渡辺恒雄あとつぎ宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

防衛相が情報公開 空自のイラク空輸「米兵が67%」

2009年10月06日 08時31分32秒 | 第172特別会(2009年9月)鳩山政権発足

[写真]「黒塗りの資料では議論のしようがない」2007年11月12日の衆院テロ対策特別委員会で政府・与党の情報隠しを批判する民主党の松野頼久さん

 6日付東京新聞によると、防衛省が情報公開請求に基づき、空自のイラクでの空輸活動を開示しました。情報公開請求したのは岐阜県の女性で、過去6回、「週間空輸実績」の公表を求めたところ、期間と運行日数のみで、他の情報は「黒塗り」で開示されていたそうです。3回にわたる異議申し立ては却下され、7月の異議申し立てについて、政権交代後の9月24日付で、北沢俊美防衛相が「現時点で不開示とする理由がない」と通知し、全面開示したそうです。

 内容は空自のC130輸送機が運んだした2万6000人のうち、米兵は1万7000人で67%を占め、他国の軍も含めると、71%が兵士でした。国連職員は2500人と1割弱で、自民党政権の「人道復興支援をしている」との説明と大きくイメージが違うものであったことが明らかになりました。

 冒頭に掲げた松野頼久・現官房副長官の写真は、海自がやっているインド洋の給油活動延長特別措置法案の衆院委での総括質疑のときのものです。空自のイラクでのオペレーションとは違いますが、海自のインド洋の補給も、海や陸を通じてイラクまで流れている可能性が高く、国会としては関連づけて議論すべき材料でした。

【国会傍聴記】“黒塗り”資料のまま、新テロ特措法、衆院委通過
http://blog.goo.ne.jp/kokkai-blog/e/51aed61d03072f1bd2247f723a8c4ac7

 当ブログ内上記エントリーから引用しつつ振り返ると、

 福田首相が出席しての与野党2時間の締めくくり総括質疑で松野さんは、「合計794件の給油活動で何をしたか。オペレーション(軍事作戦)の情報を出してください」と福田首相、町村官房長官、石破防衛相に最後のお願いをしました。

 そして防衛省が民主党に提出した文書をパネルで見せました。

 「黒塗りだらけの文書。これだけの情報で、どうやって賛成と反対を考えろというのですか」。

 石破防衛相は「船(の活動)は我々(海自)だけでやっているのではない」とかわしますが、

 松野さんは「米海軍は活動実績をどんどんホームページに出している。米はどんどん公開して、感謝の念を持つという文化が根付いている。自衛官の必死の活動
は黒塗りにしなければ出せないのか
」と訴えました。

 松野さんは「海自の給油実績を出せ」と言っているわけですが、「空自の輸送実績を出せ」という話も、同じ大陸とその周辺海域の話ですから、根は同じです。

 このような情報が黒塗りで隠蔽されたまま、国会審議が進み、空自のイラク、海自のインド洋の活動の根拠が作られ、大臣命令が発せられていたのですから、薄ら寒い気がします。このような状況で、海外に出る自衛官も、仮に事故があったら、と考えると、報われないと思う。

 松野質問に戻ります。この後、午後3時5分に深谷委員長(自民党)が「質疑の終局」を宣言し、与党・自公の賛成多数で、法案は可決し、衆院本会議に送られました。可決。そして、参院に送付されましたが、外交防衛委員会での審議は政府側から見ると難航し、石破防衛相はついに海自の一時撤収に追い込まれます。このときの参院外交防衛委員長が北沢俊美・現防衛相です。

 情報公開(ディスクロージャー)は民主主義(デモクラシー)のスタートです。実は外交防衛委員会を傍聴していて、「30歳代の防衛官僚はすでに民主党議員のところに話をしにきている」という大久保勉さん(参院福岡)の話を聞き、当時の石破防衛相が否定しなかったことに大変驚いたことがあります。各府省でも、“情報隠しと抱え込み”に悩んでいる官僚は多いと思います。どんどん情報を出してやれば、若手官僚は仕事がしやすくなると思います。

 そういう意味では、2009年補正予算の執行停止も、補正予算書をインターネットで公開し、国民注視の上で洗い出した方が民主党閣僚たちの負担も楽になると思うのですが、どうでしょう。官邸の中というのはなかなか見えないのですが、副長官の一人はそう思っていると期待しているのですが・・・

tags 北沢俊美(北澤俊美)防衛大臣

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