このブログはphysicomathで数学と物理を主に取り扱うことを目指しているが、周辺の科学も取り扱うことも許してほしい。2008年の4人の日本生まれの科学者がノーベル賞を受賞したことは記憶に新しいが、それをさらに強めたようで喜びに耐えない。
鈴木章氏は2008年の4人の受賞のときに新聞で受賞の可能性がある人として名が上がっていたように思う。根岸英一氏の方も多分名が上がっていたのだと思うが、記憶に残らなかった。鈴木氏も名前は忘れてしまっていたが、北海道大学の名誉教授ということでそんな方が居られるのだなということが記憶に残った理由である。
日本人または日系の物理学の受賞者はいずれもなるほどと思う方々であったが、化学はそちらの方に詳しくないので、いろいろ優れた研究者がいてもあまり存じ上げない。
両氏のパーデュ大学での先生ブラウン氏もノーベル賞受賞者だそうであるので、先生がよかったので、ノーベル賞が取れたという印象があるのだが、これは一方では事実であるが、また一方では事実ではない。
新聞に鈴木氏が語ったところではホウ素を用いたカーボンの分子の結合は確かにブラウン先生の研究テーマだったらしいが、当時いた30人あまりのブラウン氏の学生や研究者はほとんどこの先生の考えを実現の可能性が少ないものと考えていたという。その先生の考えを実現したのは日本人の二人の化学者を含めて当時は少なかったという。だから、先生が偉かったから、ノーベル賞をとれたという考察はあまりに短絡した考えであろう。
自分の事を持ち出して恐縮だが、私の物理の先生はかなり有名な方であったが、その薫陶を得たはずの私は凡庸な物理学者にすぎなかった。だから、先生が偉くても必ずしもその生徒が偉くなるとは残念ながら言えないのである。先生が偉いだけではなくて本人の才能がなくては花は開かない。