は0900時から1500時まで、航空機の飛行展示と地上展示や装備品展示、愛宕山三角点見学会などが予定されていまして、ポスターでは基地防空地対空誘導弾やUH-60J救難ヘリコプターが紹介されています。

 練習艦隊遠洋航海帰国行事。もうひとつ、こちらは一般公開が行われるわけではありませんが、遠洋練習航海を終えた練習艦隊が先ごろ横須賀基地へ帰国、そして帰国行事を行うべく晴海ふ頭に入港します。アメリカ、カナダとブラジルやペルーにコロンビアとアルゼンチンなど世界一周しました練習艦かしま、はたかぜ、晴海に並ぶ様子が見られるでしょう。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・10月21日:峰岡山分屯基地開放日2023
・10月21日:下総航空基地開庁64周年記念行事
・10月21日:横須賀オータムフェスタ2023
・10月21日:北富士駐屯地創設63周年記念行事
・10月22日:日本原駐屯地創設58周年記念行事
・10月21日・22日:掃海艇つのしま尾道港一般公開

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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防衛情報-ウクライナ情勢,ウクライナ軍ATACMS実戦使用!アメリカ供与の陸軍戦術ミサイルシステム

2023-10-20 07:00:44 | 先端軍事テクノロジー
■防衛情報-ウクライナ戦争
 ATACMSは2000年代に陸上自衛隊でもその有効性について議論が在ったとされる装備です。

 ウクライナ軍はアメリカより供与されたATACMS陸軍戦術ミサイルシステムを実戦に初投入しました。これはゼレンスキー大統領自身が“きょうはアメリカに特別な感謝を表したい。バイデン大統領との合意は実行されている。ATACMSはその能力を証明した”と発言し、その実戦投入を発表したものです、ATACMSはHIMARSからも発射が可能です。

 ATACMS陸軍戦術ミサイルシステムは、アメリカ陸軍が1980年代にMLRS多連装ロケットシステム用に開発した射程の大きなロケット弾で、その射程は140㎞以上に達し、クラスター弾薬により後方の段列地区や飛行場と車両集積所などを狙うもの、ウクライナへ供与されているHIMARS高機動ロケットシステムからも発射が可能となっています。

 ゼレンスキー大統領に続いて、ウクライナ軍のザルジニー総司令官もATACMSに言及しており、ロシア軍への攻撃に用いたとしています。この攻撃はロシア軍側からもザポリージャ州のロシア軍高官がSNS上においてウクライナ軍からATACMSによる攻撃を受け港湾都市ベルジャンスクにおいて被害が生じたと発表し、映像なども掲載されています。
■防衛情報-ウクライナ戦争
 型式としてはかなり古いMGM-140Aが投入されたもよう。

 ATACMSのウクライナ軍供与は戦況を変えうる重要な要素となっていますが、世界の国際報道はイスラエルのガザ地区情勢に注力されており、大きな論点とはなっていません。しかし、ATACMSは射程とともに破壊力が大きく、ロシア軍は現在のウクライナ軍確保地域からもアゾフ海にかけての補給路などが射程内に含まれ、南部戦線兵站に影響が。

 ベルジャンスクへのATACMSによる攻撃はロシア軍飛行場に対して実施されたとみられ、パンツィーリ防空システムと少なくとも5機の駐機中であったヘリコプターが全損、全体で二桁の航空機が損傷するとともに、飛行場周辺からはロケット弾本体、これは不発などではなく内部のクラスター弾薬を運搬するための筒、などが確認されているとのこと。

 MGM-140A,確認されている弾薬は1990年代に製造された弾薬で精密誘導型ではなく通常の長距離ロケット弾となっています。ウクライナ軍へどの程度ATACMSが供与されたかは発表されていません、ただ、これまで供与された弾薬よりも一発当たりの制圧面積は格段に大きく、また射程が大きいことは事実であり、戦況を左右する装備の供与といえます。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【G3X撮影速報】横須賀軍港めぐり2023秋(2)最後の輸送艇-輸送艇1号型輸送艇2号入港(2023-09-29)

2023-10-19 20:14:21 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■自衛隊最後の輸送艇
 最後の一隻というと寂しい表現ですけれども偶然その動く姿と出会いますとなんとも良い日だなあと実感するのです。

 軍港めぐり遊覧船、毎日乗船しているならばそれらしい発見もあるのでしょうけれども、遠い横須賀まで進出しまして、さてどの時間の遊覧船に乗船できるだろうか、と思ったうえでチケットを購入しまして思わぬ珍しい光景と出会いますと、ちょっとうれしい。

 輸送艇1号型入港は、そんな貴重なひと時との出会い、というべきでしょうか。輸送艇1号型は一番艇輸送艇1号が退役していますので、この輸送艇2号が最後の一隻となる、そして地方隊に配備される業務輸送用の輸送艦も全て廃止されていて、ほんとうに貴重な。

 艦首乗降扉、輸送艇1号型は揚陸に際して海岸に擱座させ艦首乗降扉を開き海岸線に直接装備品を揚陸させるもの、揚陸作業が終了しましたらば推進器を後進一杯にしつつ予め投錨してあった錨をウインチで引き離岸するという結構力業の離脱手順をもちいる。

 陸上自衛隊は今後この種の輸送船調達を本格化させる、現在海上自衛隊第一述科学校などに陸上自衛隊輸送科の要員を派遣し、船舶要員の養成を進めており、既に練習船などでの訓練段階は終了し、輸送艦おおすみ型などでの操艦訓練などが進められています。

 島嶼部防衛、本格的な上陸作戦ではなく、事態が緊迫化する前に部隊を事前集積させる手段として陸上自衛隊は船舶輸送の必要性を認識、その整備を進めているところ。また来年度予算概算要求に輸送船の予算が盛り込まれ、ラニーミード級や1号型のイメージ図が。

 輸送艇2号は佐世保重工業佐世保造船所において建造されたもので、平成2年度計画輸送艇2002号艇として1992年に就役しました。ほんとうに小型の、基準排水量420tで満載排水量は540t、全長52mと全幅は8.7mというまさに掃海艇くらいの輸送艇という。

 業務輸送と作戦輸送、海上自衛隊では両用作戦艦艇をこのように任務ごとに分けていまして、輸送艇1号型は業務輸送を想定したものとなっています。人員200名か物資25tを搭載できるといい、03式中距離地対空誘導弾などを揚陸させた訓練の実績があります。

 乗員は30名、この種の艦艇としては比較的多く、これは小笠原諸島などへの一定日数の航海を想定したローテーションを組めるようになっています。対して、よく比較されるのが横須賀からほど近い横浜にアメリカ陸軍が置くラニーミード級汎用揚陸艇というもの。

 ラニーミード級汎用揚陸艇は基準排水量620tで満載排水量1102t、乗員は13名となっています。そしてM-1戦車3両などかなりの重貨物を搭載できるというものですが、外洋航行を想定しておらず、港湾から港湾、または車両輸送船から埠頭や揚陸艦までを運ぶ。

 輸送艇2号は、業務輸送として、特に横須賀地方隊管区には管内に南鳥島基地や父島基地に硫黄島基地など、遠隔地の基地があり、中でも南鳥島基地は重要な飛行場施設があるとともに横須賀基地からの距離が1800㎞と長大、そのための十分な航続距離を有します。

 20mm機関砲、業務輸送を任務とする輸送艦ですがそこは列記とした自衛艦旗を掲げる艦艇、JM-61機関砲を艦橋構造物上部に備えていまして、不心得ものが襲撃した場合には処罰する一定の戦闘能力を有しています。本来この種の艦艇はもっと必要なのですが。

 軍港めぐり遊覧船、ちょうど輸送艇2号が帰港するところを偶然遊覧船が吉倉地区から船越地区へ向かうところを撮影する事が出来ましたので、右舷と左舷と正面と、一通り撮影できました。こういう情景にめぐり合わせる故、横須賀軍港めぐり遊覧船はたのしい。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ウクライナ情勢-東部戦線ロシア軍クピャンスクでの再侵攻とウクライナ軍海兵隊のドニエプル川渡河作戦

2023-10-19 07:00:44 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 東部戦線北部にはNATOの供与したレオパルド2などの装備優先度が高くない点が戦況に反映しているのでしょう。戦車の防衛への重要性を端的に示している。

 ロシア軍はクピャンスク地区においてウクライナ領内へ再侵攻を開始した、ISWアメリカ戦争研究所10月17日付戦況分析において概況が示されました。この攻撃は東部戦線北部のクピャンスクとスヴァトフ及びクレミンナを結ぶ線においてこの数週間断続的に攻撃を試みていたもので、17日にロシア側が発表した映像に前進を開始した景況が。

 クピャンスク南東20㎞にあるイヴァニフカ方面へロシア軍は前進を開始したもよう。ただ、ウクライナ軍参謀本部はこの攻撃について、シンキフカ、イヴァニフカ、キスリフカ、ステルマキフカ、ナディヤ、以上五地点においてロシア軍が攻撃を開始したものの失敗したと発表しています。そしてロシア軍が越冬に有利な地形を求めていると分析します。

 ISWアメリカ戦争研究所はこの概況について、東部戦線北方での行動を陽動であるか、新しい攻撃軸の設定であるかは検証中としているものの、ウクライナ軍参謀本部の分析に対して、クピャンスク地区においてロシア軍は一定の前進を開始している可能性に留意している模様です。一方のウクライナ軍はバフムトへの陽動という視点を維持している。
■防衛情報-ウクライナ戦争
 ウクライナはBTR-3水陸両用装甲車などを開発しインドネシアなどにも輸出しているのですが現実には渡河作戦にはボートが用いられる、日本も現在両用装甲車の開発は進めていますが。

 ドニエプル川においてウクライナ軍は一定の渡河作戦に成功している可能性がある、ISWアメリカ戦争研究所10月17日付戦況分析ではロシア側のミルブロガーによる現場報告等を示していますが、ウクライナ軍は16日と17日にかけ、ヘルソン州のドニエプル川左岸においてウクライナ軍の上陸を撃退したと発表、この地域の戦況が動きつつある。

 ドニエプル川は河川舟艇部隊が部分的な両用作戦を継続しており、しかし、橋頭保の確立や架橋などの具体的は同行はありません、ミルブロガーが指摘しているのはヘルソン市の東方17km地点と24㎞地点の二か所で、これは7月から8月にかけ実施したアントノフスキー橋周辺の中州に進出したウクライナ軍部隊が戦果拡張を行っている構図でもある。

 ウクライナ軍は海兵隊2個旅団を展開しており、特にウクライナ海兵隊はこれまで6月以降ザポリージャ州東部地区へ投入されたと発表があったものの、その後の概況は発表されておらず、ザポリージャ州からヘルソン州へ転進し渡河作戦を行っているものとみられます。この地域はクリミア半島への接近経路であり、戦略的に重要な立地となっています。

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【京都幕間旅情】養源院,歴史家スティーブンターンブルはかく語りき-難しい歴史観と価値観の時を超えた共有

2023-10-18 20:23:44 | 写真
■ここは血天井の養源院
 カメラを片手に拝観に参拝にと散策していまして撮影禁止だという寺院は意外と多いのですが外観だけでも撮影できる場所を巡った後にさて歴史とを出会うべく。

 養源院、有名な三十三間堂とは通り一つ向かい側に位置します天台宗の寺院、としての宗旨を冠しています新しい宗派の寺院です。京都市東山区三十三間堂廻り町、東山も広いものですが京都駅から散策するには、鴨川を超えて京阪の先、丁度よい位置にあります。

 南叡山養源院という山号のこの寺院は、創建年が文禄3年という、安土桃山時代末期の西暦1594年まで遡る寺院で開山は成伯、そして開基は淀殿、歴史のその先を知ってしまいますと、ちょっと感慨深く成る寺院です。その寺院は、血天井、というもので有名に。

 天台宗の宗旨、浄土真宗遣迎院派という宗派。この浄土真宗遣迎院派というのは、いわゆる浄土真宗との関係はなく、昭和中期に天台宗から独立した、天台宗系の宗派となっていまして、京都市と奈良市、あと第2戦車連隊で知られる上富良野にも寺院があります。

 阿弥陀如来をご本尊として奉じます寺院は、紅葉の朱色の椛が包む様子も本当にきれいだ、といわれるのですけれども、実のところここは血天井で有名になってしまうとともに、しかし血天井にまつわる話題が、ちょっとこの本堂創建の当時から離れてしまった。

 血天井、伏見城の戦い。慶長5年というつまり日本史の分岐点となった1600年戦役、関ケ原の戦いに至る一連の流れの中で城を護る鳥居元忠と松平家忠ら1500名に大阪城を追放された家康家臣ら500名が加わり、攻防戦が繰り広げられましたが戦力差は厳しい。

 宇喜多秀家と小早川秀秋ら4万1000名の兵力を相手に8月26日から9月8日に掛け防衛戦を展開し、全員が玉砕したという。鳥居元忠と松平家忠はじめ全員討ち死にし、その際に城内の櫓にご遺体が放置され、その血塗れの廊下をここ養源院の天井に用いている。

 スティーブンターンブル、イギリスの歴史家という方なのですがこの方の著書にはまって日本へ、という方と、いわゆる死生観について深く話し合ったことがあるのですが、その際に養源院が、ちょうどお話をした場所から3㎞程の場所でしたし、話題俎上に上がった。

 安土桃山時代の死生観と鎌倉時代の死生観と、ビルマ戦線の時代の死生観、当方の英語力の低さと先方の日本語力の低さから、余計話が拗れ、話半分の理解同士が逆に面白かったのですけれども、文化と価値観の相関関係と周辺情勢の影響があるのだろう、という。

 死生観、というよりも、ターンブルさんというのが豪州首相と同じ名前だなあと思いつつ、覚えやすかった歴史家の名前でしたのでこの話題は妙に記憶に残りました。軍事的に考えれば、伏見城を護った東軍兵士たちは西軍の東進に対し徹底的に兵力を拘束した。

 徹底抗戦により兵力を拘束し相手に行動の自由を与えない、恰も第32軍の沖縄戦と本土防衛準備や講和交渉の模索に重なる点があるのですが、結果的に西軍主力はここ伏見城とその先は大津城で拘束され、関ケ原含め決戦に参加させるのを遅滞させた意味がある。

 死守命令。ビルマ戦線-菊兵団という書籍を昔読んだ事がありますが、欧州には無い価値観だ、と。いやいや、フランス外人部隊がメキシコで繰り広げたカマロンの戦いなどはまさにこれだろう、と反論したのですが、この戦いでは最後、実質停戦交渉を行った、と。

 アラモの戦いを挙げれば分かりやすかったのだろうかと気づいたのは随分後の事なのですが、結局死生観はその場の士気と責任感と連帯感が醸成するものであり、その場にいなければわからない、と思うのです。ただ、血天井が現代、別の受け止め方をされている。

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【京都幕間旅情】金地院-鶴亀の庭を眺めつつ顧みる以心崇伝さんと天海さんの幕府巡る権力闘争と家康の遺産

2023-10-18 20:00:42 | 写真
■徳川家康と以心崇伝
 この情景を撮影したのは最初の紹介から見ればつい先日となるのですが夏空が僅か数日で秋空となった不思議な情景は思い返しても面はゆい。

 金地院は、拝観の際に巡ってみますと変化に富んでいまして面白い。小堀遠州作の作庭であります鶴亀の庭が国の特別名勝に指定されていまして、方丈の縁側、桁行十一間に梁間七間という本堂の縁側から、それほど混雑もなくゆったりと眺めて時を愉しめるのだ。

 富貴の間、というような方丈には幾つかの障壁画を並べました部屋が続くのですが、時間別の特別公開ということ。自由気ままに生田いところを散策し拝観し物思いにふける、わたしが予定の敷かれた日程に任せるのはお仕事の時と自衛隊行事のときくらい、かな。

 東照宮、浄土庭園風の池泉回遊庭園を少し起伏に気遣いながらそう歩み進めていますと、忽然と、もちろん日光や久能山ほどではないけれども浜松東照宮や広島東照宮よりは存在感のある神域に急に巡り合いまして、家康の遺髪と念持仏を奉じているという。

 明智門、さてこの金地院さんの入り口には明智光秀がご母堂を弔うべく天正10年こと1582年に大徳寺に寄進したものです。それを明治維新のいろいろあった時代に買い入れて移築したという。それまではここに伏見城の城門がありましたが、それはいま豊国神社に。

 天海さんが、実は明智光秀ではないのか、という俗説があるようで大河ドラマ“麒麟が来る”でもそのような描写がありましたが、天海さんが出自を語らなかったことが背景にあるとも。ただ明智光秀の存命中に興福寺や武田信玄との対話の記録もあり、整合性が。

 以心崇伝さんと天海さん、家康没後の権力争いでは天海さんが優位となりましたが、以心崇伝さんは武家の出で室町幕府名門の家柄ということもありまして、東照宮を京都に託すあたりをみていますと、家康に大切にされていたのだなあ、ということを感じます。

 神仏合集とはこういうことか、と思いつつも当地への東照宮造営は家康の遺言といいまして。金地院は江戸城内にも造営されたものの金地院さんの没後は海岸沿いに遷され、この背景には天海さんとの権力争いの結果ともいわれています、けれども東照宮がここに。

 僧録職。室町時代から僧侶の任免統括は相国寺塔頭鹿苑院院主が担っていましたが、幕府は元和5年こと西暦1619年に金地院住持を僧録職としまして、10万石の格式を与えられることとなりました。実際、東照宮のあります金地院を幕府は蔑ろにできません。

 徳川家光は京都上洛の際、金地院さんには狩野探幽の障壁画といった調度品に加えてが伏見城の一部を与えた、といい、それがこの方丈、と。ただ移築の痕跡が残っていない事が昭和時代の調査で判明しているゆえに逸話ともいわれるのですが、大切にされていた。

 廃仏毀釈。さてさて、江戸時代にはこう大切にされていましたが時代は明治を迎えますと日本近代史では第二次世界大戦と並ぶ文化財破壊となりました廃仏毀釈により多くの寺院が破壊されました、いや神道を奉護しつつ、しかし整理統合による破壊もすすんだ。

 寺大名とも呼ばれた金地院さん、僧録職を担っていましたのでそれはもう薩長を中心とした維新政府には目の敵にされるような条件がそろっていたのですが、先ず、東照宮があることを立てにここは寺院ではなく神社の要素があるのだ、と強調しました、そして。

 院の名を奉じる金地院は仏教寺院ではなく同情的な要素を持つものでもあると頑張りまして、廃寺を免れた、という歴史があります。なるほど、東照宮を当地にという家康の以心崇伝さんへの遺言は、遥かな時を隔て金地院を護ることとなった、不思議な歴史です。

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【G3X撮影速報】岐阜基地日常俯瞰風景,F-2戦闘機とGCAP次期戦闘機への期待(2023-10-03)

2023-10-18 07:00:33 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■飛行開発実験団F-2
 岐阜基地と云えば飛行開発実験団が運用する様々な航空機たち。

 岐阜基地へ、ちょっと時間を無理やりこじ開けて少しだけ岐阜基地を一望する三井山へ登ってみました。F-2戦闘機と市街地、やはりこういう俯瞰風景を撮影できる場所というのは大事にしたいもので、飲食物は持ち込まないもののポリ袋は持っての小さな登山です。

 F-2戦闘機、航空自衛隊はこの後継機としてイギリスとイタリアとともにGCAPグローバル戦闘機計画を推進中です。この企図するところは参加国の三か国、語呂が良いな、その共通認識である一点、F-35では戦闘行動半径が狭すぎる、という共通認識ゆえ。

 GCAPはでかい。Gカップはデカイと表現すると2020年代にはいろいろなところから抗議が来てしまいそうですが、実際日本は広大な日本の領空を防空するのにF-35はF-15よりも戦闘行動半径が狭い、すると大型化しステルス性に響いてでも航続距離がほしい。

 イギリスがGCAPに求めるのは、GIUKギャップというイギリスとグリーンランドとアイスランドを結ぶ北大西洋上の防衛ライン、ロシアの爆撃機はここから北大西洋の船団を攻撃する、ここまで行動半径に収められる航続距離の大きな航空機が必要としている。

 イタリアは、イタリア空軍が長年重視する北アフリカ方面への展開能力強化を求めている。イタリア空軍は短い滑走路から運用可能なC-130JとAMX軽攻撃機による空軍緊急展開部隊を編制、AMXはF-35Bに置き換えられる計画ですが、GCAPならば直接行ける。

 NGAD、日本で新規開発せずともアメリカ製戦闘機を買えばいいじゃないか、という反論が飛んできそうですが、この計画に合致するのはNGAD次世代戦闘機だけ、しかもアメリカ空軍でさえ一機数億ドルに達すると概算、輸出の場合は10億ドルを超えかねない。

 グローバル戦闘機計画の略称であるGCAPは、F-35戦闘機よりもかなり大型化する、具体的に言えばロシアのSu-57戦闘機よりも大きく、現在世界最大のステルス戦闘機である中国のJ-20戦闘機と同程度になるとされ、一方アメリカほど世界最強に固執しません。

 次世代航空支配戦闘機の略称であるNGADに対してGCAPは可能な範囲で取得費用を抑えることを目指しており、イギリスとイタリアのユーロファイター戦闘機後継と航空自衛隊のF-2戦闘機後継の需要を考えた場合、なんとかF-22よりも量産数は多くなる。

 F-16戦闘機からF-2戦闘機が生まれたように、いっそのことF-35戦闘機を原型に主翼を50%ほど増大させ胴体兵装庫なども拡張したF-3戦闘機、というものもあり得るのかな、と考えたことはありますがロッキードマーティンはF-22とF-35の中間型を示した。

 F-22戦闘機の機体にF-35戦闘機のセンサーを搭載した次世代戦闘機を日米共同開発する、という提案でした。いや実際もしこれをアメリカがFB-22というようなかたちで採用するならば意義はあったのかもしれませんが、F-2のように日本需要だけになる見通し。

 F-2は当初計画の141機を生産する、そしてフランスのラファールのように改良型を作り続けていたならば、また別の展開があったのかもしれませんが、政治主導という視点で、現場では制空戦闘機重要論もありましたが、結果的に生産数が縮小されたのは記憶に新しい。

 F-2後継機がどのように展開するのか、GCAPはどちらかといえば、FS-X計画時代に構想された双発の大型戦闘機、という位置づけを目指すものですので、現在のF-2戦闘機にも思い入れはあるのですが、次の戦闘機への期待、実証機の飛行も中々待ち遠しいですね。

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【防衛情報】エイジャックス装甲偵察車とAMPV多目的装甲車両,ウラン装甲戦闘車近代化とレッドバック装甲戦闘車

2023-10-17 20:21:41 | 先端軍事テクノロジー
■防衛フォーラム
 今回は各国の最新装甲戦闘車や装甲戦闘車をもととした派生車両の最新情報を纏めてみました。

 イギリス陸軍は六月より異常振動問題でとん挫していたエイジャックス装甲偵察車の訓練を再開します。エイジャックスはASCOD装甲戦闘車のイギリス軍仕様で大幅に装甲防御を強化し40mmCTA機関砲など強力な火力を付与したもので、イギリス軍は偵察装甲車として589両を導入する計画で、現在は第一次生産分の44両が納入されている段階です。

 エイジャックスは乗車歩兵数を減らし装甲とエンジンを強化し過酷な偵察戦闘に対応させる設計であるが、エンジンと駆動系の再設計に問題が有り、強烈な振動と騒音が常に乗員と偵察兵を疲弊させ、評価書には健康を害し発狂する等の厳しい指摘が為されていて、騒音相殺ヘッドフォンの採用や防振材の追加などが行われるも計画は5年以上遅れている。

 イギリス国防省は2020年12月にメーカーであるジェネラルダイナミクス社に問題が是正されるまでのプログラム停止を通告し、4億8000万ポンドの頭金も保留してきましたが、是正改修などが漸く評価できる水準となり、評価試験を行うホービントン駐屯地で訓練再開に至ったかたち。イギリス陸軍は2025年の初度作戦能力獲得を目指しています。
■レッドバック装甲戦闘車
 日本の89式装甲戦闘車も共通装軌車輛により代替が始りますが韓国のK-21が輸出により性能を高めている点を俯瞰して1980年代と2020年代では装甲戦闘車の要求が異なる点に留意すべきでしょうね。

 オーストラリア陸軍はLAND400PHASE3次期装甲戦闘車に韓国製レッドバックを選定しました。レッドバックは韓国のハンファディフェンス社製、オーストラリア軍は長距離ミサイル導入など陸軍装備体系の変革を進めており、その装甲戦闘車導入計画は大幅に下方修正されていますが、それでも129両というまとまった数を導入します。

 レッドバック装甲戦闘車は韓国陸軍がKIFV装甲車の後継として2003年に開発したK-21装甲戦闘車のオーストラリア仕様で、原型のK-21はアルミニウム合金製車体にセラミック製追加装甲を装着し重量は26t、強力な40mm機関砲と750hpのディーゼルエンジンを搭載、機関砲弾はAP弾使用の場合T-62戦車の正面を貫徹する威力を有している。

 K-21の豪州仕様であるレッドバックは主砲をブッシュマスター30mm機関砲としスパイク対戦車ミサイルなどを搭載します。当初計画では450両の調達が見込まれていましたが下方修正され、129両を最大70億オーストラリアドルで取得する計画、また量産車両の納入については前倒しなどが見込まれ、数は下方修正されるものの戦力化を急ぎます。
■ウラン装甲戦闘車
 ASCODはエンジンやトランスミッションの汎用性の高さが指摘されていたのですがエイジャックスくらいしか装甲戦闘車としては海外に採用事例がないのが不思議ですね。

 オーストリア国防省はウラン装甲戦闘車近代化改修に関する5億6100万ユーロの予算を正式決定しました。近代化改修は耐用年数の延長と戦闘能力の強化を期しており、新しく砲塔左側にHZE主照準装置が追加されることとなります、これにより現在の照準器とともに索敵に用いる広角用と長距離照準用を分けて運用することが可能となります。

 ウラン装甲戦闘車の改良は更に操縦装置がデジタルパネル化し従来の計器類よりも車体状況の把握が容易となるととともに、潜望鏡が改良型となりバックモニターやサイドモニターを搭載し夜間を含め周辺状況の把握が容易となります。また前照灯もハロゲン電球からLEDへ換装され、これにより夜間や行進時の点灯で改良型か在来型か一見してわかる。

 ASCOD装甲戦闘車としてスペインとオーストリアが共同開発した本車は、オーストリア所要分をシュタイヤーダイムラープフ社が生産を担当しています、ただ、同社がジェネラルダイナミクスランドシステムズ社系列となったため、近代化改修はジェネラルダイナミクスヨーロピアンランドシステムスシュタイヤー社が担当することとなりました。
■AMPV多目的装甲車
 日本円で10億円を超える汎用装甲車というのが時代を物語るというべきかアメリカの経済力を物語るというべきでしょうか、しかし将来発展性が高ければ半世紀使える訳ですから安上がりという計算なのでしょうか。

 アメリカ国防総省は8月5日にAMPV多目的装甲車両の量産開始を承認しました。AMPV多目的装甲車両とは、1950年代後半からアメリカ陸軍に大量配備され老朽化が進んでいたM-113装甲車の後継車両です。高い汎用性と安価な性能でアメリカ陸軍を支えたM-113装甲車は1960年代には卓越した能力を発揮していましたが今は2020年代です。

 AMPV多目的装甲車両は、2014年にその計画が開始され幾つかの候補車両を検討した結果、BAEシステムズ社が提案した無砲塔型ブラッドレイ装甲戦闘車を原型としたものが採用されています。M-113は携帯対戦車ミサイル普及以前の車両でありアルミ製車体などはこうした脅威に脆弱であり、かつ個人携行装備の増大は車内容積を不十分なものとした。

 M-1283汎用装甲車やM-1284装甲救急車とM-1285野外衛生車両にM-1286指揮通信車そしてM-1287自走迫撃砲などが派生型として開発されています。その先行量産者は2016年に完成し、フォートスチュワートの第3歩兵師団第1機甲旅団戦闘団により評価試験が行われていたところで、その評価結果を待っていよいよ量産が開始された形です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:京都-京都駅前,ハンバーガーを多忙中に京都タワー地下で頂く至福の一時

2023-10-17 07:01:41 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 京都駅前にそびえる京都タワーの話題です。

 京都のおいしいハンバーガー、東舞鶴駅のすぐ近くに美味しいハンバーガーのお店を前に紹介しましたけれども、再度数か月後に探訪してみますと、ああハンバーガーはやめましたと言われ寂しい思いをしたものでした。それでは京都の玄関口でハンバーガーを考える。

 東本願寺、京都の駅前には伽藍堂宇が大きく広がり、ここが長く日本の首都であり、また精神文化はじめ多くのものに影響を与えてきましたことを感じさせるものです。それでは食文化の方ではどうだろう、といいますと、駅前、京都タワーの地下がなかなか素晴らしい。

 ニックストックという、京都タワー地下の飲食店街にありますお店は、これならば横須賀ネイビーバーガーにも佐世保バーガーにも負けない京都のハンバーガーだ、と胸を張って勧められます。いや同じ京都でも総監部の置かれた舞鶴まではまったく遠いですけれどもね。

 ベーコンバーガー、こういう大きなハンバーガーは、むかし佐世保で学んだといいますかお教えいただきました通り、作法はナイフとフォークに頼ることなく、手のひらでぐぐいと押しつぶすように平たくして、パンに芳醇な肉汁がしみ込みつつある中で噛り付くのがよい。

 ハンバーグが圧壊するのではなく焼き閉じ込められた肉汁をふわふわしたパンの内部までしみ込ませ、一部はケチャップとともに溢れそうになるところを噛り付く、ファストフードとは言うものの、これだけゆっくり楽しめるハンバーガーは日常の清涼を感じるひととき。

 京都タワーの地下は京都駅へも、もちろんお隣のヨドバシカメラへも繋がっています。ちょっと買い物をしようかとか遠出しようかというときには空腹は好ましくない、ハンバーガー一つで違う、そうしたときにちょっと立ち寄る気軽な空間というものは、よいものだ。

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【防衛情報】IRBリボンブリッジとVBMRグリフォン&EBRCジャガー,ATMOS装輪自走砲とグラアニ装甲車

2023-10-16 20:21:44 | インポート
■防衛フォーラム
 今週も陸軍関連の最新情報をまとめてみました。各国ともに有事の際に確実な調達を想定すると共に外貨温存の視点なども含め装備の国産化を進めている印象ですね。

 オランダ陸軍は改良型IRBリボンブリッジシステムを導入します。オランダ軍はムース川などの重要河川渡河用に伝統的に渡河作戦を重視しており、特に数百m幅の大河への架橋能力を維持しています。今回導入されたのはジェネラツダイナミクスヨーロピアンランドシステムスブリッジシステムズ社製の社名と同じくらい長い架橋装置です。

 現在オランダ軍に装備されている架橋システムは1985年製で老朽化し更新します。改良型IRBリボンブリッジシステムは3セットが取得される計画で、これらをつなぐことにより225mの河川を渡河することが可能となる。改良は既に試作装置での渡河試験が実施中、型IRBリボンブリッジシステムは2025年にも最初の装備が引き渡される。

 改良型IRBリボンブリッジシステムはトラックに搭載した浮橋結節部分複数と、それらを流れのある河川において流失させない動力船部分より構成されていて、改良型はより速い流速に対応し、またこれまで以上に重車両の通行に耐えるとのこと。国土の大半が海抜0m以下のオランダでは万一の際の浸水対策にもこの種の装備は重要のもよう。
■ルーマニア陸軍AAV-7
 黒海での水陸両用作戦を考えているのでしょうか。

 ルーマニア陸軍はAAV-7両用強襲車16両の取得計画についてアメリカ国務省より対外有償供与認可を受けました。16両の取得費用は1億2050万ドルで、この費用には指揮通信車3両と装甲回収車2両及び両用強襲車11両を含み通信装置や砲塔システム、EAAK増加装甲キットや機関銃と照準装置、技術支援費用なども含んでいるとのこと。

 ルーマニア軍の装甲車両体系は主力戦車にT-55改良型のTR-85を運用し、しかしさすがに旧式化が進んでいるとしてM-1A2エイブラムス戦車の導入を検討しています。そして装甲車の主力はMLI-84というソ連製BMP-1のルーマニア軍仕様を運用中で近代化改修によりエリコン25mm機関砲を背負い式に搭載したものを運用しています。

 NATOに加盟したルーマニアはスイス製ピラーニャシリーズを137両導入するなど近代化を進めていますが、純粋な水陸両用車両であるAAV-7はこれまでのルーマニア軍装備体系になかったものであり、黒海沿岸であるとともに国際河川であるドナウ川を国境とする関係上、海軍歩兵部隊である第307海兵大隊へ装備を考えているのでしょう。
■イギリスの次期中型ヘリ
 2020年代には総合入札が用いられるために輸出も技術移転や現地雇用を考えなければ防衛装備品を輸出する事は難しくなっています。

 イギリスの次期中型ヘリコプター選定へシコルスキー社は現地組み立て工場投資を検討中です。これはまだ機種が選定されていない次期中型ヘリコプター選定へ、アメリカのシコルスキー社は現地最終組み立て方式を採用することでイギリス国内への還元を提案しているもので、同社はUH-60ブラックホーク多用途ヘリコプターを提示する見込み。

 次期中型ヘリコプター選定では、最大44機の新型機を10億ポンド、米貨換算では12億8000万ドルという巨費が投じられる計画で、SA-330ピューマ中型ヘリコプター23機とベル412及びベル212などを置き換える構想です。これに対しエアバス社はH-175M多用途ヘリコプター、レオナルド社はAW-149多用途ヘリコプターを提案しています。
■VBMRグリフォン
 揃いましたね高くしないか価格管理を念頭に置いた装備です。

 フランス陸軍はVBMRグリフォン装輪装甲車500号車を受領しました。グリフォンはフランス軍に大量配備されたVAB軽装甲車の後継車両として開発、実に5000両もの多数が製造され、装甲の薄さや路上以外の不整地での踏破能力の限界などが指摘されているもののとにかく多数が配備され歩兵砲兵工兵憲兵を防護したVABを置き換えている。

 VBMRグリフォン装輪装甲車はトラック型の六輪装輪装甲車で、量産開始時に100万ユーロ以内に製造費を抑えることが第一とされた装甲車両、しかし戦闘重量は25tと重く装甲は厚い。トラック型の車両は装甲輸送車から指揮通信車に装甲救急車など多彩な運用が可能で、2018年から量産が開始、早くも500両という纏まった数が揃ったという。
■EBRCジャガー
 価格管理年頭の基本車両を元に価格度外視のハイスペックをおりこむというかなり野心的な設計に見えます。

 フランス陸軍はEBRCジャガー装甲偵察車50号車を受領しました。VBMRグリフォン装輪装甲車500号車を受領した話題とともにこの50号車の話題は発表されています。こういうのも、大口径機関砲とミサイルを備えた砲塔をもつジャガーとグリフォンは外見こそ全く異なるものの、可能な限り社会部分を共通化し製造費用を抑えています。

 EBRCジャガー装甲偵察車はAMX-10RC装甲偵察車とERC-90空挺機動砲の後継車両に位置付けられていて、戦闘重量25tと40mmCTA機関砲及びアケロン対戦車ミサイルを搭載した砲塔を備える六輪式の装輪装甲車で、最高速度は90km/hと航続距離は800kmという。ERC-90よりも遥かに重いですがC-160輸送機ではなくA-400Mに搭載する。

 スコーピオン計画としてフランス軍が装備する多種多様な装輪装甲車を装甲戦闘車であるVBCIと、そしてもう一つの装輪装甲車で統合する計画に基づき開発され、EBRCジャガーの製造費用は量産が進み500万ユーロ、フランス軍は将来的にEBRCジャガー300両とVBMRグリフォンを1872両量産し、旧式化した装甲車を一新する構想です。
■チェコ空軍AH-1Z
 ハインドを手放して必要としている友好国に供給する事で見返りにアメリカから入手したという方式が安価に装備の転換を実現できました。

 チェコ空軍はAH-1Z戦闘ヘリコプターの受領を開始しました。納入されたのは初号機と二号機でアメリカ空軍のC-17輸送機によりチェコのヴィカー空軍基地へ到着、納入式典が行われました。チェコ軍の装備体系はNATO加盟とともに西側装備へ転換を継続していますが多額の費用を要する航空機の切り替えにはようやく着手できたかたち。

 AH-1Zヴァイパー戦闘ヘリコプターとともに整備系統が重なるUH-1Yヴェノム軽輸送ヘリコプターもチェコ空軍に配備されており、9月までにAH-1Zを2機とUH-1Yを2機、更に納入されるとのこと。チェコ空軍は今後2年間にわたりアメリカ海兵隊航空部隊との共同訓練を継続し新しい空中機動装備体系に初度作戦能力を付与させる方針です。
■ATMOS装輪自走榴弾砲
 デンマーク軍は現在砲兵装備が無く、理由は保有していたカエサル自走榴弾砲全てをウクライナへ供給してしまった為で現在砲兵は何を訓練しているのか気になります。

 デンマーク軍は8月4日、イスラエルより最初のATMOS装輪自走榴弾砲を受領しました。デンマーク軍はカエサル装輪自走榴弾砲19門を保有していましたが、これらすべてを2022年のロシアウクライナ戦争開戦後にウクライナへの軍事支援として供与してしまい、陸軍には81mm迫撃砲を除いた砲兵火力、榴弾砲が一門もない状況でした。

 デンマーク軍はこの状況を重く見たものの、欧州の火砲生産状況は飽和状態にあり直ぐ発注した場合でも数年以内に納入される見通しが立たない状況であったため、イスラエルのソルタム社より自走榴弾砲と重迫撃砲や高機動ロケットシステムを調達する方針とし、2023年5月には先ずソルタムK-6重迫撃砲、120mm迫撃砲を受領しています。

 ATMOS装輪自走榴弾砲は19両が導入されることになり、この納入完了によりウクライナへ供与する前の段階の砲兵火力を一応同水準まで戻すこととなります。ATMOS装輪自走榴弾砲は52口径155mm榴弾砲をチェコ製タトラT815VVNトラックへ搭載したもので、全自動化された火器管制システムを備えるとともにC-130輸送機での空輸が可能です。
■リマックスRWS
 グラアニはウニモグ車体を使った事で安易に外国製基幹部品を用いると自由な輸出が政治的制約に阻まれる事を認識させました。

 アルゼンチン陸軍はリマックスRWS遠隔操作銃塔搭載型のグラアニ装甲車を運用開始しました。リマックスはARES社が開発したブラジル陸軍向けのRWS遠隔操作銃塔で12.7mm機銃型と7.62mm機銃型があり、二軸安定化装置による低速行進間射撃能力と見越し線計算能力による移動目標への射撃能力、また夜間戦闘能力などがあります。

 グラアニ装甲車はVBTR-MR装輪装甲車ともいわれ、ブラジル陸軍の要求仕様によりイタリアのイヴェコ社が開発した装輪装甲車、六輪式で全長6.7mと全幅2.7mで戦闘重量16.7tあり2012年より配備が開始されています。アルゼンチンは2022年に156両の導入計画を発表、しかし車体がウニモグ社製であることからドイツ政府が反対を表明していた。

 ウニモグ車体の採用によりドイツ政府が反対した背景には、ブラジル政府がウクライナ政府より450両のグラアニ装甲車売却を求めていたことをブラジルの親ロシア政策で知られるルーラ新大統領が反対していたためであり、これによりアルゼンチンへの輸出は難しくなったと考えられていましたが、今年8月に入り漸く輸出が実現されたかたちです。
■タランチュラ機動装甲車
 これも国産を名乗っていますが基幹部品は輸入であり日本のような防衛産業を持ちたくとも持てない国の事情を垣間見てしまう。

 マレーシア軍はミルデフ社製タランチュラ機動装甲車両178両の導入を決定しました。マレーシア軍は防衛装備品の大半を海外製装備に依存していますが、タランチュラ機動装甲車両はマレーシア国内のミルデフインターナショナルテクノロジーズ社が製造しており、2021年に試作車が完成、評価試験を経て今回正式に量産が決定したかたちという。

 タランチュラ機動装甲車両は四輪駆動式で全長5.6mと全幅2.5m、車体底部は地雷の爆風を逸らすV字型形状を採用し全高は2.5m、キャタピラー社製330hpディーゼルエンジンを備えており、NATO防弾規格STANAG4569換算ではレベル2の防御力を有しています。ただ、エンジンや変速機などは外国製で、装甲車国産化には課題が残りました。
■ブラックウィドウスパイダー
 中国やシンガポールなどの技術を基に独自に組み上げたという力作でやはり現代は国産装備の時代を不安定な国際情勢が醸成してしまった構図だ。

 タイ陸軍はブラックウィドウスパイダー水陸両用装輪装甲車の水上試験を開始したと発表しています。ブラックウィドウスパイダー水陸両用装輪装甲車はDTIタイ国防技術研究所が独自開発した装甲車両です。タイを含めた東南アジア諸国は装備の多くを輸入に依存しており、タイ国防省も2015年にこれを問題視し国産装備開発方針をしめしました。

 ブラックウィドウスパイダー水陸両用装輪装甲車の概要は示されていませんが、水上浮航速度は8km/hであり、八輪式車体を採用、また砲塔部分はシンガポールのSTエンジニアリング社製銃塔が搭載されています。DTIタイ国防技術研究所によれば、この装備は技術実証車であり現段階での部隊配備計画は無いとし、国産技術の養成が目的としています。

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