宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

予算関連法案の1本成立メド 公明党代表「地方交付税法改正案」を「基本的には賛成で検討」と明言

2011年02月23日 05時57分47秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[写真]公明党代表の山口那津男さん

 公明党代表の山口那津男さんは、22日、全国市長会長を務めている新潟・長岡市長の森民夫さん、全国町村会長を務めている長野・川上村長の藤原忠彦さんと衆院第1議員会館で会い、予算関連法案の一つである「地方交付税法改正案」(今国会内閣提出第5号法案)について、「基本的には賛成する方向で検討したい」と述べました。23日付の公明新聞が2面で伝えています。

 山口代表の「基本的に賛成」の表明で、地方交付税改正案は、衆院だけでなく、参院本会議(過半数121票)でも、民主党106人、国民新党3人に加えて、公明党の19人が賛成に回ることで、すでに128票以上が固まりました。参院で可決・成立してしまえば、衆院に戻して、再議決は必要ありませんから、「衆院の3分の2」はまったく、問題ありません。

 このため、改正地方交付税法可決・成立するのは確実な情勢となり、ていねいな国会運営を心がければ、年度内成立も可能となりました。

 今国会に政府が提出した予算関連法案で、可決・成立が確実になったのは、これが初めてです。

 仮に地方交付税法改正案が年度内成立しなかった場合は、2月20日付の当ブログエントリーにあるように、「4月4日支給分の地方交付税交付金の概算交付額が月で「4・1兆円→2・6兆円」へと減額され、人件費と市債償還費は遅らせるわけにいかないので、公共事業の着工を先送りしたりするなど、新年度当初予算を骨格のみとし、首長選を迎えた自治体が新首長による肉付け補正や9月補正予算案が組めないといった事態に陥りかねない状況でした。

 成立が確定している、平成23年度本予算(2011年度当初予算)では、総務省所管で16・4兆円の普通交付税(地方交付税)が盛り込まれています。

 この状況に対して、全国市長会長と全国町村会長が要望したところ、地方議員3000人の公明党の代表として、山口さんは政局にかかわらず責任ある対応が求められたので、「基本的には賛成する方向で検討したい」と述べたのだと思います。この会談には、井上義久幹事長、石井啓一政調会長が同席しており、山口さんの発言は、国政・統一選をめぐる諸情勢から断定はさけていますが、ほぼ確実に「賛成」ということで間違いないと考えられます。

 公明新聞は、「予算関連法案不成立時に想定される事態について」の山口発言を報じています。この「不成立時」というのは、「法案否決」のほかに「年度内未採決」も含んだ表現だと思われますが、そういった混乱した事態に関して、山口さんは「今後とも市町村の意見を伺いながら(対応を)進めていきたい」と両会長に約束しました。

 両会長は、平成23年度子ども手当法案については、仮に不成立(あるいは未成立)の場合、児童手当が復活して支給対象が変わり、自治体の事務負担が増すことを説明し、「国民は混乱し、市町村の事務に支障を来す。手だてを与野党で話し合って欲しい」と述べ、公明党ら野党が政府・民主党に修正を含めて、歩み寄るよう促しました。

 地方交付税法改正案は先週の2月15日(火)の衆院本会議で、趣旨説明と代表質問が行われています。この法案を担当する、衆院総務委員会は、きのう(22日)、総務大臣の片山善博さんに対する一般質疑をしましたので、きょう(23日)、委員会でも提案理由説明があると思います。ちょっと、予算関連法案のスケジュールが遅れだした感覚を持ちますが、民主党の理事は泰然自若と速やかに委員会をセットして、質問に立つ委員(1年生含む)は、何事もなかったかのように、政権与党の責任に立って、きっちり、しっかり、ていねいに、審議を進めて、早く参院に送って欲しいと思います。こういうときにどういう振る舞いをするか。それが「正念場」の本来の意味です。

 いずれにしろ、予算関連法案が1本だけ、歳出法案(国から見れば歳出、自治体から見れば歳入)とは言え、成立が確実になったことで、ここから一気に菅民主党がブレークスルーする突破口が見えてきました。そもそも平成23年度の国の予算を河に例えれば、「地方交付税交付金」は国にとっては河口であり、その財源をどうするかという視点に立てば、川上にある40兆円を動かす最大法案「平成23年度赤字国債臨時特例法案」も成立させなければいけない、という流れができます。

 国会は、政党という組織でなく、会派によって動いています。衆院も参院も任期がかなり残っているのですから、衆参とも会派が話し合い、国民生活向上のために「国会の総意」を示してほしいと考えます。

交付税法案、賛成の方向 | ニュース | 公明党

公明党の山口那津男代表は22日、衆院第1議員会館で、全国市長会の森民夫会長(新潟県長岡市長)と全国町村会の藤原忠彦会長(長野県川上村長)から、来年度の子ども手当法案などに関する要望を受けた。井上義久幹事長、石井啓一政務調査会長が同席した。

森会長らは、来年度の予算関連法案の成立が不透明な状況であることを踏まえ、「予算関連法案で地方に非常に関係があるのは子ども手当法案と地方交付税法案、地方税法案」と指摘。子ども手当法案不成立の場合、児童手当が復活して支給対象が変わり、自治体の事務負担が増大するなどと説明し「国民は混乱し、市町村の事務に支障を来す。手だてを与野党で話し合ってほしい」と強調した。

山口代表は、予算関連法案不成立時に想定される事態に関して「今後とも市町村の意見を伺いながら(対応を)進めていきたい」と強調。地方交付税法案については「基本的には賛成する方向で検討したい」と述べた。