和歌山県印南町長選挙が24日投開票され、元町議で会社経営の玄素彰人さん(34歳)が初当選しました。
新人2人が立候補した「前教育長(67)」vs「前町議(34)」の27年ぶりの一騎打ち。
公然と「脱しがらみ」を訴えた玄素さんに軍配が上がりました。
写真は玄素彰人さんのホームページから。
玄素彰人(げんそ・あきひと)さんは1973年4月17日生まれ。
全国1800自治体の中で、最も若い首長の誕生です。
きょう時点での最年少首長は新潟県三条市・國定勇人市長=1972年8月30日生まれ=の35歳。
過去には1952年に「25歳町長」という記録があります。
ちなみに玄素さんは「二世政治家」ではありません。
【少子高齢化と人口減少が続く印南町】
印南町の有権者は7,750人(うち女性は4,100人)。
西側に中心地・印南漁港、東側は紀伊山地と広大で細長い面積110平方キロの町です。森林と漁村が併存し、限界集落を抱えながら、多目的ダムが建設され、水没予定の世帯もある。
ある意味、“日本の縮図”と言っていい自治体かもしれません。
対抗馬の前教育長は任期半ばで病気辞任した前町長の後継者として「話し合いによる町政」を訴えました。
自民党の二階俊博総務会長の後援会「新風会」が推薦し、多くの組織の推薦を取り付けましたが、敗れました。
【25回のミニ懇談会に800人】
玄素さんは2年半前の町長選で獲得した3,084票を基礎に、前職の辞表提出後、25カ所でミニ懇談会を開催。総計800人と対話しました。
「(候補者)1人 対 全有権者 」
という構図をえがき、組織推薦は有志の会などを除き受けませんでした。
地勢上、関心が地区によって違うため、ミニ懇出席者の質問に答える形でローカル・マニフェストを説明したり、要望を聞いたりしましたが、「すべての質問に答えた(回答できた)ので驚いた」(後援会員)とのこと。
政策通をアピールして、「町長には若い」という批判を一部にとどめました。
年長の町議・県議数人も親身に応援。街頭で堂々と「みなさんのおかげで町会議員に当選させてもらったけど、脱しがらみには、町議では限界があるんです」と訴える町議もいました。改革への志を共有できていたのも勝因のようです。
【玄素彰人さんのプロフィール】
玄素さんは印南町出身。県立日高高校、明治大学政経学部政治学科を卒業し、新進党東京11区総支部で学生ボランティアから職員に。
朝日新聞政治部でのアルバイト経験もあります。
和歌山県に帰郷し、代議士秘書のあと、28歳で町議会議員に当選しました。
町議会の初質問では、のっけから「古代ギリシャのソクラテスとアリストテレスは~~」とぶちかまし、非凡なところを見せました。
32歳で町長選に出馬し、次点に終わった後は、会社を設立・経営し、次の町長選に備えていました。妻と長男の三人暮らしで、子育てまっ最中でもあります。
玄素君と私は互いに学生として新進党総支部でボランティアをしていたころから15年来の付き合いです。
街頭演説でも、地区ごとに話題や政策を変えており、その成長ぶりや、驚嘆に値しました。家から飛び出して街宣車に向かって手を振ってくださる支持者の方々の姿をみて、感動しました。
就任直後に予算議会(3月定例会)が始まりますが、彼ならきっと大丈夫でしょう。