梅雨の真っ最中である。バケツをひっくり返したのではないかと思われるような雨が降る。しかし、一度雨が止むと最近の都市は砂漠のような暑さである。
これは道路がアスファルトで舗装されており、水は土にはほとんどしみこまないので、下水に流れてしまうからである。
都市砂漠といわれる。確かに、年々都市は砂漠化した気候となっている。東京のような大都市だとそれなりに緑地も多く、必ずしも砂漠化はしていないかもしれないが、それでも以前と比べれば都市の砂漠化が進んでいるのは確かであろう。
しかし、いいところもある。私が小学生のころにはまだ道路が舗装されていないところがほとんどで、舗装がされているのは、よほど大きな道路に限られていたので梅雨の時期には雨靴が欠かせなかった。
ところがこのごろは道路がほとんど舗装されているので、雨が一旦上がると道路はすぐに乾いてくるので雨靴が必要でなくなり、普通の靴ですむようになった。もちろん、雨のときは少し靴が湿ることはあるが、それでもたいしたことはない。
これはよくなったことの第一であろう。それにこのごろでは降った雨の幾分かは下水ではなくある特殊な道路の舗装の表面から地中にしみこむというものまで開発されているらしい。
あの雨が乾かず道路の表面がじめじめしているのを経験した子どもときを考えると梅雨の苦痛が幾分かは和らいでいる。
あのじめじめした季節は耐えがたかった。いまでも梅雨の時期には押入れの中でカビが生えたりはするであろうが、家の中も以前ほどじめじめはしていないと思う。