宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

ついに野党が審議拒否、“転倒問題”“仙谷問題”の衆・内閣委で 

2010年10月29日 15時17分01秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議

[画像]自民党ら野党議員の出席を待つ荒井聰委員長=民主党ら、衆院内閣委員会、2010年10月29日(衆院インターネット審議中継からキャプチャ)

【衆議院内閣委員会 2010年10月29日(金)】

 今国会で初めての審議拒否となります。

 衆院内閣委員会は午前10時半開会予定。現時点で、自民党ら野党の議員が出席しておらず、荒井聰委員長=民主党が着席し、与党委員も着席している模様ですが、出席していません。ただ、質問時間は流れているようです、共産党の塩川鉄也議員が質問に立ちましたので、自民党と公明党が欠席。一方、民主党から出ている荒井委員長が質問者欠席のまま、時間を流したということになり、与野党激突の荒れ模様の、10月最後の審議となりました。いかんせん、来週は補正予算の審議がスタートするものと思っていますが、日本列島にやってきている秋の台風14号同様の荒天の気配をひしひしと感じます。

 確認しておりませんが、前回の同委員会で、仙谷由人・内閣官房長官の古賀さんという経産官僚に関する答弁に反発した自民党の平井卓也議員が退席し、自民党・公明党議員らが賛同して退席した影響だと思います。仙谷大臣の謝罪などを理事が協議しているのではないか、と推測しています。そもそも衆院内閣委員会は第174通常国会で、「強行採決転倒事件」が起きて以来、荒れる地合いとなっています。

 中盤を迎えた秋の臨時国会。大枠としては、自民党ら野党が小沢問題での証人喚問などを要求し、それを民主党が約束しなければ補正予算審議に入れないと主張、一方、民主党は「証人喚問何を聞くのかをあらかじめ明らかにせず、とにかく(小沢一郎氏を)呼べというのは、(刑事事件に関係する内容が含まれるので)乱暴な話だ。1ヶ月前からそれを主張しているのに、自民党はそれを検討した形跡がない」(28日の岡田克也さんの幹事長会見)という立場もあり、煮詰まった状況です。この地合の下に、衆参の予算委員会、参院決算委員会と参院議院運営委員会(ともに委員長は自民党)、衆院内閣委員会で「仙谷答弁」が問題となり、たびたび審議がストップしたり、仙谷さんが謝罪したり、また答弁でどやしつけたりという状況になっています。

【追記 2010-10-29 20:30】

 衆院内閣委員会の荒井聰委員長は、6時間半ほどをかけて、自民党・公明党などの一般質疑の質問時間を流したようです。これにより審議時間はつくされ、“欠席した野党が悪い”、という格好になります。とはいえ、これは「一般質疑」であり、「法案の審査」ではありません。今国会に共通しますが、法案が議題になっていないのに、野党の質問時間がたっぷりの10月でした。11月の民主党国対は、「法律を作る工場の管理者だ」という認識でやってほしいと思います。統一選からの逆算では、じつは法案審議の時間はもうほとんどないのです。【追記終わり】

 また、きょうは参院議院運営委員会がネット中継され、1時間あまりについて、「国会法第39条の解釈に関する件」という珍しい議題で議論がありました。参院自民党国対の切れ者中の切れ者で、小泉官邸→安倍官邸を官房副長官として引き継いだ鈴木政二・自民党参院議員が委員長として、「事業仕分けが国会法違反ではないか」との指摘について、古川元久・内閣官房副長官、伊藤誠・参議院法制局長らから意見聴取しました。また次の順に意見を述べました。

鈴木政二(議院運営委員長)
古川元久(内閣官房副長官)
伊藤誠(参議院法制局長)
川崎稔(民主党・新緑風会)
世耕弘成(自由民主党)
西田実仁(公明党)
水野賢一(みんなの党)
水岡俊一(民主党・新緑風会)
森まさこ(自由民主党)
竹谷とし子(公明党)
義家弘介(自由民主党)
紙智子(日本共産党)
中山恭子(たちあがれ日本・新党改革)

 国会法39条は、議員の兼職禁止(総理大臣など政務三役などをのぞく)を定めており、行政刷新会議の事業仕分け人は国会法違反ではないかとして、それに対する意見を聞きました。これは、審議と言うよりも、基本的には、自民党の委員長が、民主党の目玉である事業仕分けを牽制したものです。

 第21回参院選で民主党が参院第一党になり、最重要ポストの議院運営委員長は民主党、花形ポストの予算委員長は自民党と分け合いました。その後の第45回衆院選で衆院側でも第一党が逆転(政権交代)したこともあり、第22回参院選後、予算委員長が民主党、議運委員長は自民党とバーター取引で人事異動がありました。これは、憲法で予算案が内閣(民主党・国民新党)しか提出できないことになっているからだ、と説明していますが、参議院という世界は党派を超えた人間関係で動いており、よく分からないところもあります。

 なお、参院議院運営委員会は過去にも、日銀総裁などの国会同意人事で政府が提案した候補者について、所信聴取した際に録画中継しました。しかし、基本的には、衆議院でも参議院でも議院運営委員会は生中継することを要望します。実際には、議運は形式的なものですが、その日の本会議の日程などが分かる「予告編」です。せっかく国会ネット傍聴を楽しみにしている人が増えてきたのですから、ぜひ「予告編」もネット中継に踏みきってほしいと思います。

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衆院で、法案2本がようやく審議入り

2010年10月29日 12時23分13秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議
 29日午前中の衆院の2つの委員会で内閣提出法案(閣法)2本について、大臣から趣旨説明がありました。一般法案が、衆院で審議入りしたのは、今国会29日目にして初めてです。

 衆院国土交通委員会(古賀一成委員長=民主党)では、馬淵澄夫国土交通大臣が「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(174国会閣37」について趣旨説明しました。これは第174通常国会に提出されていた積み残し法案です。政権交代後は、閣法の“宿題”が積み上がってきている状態になっています。召集日の10月1日付で、議院運営委員会が本会議を省略して、国交委に直に付託していました。

 衆院厚生労働委員会(牧義夫委員長=民主党)では、細川律夫厚生労働大臣が、「独立行政法人雇用・能力開発機構法廃止法案(176国会閣9)」を趣旨説明しました。これは今週火曜日(10月26日付)に議運が本会議を省略して、厚労委に付託していました。

 これにより、法案が審議できる状態になりました。しかし、補正予算案の審議がスタートすると、国交相、厚労相はまず衆参予算委員会に呼ばれますから、国交委、厚労委はやれません。衆院委員会可決→衆院本会議可決→参院送付→参院可決・成立となると長い道です。

 両委員会ともきょうは趣旨説明だけで、質疑や他の案件はなく、散会しました。とくに国交委は5分間で終わったので、古賀委員長が「本日の審議はこれまでとして、次回の開催日時は衆議院公報をもってお知らせします」と言うと、委員席から笑い声が上がりました。まさかまさか、笑い声の主は政権政党(民主党)の議員じゃないでしょうね。参院可決・成立までは長い道だと書きましたが、ましてや国交に限れば、参議院国土交通委員長は自民党(小泉昭男さん)が獲っています。そのことは衆院国交委のヒラ委員もよく意識すべきだと考えます。

 ちょうどきょうの8時57分に、参院国交委の民主党側筆頭理事の藤本祐司さんが「藤本祐司メールマガジンvol.130 ねじれの中での筆頭理事はつらい」を配信し、「この臨時国会から、私は参議院国土交通委員会の筆頭理事を務めている。やってみてよくわかったことだが、与党でありながら参院では過半数を持っていないことは想像以上に辛い」と書いています。全文をエントリー最後に載せさせてもらいますので、笑い声を上げた人が仮に民主党議員なら、よく読んでください。

 私は、民主党は政策前のめりで、まずはしっかりと仕組みをつくるべきだと考えています。とある与党議員が「この臨時国会で郵政、派遣法、温暖化の法案を成立させない方が、野党は(審議を拒否する無責任政党だとして)困るんじゃないの」という発言を真顔でしていてぼう然としました。

 412人内閣であると同時に、「412人国対」という心構えを持って欲しいと思います。

 それと、小沢問題について、岡田克也幹事長が判断を下す時期が、だんだん迫ってきてます。

[参考]

(以下、藤本祐司さんのメールマガジンから全文引用)

藤本祐司メールマガジン  vol.130 ねじれの中での筆頭理事はつらい

 この臨時国会から、私は参議院国土交通委員会の筆頭理事を務めている。やってみてよくわかったことだが、与党でありながら参院では過半数を持っていないことは想像以上に辛い。
 衆院の場合、与党でなければ野党である。「何を当たり前のことを言っているんだ」と思われる方もいらっしゃるだろう。しかし、参院は与党でありながらも与党ではないような状況が生まれている。衆院と参院とでは置かれている立場が全く異なる。これが、いわゆる“ねじれ”だ。
 政権は衆院での議席数で決まる。そのため、過半数を超えれば与党、超えなければ野党とわかりやすい。1党単独でなくても連立政権であっても、連立を組んだ結果において過半数を超えれば与党、超えなければ野党だ。一方、参院の場合、衆院で過半数を持って与党になっても、参院で過半数を取れなければ参院では野党みたいなものだ。
 つまり、衆院では与党であれば(いざとなれば、最後の手段として)数の力を借りることができる。野党であれば与党の要望を蹴飛ばしたければ難癖をつけていれば済む。衆院では与党であっても野党であっても結構強気で相手との交渉に臨むことが可能だ。
 一方、参院では与党であっても数が足りないので、いざという時でも数の力という手段は使えない。数の力を使える状況にあるのはむしろ過半数を持つ野党だ。また、与党は政府と一体で進むことが前提であるため、法案審査の際は野党に委員会開催や採決をお願いしなければならない立場にある。そのため、野党には懇切丁寧に臨むことになる。あまり強気で交渉はできない。
 少し複雑で分かりにくいかもしれないが、要するに衆院は与党であっても野党であっても相手との交渉は強気で臨めるが、参院では与党でありながらも参院で過半数を持っていないねじれでの与党は立場が弱い。今は、その弱い立場が民主党であり、特に直接の交渉窓口となる国対委員長や各委員会の筆頭理事は、結構時間も余計にとられるし、精神的にもストレスを抱える。
 例えば、自民党の筆頭理事から、委員会の開催についての交渉の際、「今すぐであれば時間が取れる。今を逃すと明日夕方までは時間が取れない」と言われれば、私たち民主党の筆頭理事は、何をおいても(自分の予定を変更してでも)先方の筆頭理事に会いに行かなければならない。さらに委員長が自民党の場合、「野党の意見をのんでもらえなければ、やりたくないけど委員長に決断してもらわなければならない」と野党の筆頭から言われれば、妥協しなければならなくなる。
 あと3年間、この状況が続く。(2010年10月28日)

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  参議院議員 藤本祐司
  http://www.fujimoto-yuji.org/
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統一地方選、県議・政令市議は4月10日(日)、市・町村・特別区議は4月24日(日) 参院本会議

2010年10月29日 10時28分02秒 | 第176臨時国会(2010年10月)熟議
[画像]10月29日の参院本会議、「統一地方選臨時特例法案」の採決結果、参議院インターネット審議中継

【参院本会議 2010年10月29日(金)】

 内閣提出法案(閣法)で、参院先議となった「統一地方選臨時特例法案(地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案)」が採決されました。法案の全文はPDFファイルで、http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/176/pdf/t031760111760.pdfで読むことができます。

 参院本会議では、「選挙制度」に関する特別委員長の田中直紀さん(民主党)が報告。委員会では、「統一率」の低下や、障害者の期日前投票などが審議され、全会一致で可決し、付帯決議を付けたことを報告しました。そのうえで、参議院本会議場だけにある、「押しボタン式投票システム」で瞬時に採決。

 投票総数 235
 賛成    235
 反対      0

 の賛成多数(全会一致)で可決しました。衆議院に送られます。

 統一地方選臨時特例法案は、2011年3月~5月に任期満了となる首長・議員の選挙を、投票率向上などのためにまとめることができます。

 道府県議会議員選挙
 政令指定都市の市議会議員選挙
 知事選挙
 政令指定都市の市長選挙の「統一地方選前半戦」は、2011年4月10日(日曜日)に、

 市議会議員選挙(政令市をのぞく一般市)と、
 町村議会議員選挙、それと
 東京特別区議会議員選挙
 は4月24日(日曜日)となります。

 なお、選挙を実際に闘う人にとっては、告示日(選挙戦の本番のスタート日)がいつかということの方が大事ですが、

一 都道府県知事の選挙 3月24日(木曜日)
二 指定都市の長の選挙 3月27日(日曜日)
三 都道府県等の議会の議員の選挙 4月1日(金曜日)
四 指定都市以外の市及び特別区の議会の議員及び長の選挙 4月17日(日曜日)
五 町村の議会の議員及び長の選挙 4月19日(火曜日)

 最も多くの人生に関わる「市議会議員選挙」は2011年4月17日(日曜日)告示、出陣となります。いずれにしろ、もう半年切っているわけですね。というか、知事選は3月24日スタートですから、来年の前半国会も忙しい、早めに予算審議を仕上げたい、というところでしょう。

 これから衆議院に送られますが、法案を提出した内閣をつくる民主党、国民新党だけで衆院過半数を超えています。

 ただし、国会、とくに衆議院は、重要議案の審議が来週ストップする可能性があります。これは自民党らが小沢問題に関する証人喚問を確約しないかぎり、補正予算案(きょう提出)の審議に応じない意向を示しているためで、補正予算案、閣法、議員立法(公明党提出の政治資金規正法改正案など)が衆院で審議できない状態になる気配となっています。会期末の12月3日(金)まで、あと5週間ですから、衆院通過、参院で審議(自民党の委員長が多い)、参院で可決、成立となってくるとかなり窮屈になっています。ヒトコト言えば、やはり補正予算案は会期の冒頭に出すべきだったのですが、代表選などのスケジュールを考えればやむを得なかった面もあります。

 ご存じの通り、1月から始まる通常国会は、まずは予算案の審議から始まり、衆院では2月末、参院では3月末までかかりっきりになります。そうなると、統一選を前に、閣法を審議する時間はさほど長くはありません。例えば、労働者派遣法改正案、郵政改革法案、地球温暖化防止法案などを成立させないまま、民主党が統一選に突入するとなると、いくら国政と自治体、地方議会は別物とは言っても、ますます逆風となってきます。

 やはり来週あたりに、岡田克也幹事長が小沢問題で重大な判断をする必要がありそうです。昨日の記者会見では、「ねばり強く、忍耐強く対応する」と語りました。これは一見、のんびり構えているようですが、強い考えで臨む意欲を示したものです。

 なお、国民(有権者、主権者)各位におかれましては、今週から来週にかけて、国会への監視の目をいつもより高めていただきたく存じます。そして、自民党が衆議院で「審議に入らない」という態度を示した場合は、抗議していただきたいと思います。

 都道府県連による温度差はあるでしょうが、民主党では、候補者(予定者)の人数はかなり揃ってきているようです。地方選は、もちろん自分の足腰だけで当選ラインを越えないといけませんが、なるべく順風の中で迎えたいものです。
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