【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

ふしぎな選挙戦の本質見たり

2009年08月13日 10時45分42秒 | 第45回衆院選(2009年8月)政権交代
 ようやく自分自身の答えが見つかりました。

 今度の選挙、第45回衆院選・政権選択選挙ってなんか変なんですよね。民主党前議員は「20年間選挙をやっているけど、初めて」というほどの好反応を感じています。しかし、具体的に投票行動にどう結びつくか分からない。理由としては①暑いから、②不景気だから、③長いから――などが考えられますが、どうも釈然としません。

 私も政権交代フィーバーというか、極端な表現をすれば、“革命”に近いような熱狂に包まれるのかな、と予想していたのですが、淡々と、そして重苦しく前哨戦が進んでいきます。

 

 日々情勢が動く中、3週間前の写真で恐縮ですが、7月23日の所沢駅前です。
この写真、ヒジョーに奇妙だと思いませんか。鳩山由紀夫代表(左端)と握手しようとする聴衆が20人以上写っていますが、カメラ付きケータイ(写メール)をかまえている人が1人しかいないんです。今は2009年、おそらくほとんどの人が写メを持っているでしょうが、有名人を見に来たという感覚がほとんどない。この演説会はあたかも“次の首相・鳩山”の演説の内容を“確かめてやろう”という雰囲気で、その後、鳩山さんが近くにやってきたので、“握手もして確かめよう”という雰囲気に思えたのです。

 馬淵澄夫さんは奈良1区だけでなく、他の選挙区も応援で回っていますが、「僕としては、将来への希望のメッセージを語りたいと願っているが、受けてはむしろそれよりも『不満』のエネルギーに満ち満ちている気がする。はけ口を求めている、負のエネルギーをマスに感じるのは僕だけか」「この国を、負のエネルギーが覆っていないことを信じつつ」とブログに書いています。

 きのう(12日)正午過ぎ、堺東駅前での長妻昭さんの演説で現段階での確信を得ました。おそらく摂氏34度前後の中、長妻さんの話を聞こうと早い時間からかけつけた皆さん。

 長妻さんが「ここにおられる中で、自分の年金の記録が抜けてた、消えてたという経験をしたよという方、ちょっとお手を挙げていただけますか?」との問いかけに、17人以上が手を挙げて応じました。反応は良いんですよ。弁士の問いかけに17人以上がさっと手を挙げるなんていう反応の良い演説会は、初めて見ました。でも、喜べないんです。「消えた年金」の被害にあった、という話なんですから。

長妻昭さんの演説に「消えた年金」17人!


 私はこの演説会に、第45回総選挙の本質を見ました。

 好反応のなか、重苦しく進む選挙戦。少なくともこの13年間に政権交代を選択しなかった。その間に、大事な人や物を失った。そのことへの後悔、政治をグチャグチャにしてしまった反省、声なき声が日本を覆っている。これが現状認識だと思います。

 現状認識は見つかったようなのですが、将来展望については残り18日間(投票日含む)で、探っていこうと思います。