(写真は共同通信)
【春闘のヤマ場は労働者にはきわめて厳しい結果に】
きょうは春闘のヤマ場でした。
が、トヨタ自動車労使が3年連続の「ベア1000円」で妥結するなど、きわめて厳しい結果となってしまいました。
「トヨタなど大手の正社員の賃金など自分には関係ないよ!」という人も多いでしょう。
しかし、例年春闘のヤマ場によって、中小零細企業、非正社員の賃金交渉の相場も出来ています。いわば賃金交渉の“川上”ですから、けっして他人事ではありません。
【鉱脈をあつかう炭鉱=ヤマ=に由来する春闘のヤマ場】
春闘のヤマ場とは、連合(日本労働組合総連合会)に加盟しているトヨタ労働組合など金属製品を扱う大手メーカーの正社員の賃金について話し合う日です。
職場の意見をとりまとめて、労組委員長が提出した「要求書」への、会社側の第1次回答が示されました。
会社からでてくるのは、労務担当重役、だいたい常務取締役あたりが多いです。
ちなみにヤマ場とは、炭鉱労働者が鉱脈を「ヤマ(炭鉱)」と呼んだことに由来しているようです。
「春闘」は日本だけの制度です。
会社員の中には、春闘を小ばかにした態度を取る人をよく見かけます。自称・他称「幹部候補生」は、いずれ「経営者」サイドにいくつもりなので、昔気質の労働運動を蔑視するんでしょう。
で、ベアとはベースアップ(和製英語)の略です。定期昇給とは別に、賃金全体の底上げ(ベースアップ)を図るものです。
【「トヨタですら1000円だよ」に気をつけろ!】
さて。
「トヨタですら、1000円だよ」
今後、「労担」(労務担当重役)の口癖になりそうな予感です。要注意です。
昨年来、連合の高木会長は、「2008春闘では、正社員だけでなく、契約社員、派遣社員らの待遇改善を求める」と要求してきました
2007年12月4日に連合が決めた春闘の基本方針に次のように書いています。
格差社会からの脱却のために、賃金の底上げと格差是正に結びつく賃金改善、非正規労働者の処遇改善や正社員化、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた労働時間の短縮、国際的に見て低すぎる割増率の引き上げ等に積極的に取り組む。(引用終わり)
これに対して、経営者側の代表である日本経団連の御手洗会長は「賃上げ容認」を明言しました。
ところが年明けの「原油高」「円高」によって、「トヨタですら1000円」になってしまったのが、きょう、春闘のヤマ場の結果です。
連合HP内の速報をみても、経営者からの1次回答は「松下ですら1000円(労組要求は2000円)」をはじめ、1000円~800円程度の惨たんたる結果となっています。
【これでいいのか、労働者諸君!】
まとめると、
「年明けからの原油高・円高のため(会社の)今後が不安なので」
↓
「(労働者の)賃金の底上げは見送りたい」
というのが、2008春闘の現段階での状況です。
午後9時過ぎても働いている「社長候補」の労働者諸君!
これでいいのかい?
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春闘一斉回答、前年並みの賃上げ 消費刺激は限定的(朝日新聞) - goo ニュース
春闘相場を主導する自動車や電機など大手製造業の一斉回答が、12日午前始まった。労組側は、好業績を理由に前年実績を上回る賃上げを求めたが、経営側は景気の先行き不透明感を盾に大幅な賃上げに難色。大半の企業は3年連続の賃上げとなったが、水準は「前年並み」が目立った。食品など身近な商品の値上がりが相次ぐ中、労組側が期待する水準の賃上げを達成できなかったことで、消費がどれだけ刺激されるかは不透明だ。
海外販売が好調な自動車では、トヨタ自動車が過去2番目に高い組合員平均年間253万円の一時金(ボーナス)要求に満額回答。しかし、月額1500円を要求していたベースアップ(ベア)は、3年連続して1000円で決着した。連合幹部は「トヨタですら前年並みにとどまったことが、大手製造業以外の企業の賃上げを前年実績以下にする口実として使われかねない」と警戒する。