【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

第173臨時国会は10月26日召集 会期は11月末まで

2009年10月15日 20時33分28秒 | 第173臨時会(2009年10~12月)政治主導


 政権交代後初の本格論戦となる第173臨時国会は10月26日召集されることになりました。会期は11月30日(月)までの36日間です。臨時会は2回まで延長することができます。

 鳩山由紀夫首相初の所信表明演説は26日(月)、代表質問は衆院が28日(水)、29日(木)、参院が29日(木)、30日(金)となる見通しです。

 政府は11法案、3条約、2承認案件を提出する予定のようです。

 報道では

▽日本郵政株式売却凍結法案

▽社会保険病院と厚生年金病院を存続させるための「独立行政法人地域医療機能推進機構設立法案」

▽新型インフルエンザの予防接種に関し補償制度を創設する特別法案

▽人事院勧告に伴う国家公務員の給与法改正案など関連法案7本(一般職、特別職、国家公務員育児休業、裁判官、検察官、裁判官育児休業、防衛省職員)

▽貸し渋り・貸しはがし防止法案

▽北朝鮮への経済制裁について承認を求める議案

 などだと伝えられています。

 日本郵政株式売却凍結法案と国家公務員の給与法改正案らは、総務委員会(近藤昭一委員長、福田昭夫筆頭理事)に付託されることになるでしょう。

 社保・厚年病院の存続法案と予防接種補償法案など厚生労働委員会(藤村修、内山晃)も忙しくなりそうです。通例、常任委員会は衆院では午前9時、参院では午前10時から始まりますが、衆院厚労委だけ午後6時ごろまで審議が続いている状態が通常国会でも多く見受けられました。厚労委は青木愛さんが次席理事、福田衣里子さん、田中美絵子さん、三宅雪子さんらが委員に名を連ねています。

 亀井金融相と大塚副大臣らが調整した「貸し渋り・貸しはがし防止法案」は、財務金融委員会(玄葉光一郎、篠原孝)に付託されるでしょう。

 また民主党の小沢幹事長が国会法改正案を出したい意向を示していますが、法案が間に合うのかどうか。ぜひ出して欲しいと思いますが、衆・参院の事務局・法制局が法案作成にあたるのでしょうが、包括的な改正だけに、提出は微妙だと思います。

 第2次補正予算案はおそらく提出しないと思われますが、年末の景気を見極めたいところです。

【山岡vs川崎、第1ラウンドは山岡さんの勝ち】

 自民党の川崎二郎国対委員長が、「21日週への召集前倒し」を民主党の山岡賢次国対委員長に呼び掛けたと報じられました。これに対して、与党は「23日の召集」を逆提案したそうです。これはかけひきとして山岡さんは上手かったと思います。

 というのは、所信表明演説は月曜日ないしは金曜日に行われるのが慣例となっています。法律や規則で決まっているわけではないと思いますが、そうなっています。これは所信表明の翌日を「代表質問の原稿作り→質問取り→内閣の答弁書作成」のための準備日として1日とるためです。3日目に衆院代表質問、4日目に参院①日目、衆院②日目、5日目に参院②日目となり、1週目を終え、2週目から各委員会への法案の委託などが始まるからです。今臨時会も26日(月)の召集当日に鳩山さんの演説があると思います。

 仮に金曜日の場合は、土日で準備することになりますから、「23日(金)召集」だと、23日(金)に鳩山さんが演説し、25日(日)に参院補選投開票となり、自民党の出番は26日(月)の代表質問からということになります。山岡さんは初めから自民党が飲めない提案を出すことで、「前倒し」に応えながら、当初の予定通り26日(月)召集で落ち合ったのでしょう。

 第1ラウンドは山岡さんの勝ちですが、川崎二郎さんという人もたとえ党利党略の国会日程であったとしても、それを憲政の常道を説きながら提案できる政局感の持ち主だと思います。野党国対委員長として川崎さんは手強いでしょう。むしろ、与党の国対委員長は「分かりました」と言いながら、野党側の提案の意図をよく飲み込めないタイプの方が、野党は攻めあぐねることがあります。そういう意味では山岡さんは少し鋭すぎるかもしれませんが、今後も「山岡vs川崎」は見応えがありそうです。

時事ドットコム:臨時国会26日召集=当初政府方針で与野党合意

 民主党の山岡賢次国対委員長は15日、自民党の川崎二郎、公明党の漆原良夫両国対委員長とそれぞれ国会内で個別に会談し、臨時国会を26日に召集、会期を11月30日までの36日間とすることで合意した。
 臨時国会の召集日は基本政策閣僚委員会でいったん26日召集の政府方針が固まった後、14日の与党国対委員長会談では23日に前倒しすることで一致した。
 しかし、23日召集では、鳩山由紀夫首相の所信表明演説が25日の参院神奈川、静岡両補欠選挙前に行われる一方、野党の代表質問が補選後に先送りされる。このため、自民党が「フェアな国会運営ではない」などと反発。首相官邸サイドも首相の国際会議への出席日程に影響が及ぶとして26日召集を求める姿勢を崩さなかったことから、当初方針通り補選後に召集することにした。

tags 亀井静香金融相、大塚耕平内閣府副大臣、小沢一郎民主党幹事長


自民党総裁に谷垣氏 大島幹事長、川崎国対委員長ら手強い布陣

2009年10月15日 11時40分13秒 | 第173臨時会(2009年10~12月)政治主導
 臨時国会の召集が23日に早まりそうです。

 政権交代成りましたが、私の夢は「政権交代可能な二大政党デモクラシーを日本にシステムとして根付かせること」ですから、最終目標は二大政党ということになります。

 自民党のことをどのように書いていくか、臨時国会の審議を見てみないと分からないのですが、少し書いておかないといけないかなと思います。

 また国会閉会中の民主党政治を見ていて、反対党としての自民党の存在も必要だな、自民党がいることで肩の荷が楽になる面もあるな、と感じています。

 健全野党、政権準備党、反対党としての自民党もしっかりしてくれないと困ります。

 ちなみに野党転落後、自民党議員は一つも質問主意書を出していなくて、やはり自分で政策を作れない政党だと思います。もちろん、鳩山大そうじ政権で働く官僚のみなさんが大変なので、今後も出さなくていいのですが、自民党、公明党、共産党の3党のうち、参議院に共産党が3枚提出しただけで、質問主意書を出さない。八ッ場ダム、地方空港などの地元議員はどう考えているのかなと疑りたくなります。

 さて、自民党はこのほど、新総裁に谷垣禎一さん(宏池会、京都5区)、新幹事長に大島理森さん(番町研、青森3区)、国対委員長に川崎二郎さん(宏池会、三重1区比例)、政調会長に石破茂さん(平成研、鳥取1区)らを選出しました。

 私は野党・自民党は閣僚ポストが無くなった分、副総裁を5人ぐらい入れてくるのかなと思ったのですが、幹事長代理を6人に増員するようです。大島幹事長の下、国対も選対も「闘う集団」として中堅議員を配置しようという布陣に感じます。かなり手強いのではないでしょうか。

 100億円を超える借金の残務処理にあたる経理局長には山本有二さん(高知3区)。元金融担当相の弁護士で、この人はこういう人のやりたがらない仕事を率先して引き受けるところがありますよね。閣僚在任中に「秘書に200万円を貸し付けていた」と報道されて、「結婚資金だから当然だ」という答えていたのを思い出します。だから小選挙区強いのでしょう。自民党再生のためにまずやることは7700もある支部組織をスクラップ。できれば残余財産を党本部に寄付させる。身軽な集団にしておかないと、例えば、民主党首相が「3月1日解散-4月10日投票」という衆院選を設定したら、軒並み政治資金収支報告書の提出(3月31日シメキリ)が遅れててんやわんやになる。身軽になっておかないといけない。残余財産ですが、例えば、山崎元副総裁の政治資金管理団体には衆院選後もまだ1億円以上のお金がある可能性があります。党本部に寄付すれば後継者も含めて公認、寄付しなければ差し替えという方法もあるのではないでしょうか。

 野党ですから、党部会長と衆参委員会の人事が気になります。

 国防部会長に佐藤正久参院議員、衆院安全保障委員会筆頭理事に中谷元防衛庁長官を充てるようで、衆参とも元陸上自衛官が国会をリードすることになりそうです。ここはかなり気になるところです。

 衆院予算委筆頭理事には、町村信孝・清和会会長、次席理事に加藤紘一元幹事長を充てるようで、どうやら自民党は「野党になったことを分かっているな」と感じました。気を引き締めて取りかかりたいところです。

 総務部会長に元市長、法務部会長に弁護士、外交部会長に元外務副大臣、財務金融部会長に元金融政務官、環境部会長に元経産官僚ら専門家が部会長を務めていますので、国会審議も専門的なものになりそうです。

 国対副委員長も浜田靖一、逢沢一郎、田中和徳、河合克行といった与党時代から議運委や予算委などをよく知っている面々ですから、かなり気を引き締めないといけないと思います。

 ◇

 公明党は新代表に山口那津男参院議員(東京選挙区)、幹事長に井上義久衆院議員(東北ブロック)が就任しました。10議席以上の政党ですので、党首討論は今後、「鳩山vs谷垣」「鳩山vs山口」の2ラウンド制になる見通しです。

読売新聞の報道について

2009年10月15日 11時28分00秒 | 第172特別会(2009年9月)鳩山政権発足

 私の民主党愛というのは揺るぎのないものがありまして、これは支持政党というよりも、人生の一部だからです。

 で、私はこのブログを主体に活動していますが、民主党支持ブログですので、知っていても民主党に不利な情報は書かないことがたびたびあります。

 裏取り取材をしていると永遠に裏が取れない情報が埋まってしまうので、「取材はするけど、裏をとらない。あくまでも憶測としてブログに書く。内容の訂正の申し出があれば、しっかりと話を聞き、真摯に対応する(直すかどうかは私の判断)」という姿勢は続けていきたいと思います。

 さて、本日付読売新聞の報道について、知っていることを書かないと、ディスクロージャーしないと、どうにも体が持たなくなりそうなので、どうしても書かせてください。なお、これは私の憶測であって、記事中に登場している人物と、この件に関して会話したことはありません。絶対にありません、それってどんな会話じゃい、という感じです。

 社会面で、「代金の支払いが平成16年(2004年)10月で、不動産購入の登記が平成17年1月」とありますが、これは事実だと思います。当該物件の不動産登記簿は私も入手しております。なぜ、入手していたかというのは「悪い予感」が当たったというだけです。




 この読売記者の質問に当該政治資金管理団体の当時の事務担当者がうまく説明できていませんが、これは当人もよく知らなかったと思います。

 ところで、政治団体はすべて1月~12月という会計年度ですから、勘の良い人は「1月7日」という日付に怪しさを感じるでしょう。お金の出入りがあった帳簿と別の帳簿に切り替わった1週間後の時期に登記されているわけです。とはいえ当時31歳の彼にそんな知恵があるわけがなく、代表者などからの指示である可能性が高いと思います。

 記事には、「同会は土地代金について、同会の定期預金4億円を担保に小沢氏名義で金融機関から借りた4億円の借入金を充てたと説明している」と明記されています。これは「政治団体名義の預金→個人名義の銀行口座→個人名義の土地」に4億円が流れたことになります。政治団体は非課税ですが、個人の土地購入は所得税などの課税の対象になる場合があります。

 平成16年10月29日というと、ちょうど5年前のちょっと手前です。

 根拠規定は別にあるのかもしれませんが、僕が所得税法を読んだ限りではこうなっています。

 231条の3は「その年において不動産所得~(略)の合計額が3000万円を超えるものは、(略)その翌年の3月15日までに税務署長に提出しなければならない」とし、231条の2は帳簿、領収書などは「5年間、(略)保存するものとする」とあります。

 ですから、この案件は2010年3月15日が実質的な“時効”ということになる案件だと思います。要するに、4億円が所得とみなされるかどうか、という問題だと思います。私はこの案件について、漠然とですが、かなり前から問題性に気付いており、民主党にとって“爆弾”になりかねないとかねがね心配しておりました。もうここら辺で書かないと、私としても限界です。この案件は、違法性というよりも、そもそも追徴課税されたら納税できるのかどうかという、より切実かつ世知辛い問題であります。

 さて、この案件、リアルポリティックスにおいて、最も重要なのは、「処分庁が財務省(国税庁)である」ということです。うがった見方ですが、財務大臣人事がもめたと報道されていますが、その政治家がかつて「代表-幹事長」としてコンビを組んだ「事情通」であることが影響していると私は推測しています。具体的なアクションにつながらなくても、このような情報をつかまれていると、政治行動が制限されます。

 それにしても「1月7日」だなんて、本当に脇が甘い政治家といわざるを得ません。だから40年やっても総理になれないのです。歳費だけのサラリーマン議員も魅力がありませんが、お金の出入りは、たとえ合法であろうが、目立った行動をするのは、政治家として自らしがらみを作ることにつながります。例え、まったく問題のないケースでも、あまりにも派手な身なりの人物と二人で歩くのと同じことです。

 この案件に関しては、政治団体の代表者が自ら取材に応じ、説明すべきです。青雲の志をもって自分の許に来た若者を潰すのはもうやめてください。