昨夜のNHKのテレビでちらっと見たのだが、AIが文系と理系の境をなくしていくという風な番組だったらしい。
そういえば、岩波のPR雑誌「図書」10月号にもサイエンスライターの渡辺政隆さんが『二つの文化をつなぐ」というエッセイを書かれており、その冒頭部にイギリスの作家C.P. スノーの本『二つの文化と科学革命』(みすず書房)のエピソードを書いている。
一言でいえば、この世には二つの世界があるということだ。
イギリスの作家のスノーは大学では物理学を専攻した人だが、文系の教養ある人々と同席することが多く、その席上で、科学者の教養のなさを聞くことが多かった。
それで逆に「あなたは熱力学の第二法則を知っていますか」と尋ねることにした。彼らはそれを知らないことを恥じるようでもなかった。
古典文学を貴ぶ人にとって、物理学の初歩など知る必要がないと思われていたのだ。
それでスノーはこの世には文科と理科という二つの文化があるということを知ったのだという。この二つの間にはコミュニケーションは成り立たないという。
昨夜の放送がどういう内容だったのかは、おわりのほうにこの放映を見たのでよくはわからない。しかし、二つの世界をどうにかして橋渡しをしたいという気持ちがあったことはまちがいがなかろう。