[画像]自民党ら野党議員の出席を待つ荒井聰委員長=民主党ら、衆院内閣委員会、2010年10月29日(衆院インターネット審議中継からキャプチャ)
【衆議院内閣委員会 2010年10月29日(金)】
今国会で初めての審議拒否となります。
衆院内閣委員会は午前10時半開会予定。現時点で、自民党ら野党の議員が出席しておらず、荒井聰委員長=民主党が着席し、与党委員も着席している模様ですが、出席していません。ただ、質問時間は流れているようです、共産党の塩川鉄也議員が質問に立ちましたので、自民党と公明党が欠席。一方、民主党から出ている荒井委員長が質問者欠席のまま、時間を流したということになり、与野党激突の荒れ模様の、10月最後の審議となりました。いかんせん、来週は補正予算の審議がスタートするものと思っていますが、日本列島にやってきている秋の台風14号同様の荒天の気配をひしひしと感じます。
確認しておりませんが、前回の同委員会で、仙谷由人・内閣官房長官の古賀さんという経産官僚に関する答弁に反発した自民党の平井卓也議員が退席し、自民党・公明党議員らが賛同して退席した影響だと思います。仙谷大臣の謝罪などを理事が協議しているのではないか、と推測しています。そもそも衆院内閣委員会は第174通常国会で、「強行採決転倒事件」が起きて以来、荒れる地合いとなっています。
中盤を迎えた秋の臨時国会。大枠としては、自民党ら野党が小沢問題での証人喚問などを要求し、それを民主党が約束しなければ補正予算審議に入れないと主張、一方、民主党は「証人喚問何を聞くのかをあらかじめ明らかにせず、とにかく(小沢一郎氏を)呼べというのは、(刑事事件に関係する内容が含まれるので)乱暴な話だ。1ヶ月前からそれを主張しているのに、自民党はそれを検討した形跡がない」(28日の岡田克也さんの幹事長会見)という立場もあり、煮詰まった状況です。この地合の下に、衆参の予算委員会、参院決算委員会と参院議院運営委員会(ともに委員長は自民党)、衆院内閣委員会で「仙谷答弁」が問題となり、たびたび審議がストップしたり、仙谷さんが謝罪したり、また答弁でどやしつけたりという状況になっています。
【追記 2010-10-29 20:30】
衆院内閣委員会の荒井聰委員長は、6時間半ほどをかけて、自民党・公明党などの一般質疑の質問時間を流したようです。これにより審議時間はつくされ、“欠席した野党が悪い”、という格好になります。とはいえ、これは「一般質疑」であり、「法案の審査」ではありません。今国会に共通しますが、法案が議題になっていないのに、野党の質問時間がたっぷりの10月でした。11月の民主党国対は、「法律を作る工場の管理者だ」という認識でやってほしいと思います。統一選からの逆算では、じつは法案審議の時間はもうほとんどないのです。【追記終わり】
また、きょうは参院議院運営委員会がネット中継され、1時間あまりについて、「国会法第39条の解釈に関する件」という珍しい議題で議論がありました。参院自民党国対の切れ者中の切れ者で、小泉官邸→安倍官邸を官房副長官として引き継いだ鈴木政二・自民党参院議員が委員長として、「事業仕分けが国会法違反ではないか」との指摘について、古川元久・内閣官房副長官、伊藤誠・参議院法制局長らから意見聴取しました。また次の順に意見を述べました。
鈴木政二(議院運営委員長)
古川元久(内閣官房副長官)
伊藤誠(参議院法制局長)
川崎稔(民主党・新緑風会)
世耕弘成(自由民主党)
西田実仁(公明党)
水野賢一(みんなの党)
水岡俊一(民主党・新緑風会)
森まさこ(自由民主党)
竹谷とし子(公明党)
義家弘介(自由民主党)
紙智子(日本共産党)
中山恭子(たちあがれ日本・新党改革)
国会法39条は、議員の兼職禁止(総理大臣など政務三役などをのぞく)を定めており、行政刷新会議の事業仕分け人は国会法違反ではないかとして、それに対する意見を聞きました。これは、審議と言うよりも、基本的には、自民党の委員長が、民主党の目玉である事業仕分けを牽制したものです。
第21回参院選で民主党が参院第一党になり、最重要ポストの議院運営委員長は民主党、花形ポストの予算委員長は自民党と分け合いました。その後の第45回衆院選で衆院側でも第一党が逆転(政権交代)したこともあり、第22回参院選後、予算委員長が民主党、議運委員長は自民党とバーター取引で人事異動がありました。これは、憲法で予算案が内閣(民主党・国民新党)しか提出できないことになっているからだ、と説明していますが、参議院という世界は党派を超えた人間関係で動いており、よく分からないところもあります。
なお、参院議院運営委員会は過去にも、日銀総裁などの国会同意人事で政府が提案した候補者について、所信聴取した際に録画中継しました。しかし、基本的には、衆議院でも参議院でも議院運営委員会は生中継することを要望します。実際には、議運は形式的なものですが、その日の本会議の日程などが分かる「予告編」です。せっかく国会ネット傍聴を楽しみにしている人が増えてきたのですから、ぜひ「予告編」もネット中継に踏みきってほしいと思います。