物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

タイムラグ

2010-10-13 10:57:51 | 学問

今年(2010年)のノーベル賞化学賞の受賞と2008年の日本出身の科学者たちのノーベル賞受賞とを考えると日本の科学は花開いたと一般の人はとるのであろうが、これは単にタイムラグにしかすぎない。30年から40年前の業績にいま賞が与えられているのだから、過去の栄光を見ているに過ぎない。

科学においては実証されないと科学としての価値が確定しないから、受賞が何十年も後になるのは一般的に言ってしかたがない。

だが、いま賞をとっているから、日本の科学が花開いていると思うのは間違っている。現在若い科学者が赫々たる業績を上げているのなら、それを象徴する出来事といっていいだろうが、そうではないと思う。

少し頭のいい人は大学の現状に失望して大学に勤めないとも聞いた。それでもやはり大学で研究教育に精励する研究者はいるので、学問研究がまったく無に帰すということはないが、それでも若者に希望を与えられない、現状は本当は放置していていいものではない。

国の財政赤字や国民の年金問題、老後の社会福祉の不安、経済や産業の空洞化を見ている人はどこにその解決策を見出せるかに苦労している。

これからの産業分野として発展が期待される分野は医療、教育、介護だといわれているが、それらを生き生きと活性化できているかというとどうも怪しい。

医者は不足して各医者は疲労気味であるし、地方には医者不足である。もちろんときどきテレビとか映画とか新聞で取り上げられる先進的な地方があるのは事実だが、それはときどき称揚されるぐらいである。

もっともそんなことを道徳的に称揚してもらっても困る。制度として保障ができることが望ましい。そういう風に考えるとなかなか現在の問題は深刻である。また、それに立ち向かう人が居てほしいものである。