国家戦略室が19日、2010年度予算から各府省の副大臣・政務官に「予算執行監視チーム」を作り、予算の執行状況を常時チェックさせる案をまとめたそうです。
これに関連するのですが、19日夜のBS11「インサイドアウト」に出演した原口一博・総務相が興味深い話をしていました。
予算は国会が議決します。その予算は各府省内で「箇所付け」という作業のうえ、執行されます。箇所付けとは事業名や発注先を決めて、お金を支払う具体的な相手先を決めることです。
総務省政務三役が省内の
予算→箇所付け→執行(支払い)
のプロセスを調べたところ、
「100万円のモノ」を購入(調達)するうえで、そのプロセスに2つの商社が入っていて、150万円のお金の流れになっている執行状況を発見したそうです。これはちゃんとした“競争入札”で執行されていたそうです。
この箇所付けは国会のコントロールが届かない、各府省内で行われる作業です。例えば国交省の箇所付けを役人から聞き出そうと、国交族議員も必死でした。つまり、国交省という伏魔殿に隠れた不透明なお金の流れでした。族議員の働きかけに官僚が応じることもあったでしょうが、これにより、霞が関官僚>族議員に対して上位に立つという、いびつな権力構造をもたらしました。
原口総務相は番組で「野党時代は甘かった。もっと細目に踏み込んでいれば良かった」と“反省”しながらも、「当時の政府の人たちも(私たちのように)やっていれば見えていたはずだ」として、自民党政府を批判しました。
つくづく、国民のお金がもったいなく使われ続けてきたことが残念です。
なお、国の予算の執行状況をまとめた「決算」は、国会でも衆院決算行政監視委員会、参院決算委員会が審査しています。開かれた国会での決算審査は大事です。しかし、開かれた国会が議決した予算を、各府省がちゃんと執行しているかどうか、政治家がチャックすることは時系列としてはそれより前の話です。決算に優先することだと思います。
国家戦略室では、予算の執行状況もネットで公開する考えがあるようで、ぜひ実現してほしいと思います。
時事ドットコム:予算執行監視チームを設置=「複数年度」は11年度から-国家戦略室
政府の国家戦略室は19日、予算の無駄遣い根絶に向けた予算編成過程の改革案を策定した。2010年度から、各省庁に副大臣・政務官による「予算執行監視チーム」を設置して執行状況を常時チェックするほか、行政サービスの効率化を目指す政策達成目標を導入することなどが柱。鳩山政権の予算改革の目玉と位置付けられた複数年度予算については、11年度からの実施を目指す方針が示された。
改革案は「予算編成のあり方に関する検討会」(座長・菅直人副総理兼国家戦略担当相)が同日の会合で取りまとめた。国家戦略室担当の古川元久内閣府副大臣は会合後の記者会見で、「新政権では納税者の視点に立って予算編成を行い、1円たりとも税金の無駄遣いは許さない」と強調。今後、政府内で改革案に盛り込んだ施策の具体化を目指す。