「思い出袋」は鶴見俊輔さんが数ヶ月前に出した岩波新書である。もとは岩波書店のPR誌「図書」に7年にわたって掲載されたものである。あまり新しいことはないのだろうと思って直ぐには購入しないでいたが、昨日書店に久しぶりに行って購入した。
家に帰って夜NHKの「龍馬伝」の放送の後に深夜2時くらいまで読んだが、まだ最後の1章を残してしまった。連載のときから幾分か書き加えたらしく、読んだ覚えのないところもあった。また、「学校を卒業する」ことへの懐疑とか「定義からはみだす」(新しい学問や思想は定義からはみ出すところにある)ことが必要なのにそれをほとんどの人ができないで、優等生であることへの違和感も明確に述べられており、鶴見さんの考えが出ているように感じられた。
鶴見さんのお先棒を担ぐ必要はないのだが、一読に値するのではないかと思う。さらに、昨日書店で見た、同じ岩波新書の最近刊「ぶらりミクロ散歩」だったかは電子顕微鏡でいろいろなものを見て研究している人のエッセイであった。まだ、購入していないが、エッセイとして優れたものだと思った。精神病理学者だった島崎敏樹さんの再来のような感じがするエッセイであった。