ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

鉢呂さんが「新聞が書いてくれない」と言うのでブログに書く

2010年10月26日 15時20分25秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議
[写真]民主党国会対策委員長の鉢呂吉雄さん(鉢呂さん公式ホームページ)

 民主党国会対策委員長の鉢呂吉雄さんが25日夜のTV出演で、「新聞は書いてくれないけど、(第176)国会は凪(なぎ)の状態」というので、新聞が書かないので、私が書こうと思います。第176臨時国会も5週目(実質4週目)に入りました。衆参本会議の代表質問、衆参予算委員会での総括的な質疑、参院決算委員会の総括質疑を経て、ようやく10月19日(火)からきょう26日(火)にかけて、菅改造内閣の政務三役のあいさつ、それに先立つ新任委員長のあいさつ、そして、大臣の所信表明→それへの質疑がようやく終了しようとしています。ところが、先週20日(水)の衆院の総務委員会と財務金融委員会で、「口蹄疫被害農家への手当金(補償)を非課税にする法案」を国税分は財金委員長、地方税分は総務委員長が議員立法しました。これは衆参両委員会、衆院本会議、衆参の財金・総務委員会を経て、22日(金)の参議院本会議で、民主党・公明党ら全会一致で可決、成立しました。

 ところが、すでに提出済みの一般法案、今国会では、「郵政改革法案」「労働者派遣法改正案」「地球温暖化対策基本法案」が閣法の重点3点セットになるかと思いますが、いまだに衆院本会議での趣旨説明(審議入り)がされていません。なお、きょう(26日)の参院経産委員会で、参院先議となった「北朝鮮の経済制裁(貿易)に関する延長の承認」について、大畠章宏経産相が趣旨説明をし、審議入りしています。

 ただ、衆参の総務・財金、参院の経産はすべて民主党が委員長職をとっています。一般法案が審議入りせず、なかなかねじれ国会が動いてきません。政府はきょう(26日)の閣議で、補正予算案を決定し、29日(金)に国会に提出します。そして、11月2日(火)に衆院本会議で野田佳彦財務相が経済演説をして、平成22年度予算(2010年度予算)の補正審議がスタートします。そうすると、一般法案の審議入りのメドが立たないことになります。

 これを持って、鉢呂さんは「凪の状態」としています。与党国対委員長は泰然自若としていていいのですが、「地球温暖化対策基本法案」がなかなか可決しないまま、京都議定書の単純延長の可能性も国際社会ではささやかれだし、情勢が変わってきました。仮に米中露が入っていない京都議定書が延長され、そこで日本が25%削減では本末転倒、一人損ですから、これは認められない。だから、第174通常国会で、もう少し審議を急ぐべきだったのではないでしょうか。

 自民党は、第174通常国会に林芳正参院議員が筆頭発議者となって提出し、審議入りせず廃案となった「財政健全化責任法案」を第176国会では、衆議院にきょう(26日)提出しました。これと、補正審議を並行してやれ、という面白い提案をしてきており、民主党国対の対応が注目されます。過去の実績はないですが、玄葉光一郎・国家戦略相の能力なら答弁できるのではないかな、という気がします。

 また、公明党の議員立法「公職選挙法改正案(政治団体の代表者たる国会議員の責任強化)」もぜひ、熟議の国会で審議してほしいです。総務省のホームページで政治資金収支報告書を見ていると、会計責任者(たいていは国会議員の公設秘書)のサインは毎年あるのに、代表者のサインは解散時だけでいいことになっています。毎年分の報告書に署名捺印して、責任を持たせるべきです。こんなの一般社会で通用しないですよね。

 野党にも発想を変えてほしい。野党国対は、審議日程を引き延ばして、会期末で閣法を廃案に追い込もうとする戦術・戦略をとってきます。しかし、今はねじれ国会です。むしろ、野党国対は、衆議院でドンドン審議入りさせて、民主党の賛成多数で可決し、参議院に送る。そこで豹変して、参議院で次から次へと法案を否決して、廃案に追い込む。菅政権はピンチですよ~~。野党国対は、どんどん衆議院で法案を審議入りさせるべきなのです!

 ところで、鉢呂さん。あの・・・。夕べのTVで、国対もオープンになってきたという話をしていてそれはとても良かったですが、「自民党のあいざわ委員長」と「あいざわ」「あいざわ」と連呼していましたが、「あいさわ一郎」さんですから。

 ◇

 さて。ここで私事で報告させて頂きたいことがございます。さる22日(金)、私の父が地元の法人会から表彰状をちょうだいしました。父は商業者でありながら、人に頭を下げるのが大嫌いなので、私の散々の説得にもかかわらず、地域を代表するホールで開かれた表彰式には出席しなかったのですが、月曜日の早朝に法人会事務局の方が表彰状と粗品などをお持ち下さいました。筒から、法人会の表彰状を取り出すと、そこには、「あなたは(略)納税理念の確立と税務知識の普及ならびに社会貢献に努められ(略)本会の発展に寄与された功績は誠に顕著であります(略)ここに創立60周年、社団化45周年記念式典にあたりその功績をたたえ表彰します」とのことで、こそばゆいかぎりでございます。零細企業主として、長野のリンゴ農家の次男坊が農地解放後に東京に飛び出し、独立開業40有余年。我が国は、1980年代後半、工作機械(マザーマシン)の製造品出荷額が米独を抜き世界トップとなりましたが、ちょうどそのころ、現時点でも日経平均225社の中で、株価トップ企業の新製品(NC旋盤)の将来性に気付き、株式会社に改組したばかりのひよこの商事会社ながら、国内でわずか数社の販売代理店の座をつかみました。私が小学生の頃は、毎年のように税務調査が入っていて、事務所から外に出られない母が用意してくれた冷たい夕餉に一人向かった経験もありましたが、表彰状の文面を読んで、辛い思い出が誇らしい思い出に変わりました。法人会の表彰状を見て、あることに気付きました。あて名が父の個人名義になっていて、法人名がどこにも書いていないんですね。事務局の方がお持ち下さった表彰式の式次第パンフレットには、他の表彰者と同じく、個人名の後に法人名、所属支部名が書いてありました。が、表彰状は個人名だけ。ここに、法人会といえども、納税というのは、一人一人の国民の責任なんだという“法治国家の思想”を感じます。例えば、同じブロガーのラターシュさんは長野県北佐久郡軽井沢町にも固定資産税を払っておられるでしょう。私は長野県が本籍地でありながら、なさけないことに、長野県北佐久郡軽井沢町に固定資産税を払う身分にはなれませんし、なりません。ただ、「納税理念の確立と税務知識の普及」については、このブログでも、国民として何らかのお手伝いができるかもしれません。そして、一人の国民として、「たくさん収められなくても、正しく適正にしっかり収める」。それがアジア最初の法治国家、一等国の、国家のメンバーすなわち国民としての矜持だと心得ております。「納税理念の確立と税務知識の普及ならびに社会貢献」の思いを、鳩山由紀夫さん、小澤一郎さんにも、共有していただきたく存じます。
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