ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

【参院予算委】福田首相、国債増発に否定的

2008年03月18日 22時52分20秒 | 第169通常会(2008年1月~6月)ガソリン国会

【2008-3-18参院予算委 道路財源集中審議】

 朝日新聞の下記の記事から。揮発油税(ガソリン税)の暫定税率などを盛り込んだ租税特別措置法を3月31日までに通らないと、ガソリンは25円ちょっと値下げになります。

 役所側としては、見込んでいた額よりも、税収不足。国では1兆7000億円(1年間)の不足が見込まれます。

 この不足額に関して、福田康夫首相は「建設国債を(発行して)充てることは避けなければいけない」と述べました。西田実仁氏(公明)への答弁。

 しかし、これは福田さんが財務省応援団の「大蔵族議員」の証左だと思いますよ。
 1兆7000億円の国債増発は可能だと思います。

 というのは、日本国債は新年度入りを前に大人気。
 10年物国債の利回りは1・3%台に低下(国債の表面価格は上昇)しています。

 世界はサブプライム・ショックという名の“カネ余り”。
 大人気の日本国債増発で、21世紀の妖怪、マネー(money)を回収してしまいましょう。

【2008-3-14 参院予算委 基本的質疑】

 これに関連して、3月14日の基本的質疑では元郵政相の自見庄三郎さん(国民新党副代表=民主党統一会派)が熱弁をふるいました。



 この中で、「自分自身もそうだったが、自民党政治家、マスコミ、学者がみんな財務省を向いている」として、「財政再建至上主義」を批判。

 国債の新規発行を認めないとする財政を批判し、国の資産を有効活用するよう迫りました。

 私は長年、自見さんを「ただの郵政族」と思っていたんですが、この質問に目が覚め、見直しました。私の思いこみかもしれません。

 国債に関する小生の考えはこれまでも当ブログで言及していますので、ぜひお読みください。

 日本国債の35%は日本郵政グループが持っています。外資系は5%でした。
 今から100余年前、日本はリーマン・ブラザーズ証券などから借金して、日露戦争でロシア軍を中国から追い出しました。このとき、アジアに“近代”が訪れました。
 ところが、国民は戦費を外債で調達したことを知らなかったものですから、戦争をやめ、ロシアに賠償金も求めない政府に対して腹を立て、日比谷焼き討ち事件が起きます。このときから、坂の上の雲から転げ出し、先の大戦へと転落していきました。

 閑話休題。国債のはなしとなると、筆が進み過ぎちゃいます(^^;)

 小渕内閣のとき、「2008年問題」という言葉が国会やマスコミをにぎわしました。さて、2008年になりました。「問題」は?実は解消済みなんです。財務省がうまいこと、買い入れ消却していたんです。財務省はたいしたものです。

 国債の残高が増えれば、財政が硬直化し、政府の予算編成の選択肢が小さくなります。

 でも、「新規国債は発行しない」と国民が決めつけてしまうと、政策の選択肢が少なくなり、デモクラシーが機能不全になります。ご用心ください。


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朝日新聞(3月19日付)首相、国債増発に否定的 道路財源の暫定税率切れでも

 福田首相は18日の参院予算委員会で、ガソリン税など道路特定財源の暫定税率の期限が切れて4月から税収が減った場合の対応について、「建設国債を(発行して)充てることは避けなければいけない」と述べた。暫定税率がなくなると、国の財源が年間で約1.7兆円不足する計算だが、国債の追加発行ではなく歳出削減で対応する考えを示したものだ。

 西田実仁氏(公明)への答弁。福田首相はその理由として、建設国債を増発すると、国・地方のプライマリーバランス(基礎的財政収支)が悪化し、2011年度までの黒字化目標の達成が難しくなることを挙げた。

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【道路財源】“埋蔵金6兆円”で2年間延長 尾立政調副会長

2008年03月18日 18時51分52秒 | 第169通常会(2008年1月~6月)ガソリン国会

【08-3-18 参院予算委・道路財源集中審議】(速報版)

 暫定税率失効を目前に国民、自治体の注目を集める
 「道路特定財源」。

 民主党政策調査会副会長が参院予算委で重要発言。

 「道路特会の“埋蔵金”は6兆円ある」としたうえで、
 「これで2年はもちますよ。その間に議論しましょうよ」

 ガソリン税などの暫定税率は今年度で廃止し、
 2年間は埋蔵金で国・自治体の歳出予算を執行しながら、みっちり道路財源のあり方を議論していこう――。
 私はそう解釈しました。


 発言の主は、尾立源幸(おだち・もとゆき)さん。


 
 午後2時48分過ぎの質疑です。

 道路財源のおカネ(money)の流れ(flow)を解明した分かりやすいパネルで質問する尾立さん。

 でっかいパネルの中央からシールをはがすと、「6兆円」。

 これは道路特会の「出資金」。

 日本道路公団などの債務を引き継いだ「独立行政法人・日本高速道路保有・債務返済機構」 「○○-○○道路」と呼ばれる地方の有料自動車専用道路「地方道路公社」(法人格は複数です)などへの出資金。

 これが6兆円に上る。
 ということは、この“埋蔵金”を担保にお金(money)を借りれば、政府の信用もあるし、6兆円マルマルは無理でも、3・4兆円(1・7兆円×2年間)のお金は工面できるのではないかという考え方だと思います。

 額賀財務大臣が「委員長!委員長!委員長!」と叫んで珍しくみずから答弁を求め、反論しましたが、尾立さんに言い返されると、黙ってしまいました。

 冬柴国交相は弁護士ですから、自動的に税理士資格も持っているはずです。

 冬柴さんは「尾立さんは公認会計士だから、バランスシートや損益計算書を読むとそうなるんでしょうが」としながらも、

「私も前職弁護士でしたが、これ(国交省などの公会計)、全然違うでしょ。分からんでしょう、どこにあるか分からないんですよ、ほんとに」との答弁に尾立さんも相づちをうちなど一瞬、和やかなムード。

 道路財源修正の機運の盛り上がりを感じさせました。
 自治体担当者はホッとしたのではないでしょうか。

 尾立さんはこのあと、「国交省の帳簿があいまいだ」とマシンガンのように指摘。
 冬柴国交相も「一般の人、商売をやっている人にも分かるようちゃんとやらせます」と珍しくハッキリ前向きに答弁したほか、伏屋和彦・会計検査院長も不透明なカネの流れの解明に積極的な姿勢を示しました。


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【町長裏金問題】町議会が百条委員会設置、元町長証人喚問検討

2008年03月18日 16時59分11秒 | 人物
 和歌山県旧美里町の裏金問題で、紀美野町議会は百条委員会を設置しました。
 地方自治法100条に基づく特別調査委員会です。
 裏金を最後に管理していた元町長を証人喚問する方針です。

 こういうウミは出して出して出しまくらないと意味がありません。
 最終的な刑事告訴から逆算して、町議会は町民と協力して、徹底的に叩かないといけません。情けをかけた町議は自分がしっぺ返しを食らうことを覚悟した方が良い。町議はマスコミを利用し、かつうまく利用されるのも肝要です。


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元町長の証人喚問検討 和歌山の裏金で百条委(共同通信) - goo ニュース

 和歌山県の旧美里町(現紀美野町)の裏金問題で、紀美野町議会は14日、裏金の収集方法や使途などを調査する百条委員会を設置、委員長に就任した伊都堅仁町議は、段木晃元町長(60)の証人喚問を検討する考えを示した。元町長が実質管理していた裏金用の口座から、計約380回にわたって振り込みや現金の引き出しがあったことが判明。百条委は詳しい使途などの解明を進める。
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【日銀総裁】田波さん“2度目のリリーフ”なるか? 前回は“パンしゃぶ”後の大蔵事務次官

2008年03月18日 16時39分39秒 | 第169通常会(2008年1月~6月)ガソリン国会

(写真は田波耕治さん=国際協力銀行ウェブサイト)

 自民党政府は18日、日銀総裁に田波耕治元大蔵事務次官(68)、武藤副総裁の後任に西村清彦・審議委員(54)を充てる人事を国会・民主党などに提示しました。

 田波さんはかつて大蔵事務次官にリリーフ登板した人です。
 今度は日銀総裁へのリリーフを求められています。

 ◇

 私が首相官邸で総理番をしていた1997年は「山一・拓銀ショック」「アジア通貨危機」「橋本行革」など激動の時代でした。
 私は1997年は「日本がグローバリゼーションに抗えなくなった年」として歴史的(エポックメイキング)な年として現代史に位置づけられることになると考えています。

 このとき、内閣内政審議室長だったのが、大蔵省出身の田波さん。
 旧官邸は手狭だったので、室長室は総理府にあり、総理に呼ばれたときだけ、首相官邸にやってくるのです。
 1日3回やってくるときもあり、赤絨毯をのぼってくる田波さんに

 「室長、きょうは3回目ですが、何のご用件ですか?」
 「はは、何だと思う? あててごらん?」

 と言われて、いろいろ予想したことがありました。

 当然、大はずれだったでしょうが、そういう生活の中で鍛えられました。

 田波さんは人柄がいいダンディ。内政審議室長から大蔵事務次官へと奇跡の復活を果たします。

 “ノーパンしゃぶしゃぶ事件”。
 三塚大蔵大臣、小村武事務次官が辞職し、武藤敏郎官房長は降格。
 日銀では松下康夫総裁、福井俊彦副総裁が辞職。

 この危機的な大蔵省を救うため、橋本首相が大蔵事務次官にすえたのが田波さんです。田波さんのリリーフで、大蔵省は立ち直りました。

 ◇

 さて。
 田波さんの経歴を確認しましたが、主計局、主税局と大蔵省の2、3階で仕事をしてきた人です。
 福田首相がこの期に及んで、主計局、主税局、理財局出身者しか総裁候補に出してこられないのは、官邸が機能不全になっている証拠です。

 財務省(大蔵省)出身者なら、国際金融・通貨行政のトップである、財務官でなければ、意味がない。

 「福井総裁の再任」、「田波総裁」案と福田さんは思考停止です。

 一連の人事は、坂篤郎内閣官房副長官補が調整しているのでしょうが、福田総理・町村官房長官のリーダーシップはどうなっているのでしょうか?

 総理や官房長官が率先しないと、副長官補もかわいそうです。 

 さて、田波さんの2度目のリリーフ成功なるか?

 私はやっぱり「不同意」。

 ◇

 一方で、“有識者枠”(法令上、そんな枠はありませんが)の副総裁には、「実質ゼロ金利時代の金融政策決定会合メンバー」をあてるべき。

 というわけで、現審議委員の西村清彦さんに「同意」したいです。

 ◇

 まあ、白川方明副総裁が3月20日、総裁代行に就任するでしょう。


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政府、日銀総裁に田波元大蔵次官を提示 副総裁は西村氏(朝日新聞) - goo ニュース

 政府は18日午前、19日に任期が切れる日本銀行の正副総裁の後任人事について、総裁に元大蔵事務次官で国際協力銀行総裁の田波耕治氏(68)を、副総裁に日銀審議委員の西村清彦氏(54)を充てる人事を国会に提示した。18日中に衆参両院で所信聴取を行い、19日の両院本会議で同意を得たい考えだ。(後略)

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