昨夜、坂本龍一「スコラ:音楽の学校」が11時からあるかと思って、教育テレビをつけたら、それがなくてその代わりに「バークレイ白熱講義」というカルフォルニア大学バークレイ校のムラーという物理の教授の5回の講義の第1回であった。
ムラー先生はいう。エネルギーは大事だ。もし君たちの誰かがアメリカの大統領になったときにエネルギーの定義は知らなくてもいいが、いくつかの数字を知っていて、とるべき政策が荒唐無稽のものでないかを判断できるようにしておくべきである。
これにはびっくりしたが、考えてみるとムラー先生の言われる通りである。ムラーさんはいう。いかにアメリカ大統領であっても、まず法を守らなければならない。それよりも前に物理の法則には従わらざるを得ない。物理の法則はいかなる権力者でもそれに反することは絶対にできないのだから。
そういう意識が必ず大統領といえども持つべきだというのはやはり見識である。1GWの電力を太陽光で賄うには1km^{2}の面積が最低必要であるということを知っていたある女学生が核融合の物理専門家を遣り込めるエピソードをムラーさんは話していた。
これはアメリカ全土の電力を賄うには40GWの電力が必要だが、これを太陽光のパネルで賄うにはアメリカ全土にパネルを敷いても電力を賄えないといったことに反論したらしい。
この数値は私の記憶であり、間違っているかもしれないが、要点はアメリカ全土にパネルを敷かなくても、損失とか効率とかを無視すれば、40GWの電力を賄うことはできるということである。
車でそれを太陽光のパネルをその屋根に載せて動かすのはなかなかである。そういうソラーカーのレースがオーストラリアとかアフリカで行われたとか聞いたことがあるが、あまりスピードは上げることができない。
だが、それは太陽光のパネルによる発電が意味をなさないということではない。さらに将来のエネルギーについての学生の予想をさせていたりした。この代替エネルギーの話はどうも第2回のテーマとなるらしい。
ともかく、このムラーさんの観点はなかなか私などは持ったことがないものであった。ムラーさんは本も書いているらしいので、どなたかが訳してくれて、それが手に入れて、日本でも読むことができるようになる日もそれほど先ではないかもしれない。