宮崎信行の「新・夕刊フジ」

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

幹事長の岡田克也さんが民主党金庫を掌握のもよう 菅代表「岡田さんに任せた」

2010年10月12日 14時04分01秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議

【衆院予算委員会 平成22年(2010年)10月12日(火)】

 谷垣執行部の9月の党役員人事で、新しく自民党幹事長になった石原伸晃さんが登場し、小沢問題をはじめ「政治とカネ」の問題は民主党議員に集中していると攻めました。

 これに対して、内閣総理大臣である民主党代表の菅直人さんは、「民主党代表選でも、先日の所信表明でもクリーンな政治を約束しました」と述べました。

 党代表選の政見では、「クリーンでオープンな民主党の原点へ」との見出しで、「民主党らしい、クリーンでオープンな党運営を行います」、「カネのかからないクリーンな政治の実現」を党内に公約しました。今臨時国会初日の所信表明でも「カネのかからないクリーンな政治の実現。国民の強い要望です。私自身の政治活動の原点です」と党内外に語りかけました。

 菅総理(代表)は、「岡田(克也)さんに幹事長になってもらい、党の中をクリーンで透明にしてもらっている」と答弁し、党金庫を岡田さんに任せており、それが「クリーンでオープンな民主党」の公約実現の一歩につながるとの理解を求めました。

 これまで、党代表者である菅さんが、幹事長として党本部の留守居役となる岡田さんに、党財政に関してどのような指示を出したかは、私が記憶する限り、公になっていなかったと思います。岡田さんの幹事長就任が今回で3度目であることは有名ですが、実は2回目の幹事長の際には党金庫を掌握できていなかった可能性が高いと指摘されています。1回目は菅直人代表-岡田克也幹事長でコンビを組んでおり、2004年の年金国会を立派に戦いましたが、つまらぬこと(未納3兄弟)で菅さんは代表を去り、岡田代表が緊急リリーフをして、第20回参院選で、結党以来初めての改選第1党に躍進し、自民党は49年目にして初めて改選第2党に転落しました。 このときはいいのですが、2度目の幹事長は、昨年5月~9月という短い期間でしたが、「第45回衆院選で政権交代を実現した」という最高の結果を残しました。しかし、この4ヶ月間、鳩山由紀夫代表、岡田克也幹事長は、党金庫を掌握できず、党本部内をうろうろしている小沢一郎・選挙専従代表代行が金庫を握り続けていたとされています。

 向こう2年間の安定した権力基盤を確立している今回の菅民主党は、幹事長が党金庫を握るという本来あるべき姿に戻ったもようです。岡田さんは家業が日本最大の小売業「イオン」ですから、仮にお金儲けをしたければ政治家ではなく、通産省をちょうどいい塩梅の頃に退職して、家業に転じていたはずで、選挙に出てくるわけがありません。東京の事務所は国会議員会館1カ所だけ、三重にも川越町の1カ所の事務所でコンパクトに回しています。党財政を預けるには最適任者です。

 一方、菅さんもせっかく代表になったのに、なぜ党財政をいくら信用しているとはいえ他人に任せちゃうかと言うと、これは、菅さんは首相公邸にしろ、武蔵野にしろ、借家住まいですから、失う物が少ないからでしょう。だから、総理在任中は、首相官邸・公邸、国会議事堂の中でがんばって、党本部は岡田さんに任せっきりにしちゃった方が、気楽だし、政権も安定するでしょう。つまり、カネはないけど弁は立つ菅直人さんは「クリーンでオープンな熟議の政治」に最適な政治家だといえます。何事もほどほどがカンジンです。お金も不動産も、生活に困らない+アルファだけある状態がイチバン幸せです。いろいろと溜め込むと高血圧になり、突然死するリスクが高まりますからね。

 私たち国民も、少なくとも戦後生まれの人ならばたいてい「ことし2010年がイチバンカネがない!」という人が多いでしょうが、「カネがなくても勇気を持って前に進む植木等さん」のような菅さんと岡田さんの背中を押していきましょう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

民主党政調会長代理が党と内閣をつなぐ 城島光力さんが衆院予算委で質問

2010年10月12日 09時38分18秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議
【衆院予算委員会 2010年10月12日】

 連休明けの臨時国会は衆参で予算委員会が開かれます。

 民主党はトップバッターとして、城島光力さんが質問。城島さんは政調会長代理です。ご存じのように、民主党は党と内閣の一元化のために、党政調会長の玄葉光一郎さんが国家戦略大臣として入閣しています。内閣の決定には、玄葉政調会長のサインが必要となります。きょうの質疑で面白いなと感じたのは、玄葉さんは答弁席にいますので、質問者席には城島さんが立って、党と内閣をつないでいることです。

 城島さんはまずは、週末のG7について野田佳彦財務大臣に質問。その後、先週8日(金)に閣議決定した、追加経済対策について、「(民主党政調におかれた)直嶋正行前経産大臣が座長を務めたプロジェクトチームの案を政府(の追加経済対策の中身)には十分に受け止めていただいた(と評価している)」として、政調と内閣が心を一つにした経済対策がつくれたと、予算委を使って確認しました。

 民主党代表で総理大臣の菅直人さんは、「代表選を経た内閣と党の改造で、(過去1年間で)政務三役を経験した人に党の役職に、党の役職を経験した人に政務三役に就いてもらった」ことで、「党と内閣が一体化して政策を進める体制をつくることができた」と自賛しました。その上で、先週の代表質問の感想として、「野党には真正面から政策論争に入って欲しい」と注文を付けました。

 政策も大事ですが、民主党は統治のしくみをしっかりとつくることが先決です。この1年間の民主党政権は、細かい政策で前のめりしていました。大所高所から俯瞰する民主党政調の役割は重要です。

 ただ、追加経済対策を肉付けした補正予算案はまだ国会に提出されていません。ですから、きょうの予算委員会も「平成22年度予算の執行・実施に関する調査」です。ときどき、予算委員会で外交や安保の質疑をしていることを「おかしい」という人がいますが、予算の執行ですから、国政全般について質問することができます。ただ、第175臨時国会、第176臨時国会とも衆参予算委員会はこの「予算の実施に関する調査」で、補正予算案など具体的な議案がかかっていません。野党は露出が増えてうれしいでしょうが、政権の具体的な実績にはなりませんから、時間を空費している印象は否めません。

 質疑は現在も続いています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする