「加法定理の導出いろいろ」といったエッセイを大幅に書き換えて出す必要を今感じている。
「加法定理の証明いろいろ」というタイトルのエッセイを『研究と実践」(愛数協)(1995年)に書いたときには、たった4つの導出法だった(『数学散歩』(国土社、2005) 45-51に再録)。
いまでは、これの2倍以上の方法があるのではないかと思っている。一つは極座標表示での距離を求めることから導く方法である。遠山啓さんの遺した晩年の『数学セミナー』への寄稿もあるし、考え方は同じだが、片山孝次さんの『複素数の幾何学』(岩波書店)にも似た証明がある。
余弦定理を用いる方法もある。
それに昨日、神田の明倫館書店からインターネットで購入した、戸田清『三角関数』(旺文社)を見たら、「加法定理の別解」というタイトルで4つが出ていた。これは幾何学的な導出に加えての話である。
武藤徹先生もベクトルとかその他の方法で導かれている。それらを全部見て、また新たにエッセイを書きなおす必要があろう。
そのとき、昔は気にしなかったが、どういう知識がもとになっているのかを気にする必要があると今では感じている。
昔は、あまり教育という観点がなかったから、いくつでも知識はいろいろもっていると仮定してもよいと考えていた。
それがもうちょっときめ細かな配慮が必要な時代になったのかなという感じをもつ。いや、これは私自身の成長(?、少なくとも老化ではなかろう)によるのかもしれない。
「Eulerの公式の導出いろいろ」というエッセイも『数学・物理通信』4巻6号 (2014.9) 18-34 に掲載している。これにはもちろん前の版があり、これは『研究と実践』(愛数協) No.102 (2009.10) 21- 36である。もっともこの前の版を直接に見た人などいないだろう。