17日は、複数の常連読者の方からメールをいただいたが、返事を出せなかった人もいます。また、一度メールをいただいてから、数分後に追加のメールをちょうだいした方もいます。すなわち、僕も、常連読者の方もみんな動揺していたのだ、ということを恥ずかし気もなく共有して、日本を前に進めていきたいと思います。岡田さん、安住さんも冷静さを保とうとしていたようです。その辺、少なくともぶら下がりインタビューでの菅さんは平然としていて、さすがだと思う。この人しかいないと確信しました。
実は私は、笠原多見子衆院議員のブログは連日チェックしていて、さらに先週は政治資金収支報告書をみて、収入はわずか10円、寄付者は笠原さん本人で、その10円を「2009年→2010年」に繰り越していることを確認していた。つまり、きな臭さを感じていたにもかかわらず、事前に動きを察知できなかった不明を恥じ入ります。岡田幹事長が決めた「比例区総支部への支部交付金の傾斜配分のルール」が相変わらず岡田さんらしく厳しくて、不満のマグマにつながるとは思っていましたが、常任幹事会で議決済みです。ただ、今後多少の条件交渉の余地があるかも知れません。
稲盛和夫さんは応援団を卒業されるそうですが、年齢のこともあるけど、僕は応援団をやめないし、第一、苦しいときこそ応援団の正念場です。私は宮澤解散のときも、羽田内閣退陣のときも、新進党解党のときも、2008年代表選での岡田さん敗北の後も、「あすはきょうより良くなる」気がしましたが、そういう感覚は今はあまりないですね。私が経験している中でも、もっとも危機的な状況だと思います。また、小沢反乱軍が「同じ政党で会派が2つに分かれたことがある」という事例を上げていましたが、その政党は、江田五月代表、菅直人政調会長が所属していた政党だと、思います。かなり当てつけに近い事例です。だとしたら、その知恵はだれがつけたのか。16人の議員がそこまで調べ上げたのでしょうか。やはり、衆議院事務局職員だった平野貞夫さんの影があるように、私は邪推しています。
さて、民主党応援団員(正確には政権交代ある二大政党応援団員だが、当然、現実的な対応として、現在は民主党応援団員)の私ですが、1月末に自民党の底力を感じる調査がありました。
自民党は昨年、茂木敏充・広報本部長や、小泉進次郎・新聞局次長らが話し合って、機関紙「自由民主」を大幅に刷新しました。機関紙のデザインを変えれば選挙に勝てるか?というと、それは全く関係ないけど、元大臣や、進次郎が、党員や国民から、デザイン案を募集したり、話し合ったり、表彰したりしながら、「一緒に一つの物」を作り上げていく過程は、確実に自民党の足腰を鍛え直すでしょう。
で、機関紙の1面に、カンタンなアンケートがあって、それを見て、党本部ホームページを開いて、ワンクリックで、意見を表明してもらうという誘導がことしからスタートしました。機関紙を見て、党本部ホームページからクリックするのだから、ほとんどが党員でしょう。そして、第22回参院選(「反省の夏」)の最後の1週間に見せつけられた、1人区などでも自民党の底力を、先日のこのアンケート結果で感じたのでした。
[画像]自民党ホームページからキャプチャ。
自民党は民主党政権を解散・総選挙に追い込めるか。との問に、777人がクリックし、「YES」は527人ですから。67%にとどまっている。ご存じのようにネット投票は極端な結果が出やすいのに、わずか67%。ここに自民党の底力、経験の蓄積を感じるわけです。
第177通常国会の自民党の最初の発言は、代表質問での谷垣禎一総裁の「菅首相が衆院を解散・総選挙しなければ、税と社会保障の与野党協議に応じられない」という、ちょっと意味がよく分からない演説からスタートしました。その日のうちに党幹部らが、「解散・総選挙を【約束】しなければ」という意味だ、と補足していたと思います。
解散権は、民主党どころか、菅直人首相ただ一人にあるわけで、野党は菅政権を追い込むのは、「早期の総辞職に追い込む」か「2013年8月の任期満了まで解散の時期を追い込む」かのいずれか。通常、衆議院の任期満了が6ヶ月未満になってから解散することを「追い込まれ解散」と言いますが、麻生太郎内閣の第45回衆院選を含めて、追い込まれ解散または任期満了総選挙では、与党は負けています。
当ブログは2008年11月14日付エントリー「「解散風を吹かすな」「本部を頼るな」党内“野党”が積極発言」の中で、当時の野党民主党で執行部から外れていた岡田克也さんと馬淵澄夫さんが「野党が与党を早期解散に追い込むことはできない」という趣旨の発言をしていることを紹介しました。麻生内閣発足1ヶ月のタイミングの発言ですが、実際に麻生さんが解散したのは翌年の7月21日、総選挙は8月30日ですから、岡田・馬淵のアドバイスが正しかったわけです。
自民党でも分かっている人は、野党が与党を解散総選挙に追い込めないことは分かっている。それが自民党の強さです。そこで、やはり第46回総選挙を前にして、自民党と民主党は両院協議会改革の国会法改正に乗り出すべきでしょう。とくに、名古屋・愛知ショックによる既成政党不信・国会不信は、民主党、自民党共通の敵であり、国民のうんざり感を払拭するためにも、ここで国会法を改正すべきです。
国会法第92条第1項で、両院協議会は「出席協議委員の3分の2以上の多数で協議案(すりあわせ案)が議決されたとき成案となる」というのは、どう考えてもメチャクチャな条文。衆院と参院が同じ人数の協議委員を選出して、両院協議会で話し合って、「3分の2以上の多数」などあるわけない。仮に合意できたら、それは両院制の否定につながりかねない。戦後憲法制定のドタバタの中でいい加減につくった条文としか思えません。このように現行憲法(押しつけ憲法)の施行により、あわててつくった関連法規にはおかしなものがたくさんありました。例えば、地方自治法では、第4条で「都道府県の合併(配置分合)は都道府県議会の議決する」としながら、第6条では「都道府県の境界線の変更は国会が議決する」という、矛盾した条文がありました。この地方自治法のおかしな部分が改正されたのは、ホントウについ最近のことです。しかし、国会法の両院協議会に関する規定には、おかしな部分がいまだに残っています。
この「3分の2以上の多数で成案」は、少なくとも、「過半数による成案」と修正すべきでしょう。それとくじ引きによる選挙で、両院協議会議長をとった院とは違う院が、打ち切り動議と採決動議を出した場合は、議長選挙(くじ引き)に外れた院の方が採決で有利になります。この場合は、議長も採決に加われるようにしたら解決できます。また、協議委員は「連記式」「無記名」で投票し、選ぶことが前提ですが、実際は、動議により省略され、議長が指名しています。これはしっかり各院が選挙すべきではないでしょうか。
さらに、両院協議会は、国会議事堂の中央部分3階の「委員長室(通称は常任委院長室)」で開かれます。ここは、TV映像では、岡田さんや石原伸晃さんが奥に座って、「与野党幹事長会談が開かれました」というニュース映像に映っている立派なつくりの部屋です。ただ、ここからだとネット中継はできませんから、党首討論のように、順繰りに衆参の第一委員会室でやって、ネット中継をしたらいいでしょう。両院協議会はたいてい平日の夜中になりますから、普段は国会中継を見られないサラリーマンが釘付けになるかもしれません。
社民党も衆院の3分の2でキャスティングボートを握れなくなりそうなので、両院協議会で衆参1人ずつ協議委員を出し、発言を見せられるでしょう。
国会法改正は、議院運営委員長が発議すれば、おそらく委員会審議をせずに本会議でいきなり議論できると思います。岡田さんは記者会見で、アメリカの民主党と共和党を「カルテルのようなもの」として、第三政党が二大政党にのし上がれるように、衆院比例代表が必要だとしていますが、今のままなら、全廃という世論が盛り上げるでしょう。
理論や理屈はどうでもいいから、民主党と自民党は両院協議会改革に乗り出すべきです。どの政党に限らず、既存政党公認の地方議員も、多くが賛同すると思います。内閣支持率が下落していますが、国会支持率はもっと下がっています。
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