宮崎信行の「新・夕刊フジ」

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

海上保安庁の増額補正で全党一致 補正予算をめぐり国対委員長

2010年10月03日 10時59分36秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議

 熟議の第176臨時国会で、菅直人首相が最重要議案だと位置づけた第1次補正予算案に関して、3日生放送の「NHK日曜討論」の中で、全党の国対委員長の意見が完全に一致する極めて珍しいケースがありました。

 さる9月7日に尖閣諸島の魚釣島付近で、中国漁船と我が国の海上保安庁巡視船が衝突する事案が発生し、海保は当該船長らを公務執行妨害で逮捕しました。その後、乗組員は釈放、証拠品となる漁船を先方に返還し、そして、中国からの圧力が集まった9月24日、那覇地検が処分保留のまま容疑者の船長の身柄を釈放して、帰国するという事案が起きました。私は9月1日告示9月14日投開票の民主党代表選に向けて「日本の歴史を前に進める平成の西南戦争だ」とがんばっており、その後の人事と含めて、あまりこの問題をフォローしておらず、このブログでも扱っておらず、反省しております。

 さて、平成22年度(2010年度)の当初予算一般会計では、海上保安庁の当初予算総額は「1820億円」で前の年度比「294億円」減っています。沖縄1区選出で国民新党の下地幹郎国対委員長は日曜討論で、海保の第11管区海上保安本部の石垣島の基地には敷島級の巡視船は2隻しかなく、「2隻で尖閣諸島を含めた海域をカバーするのはムリだ」としたうえで、「海保全体でも橋本内閣(1996年~1998年)以来、新規に巡視船を建造していないんですよ」とのこと。今年度当初の海保の船舶建造費(予算コード95014-1204-15)はわずか「243億円」で「前年度比98億円減」っています。おそらくこれは建設国債が使えるから、財源の問題もないでしょう。

 ここで船舶建造費をつける、増額補正してあげる。景気対策としては、造船会社は自民党、そのはたらく仲間は民主党、そして部品会社などは公明党の支持者が比較的多いでしょう。もちろん景気対策に限りません。予算を増額補正してあげることで、それ自体が対中国、対ロシアへの外交カードになります。

 熟議の第一歩になりそうです。そして、そのスピード感にも期待したいです。

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