【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

安住淳国対委員長、予算関連法案を分割へ NHK日曜討論

2011年02月13日 10時18分31秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意
 13日放送のNHK日曜討論で各党の国対委員長が集まり、予算および関連法案の成立について議論しました。司会はNHK解説委員で中央大学辞達学会出身の島田敏男さん。

 この中で、9時25分ごろ、民主党の安住淳・国対委員長は、予算関連法案に関して、「関税定率法案や、それぞれの法案で全会一致で可決できる部分、国民生活に影響がでる日切れ法案は別々にお願いしたい」として、予算関連法案を分割する考えを示しました。時期や担当に関しては、「私があした(14日)にでも、それぞれ(各党の国対委員長室に)おじゃまをして、お願いしたい」と話しました。民主党は15日(火)午後1時の衆院本会議で、予算関連法案(歳入・歳出とも)のうち、財金委と総務委に付託する法案について、趣旨説明と代表質問をする予定ですが、この日程への言及はありませんでした。閣法を出し直すという考えもありますが、国会で修正するという新しい国会を見てみたいと、私は感じました。

 これに先立ち、自民党の逢沢一郎・国対委員長は「民主党は与党としてもっと苦労しないといけない。もっと苦しんで年度越えをしなければいけない。もっと本気にならないといけない、と国民も見ている」として、マニフェストの撤回を要求しました。また、予算案、赤字国債臨時特例法案に反対すると明言しました。

 一方、日本共産党の穀田恵二・国対委員長は、「むしろマニフェストをしっかり実行しなさいというのが共産党の立場だ」として、まずは賃上げを要求しました。

 公明党の漆原良夫・国対委員長は「マニフェストの年金部分の破綻は明らかで、修正ではなく、首相が謝罪すべきだ」と話しました。

 水野賢一・みんなの党国対委員長は「みんなの党はただ反対のための反対、の党ではない」としました。

 友好政党・社民党の照屋寛徳・国対委員長は「マニフェストをすべて修正すべきということではない」として、「マニフェスト変更の理念が必要だ」として、部分的な修正を求めることを示唆しました。

 与党である国民新党の下地幹郎・国対委員長は「マニフェストは着実にスタートしている。まだ完成していないだけだ」としながらも、「マニフェストになかったTPP、法人税減税、消費税増税」が出てきたことに苦言を呈しました。

 島田解説委員が安住さんに「予算関連法案が参院で否決された場合は衆院で3分の2での再議決に踏みきるのか」と問うと、安住さんは「できるだけ合議で行きたい。(3分の2は)非常に微妙だ」と述べました。

 その上で、「柵がないのが策だ」として、国会に法案を出した上で、オープンな過程で議論し、修正可決も視野に入れる、八百長がない国会運営を民主党はやっていく方針を力強く打ち出しました。

 自民党の逢沢国対委員長は、「小沢問題は国民はうんざりしている。政倫審も(本人が出席しないので)ダメなんでしょう。民主党が(予算委で賛成して)証人喚問を実行すべきだ」と述べました。公明党の漆原さんは「起訴後に証人喚問を受けた例は6人いる」として、「刑事事件で争われている事実以外に、(小沢さんには)周辺で聞きたいことがいっぱいある」と述べました。水野さんは「国会で説明しないで、インターネット番組で発言する姿勢を問題視している」とのみんなの党の立場を示した上で「収監中の人間に出張尋問した(証人喚問の)例もある」と強い覚悟でのぞむことを示唆しました。これについて、下地さんは「番組で説明しているから問題ない」と小沢さんをかばいました。照屋さんは「社民党としては公開した上での政倫審で説明すべきだという姿勢でずっと変わらない」としたうえで、「民主党の決意と覚悟が問われている」としました。安住さんは「小沢先生は政倫審で説明すると言っている。執行部としては今国会が始まる前に出席して欲しかったのだが」として、理解を求めました。

 3月危機への懸念について、安住さんは「いろいろ言われているが、政権交代後に民主党で採決に造反した例は1件も出ていない」と強調しながら、「政権与党にいて、予算案や予算関連法案に反対するのは相当な覚悟が必要だ」として、小沢グループ(一新会、北辰会)を徹底的に締め上げる可能性を示唆しました。

 番組を通して気がかりだったのは、安住さんがかつてないほどプレッシャーを感じた行き詰まった表情だったことです。NHKの先輩の島田さんから安住さんへの優しくも厳しい、NHKの社風らしい、軽妙かつ助け船にも思える質問には、的確と感じられる返答をしていましたが、野党の発言に対して、反論するという場面はまったくありませんでした。

 なんとか、この苦しい局面を党員・サポーター一堂で支えていきましょう。なお、今週、小沢さんの党員資格停止に向けた手続きが始まると思いますが、党内でバカな動きをした国会議員はストレス解消も含めて、国対に半殺しにされると思います。

 予算関連法案を分割するのもいいですが、2ヶ月間のつなぎ法で、統一選(4月24日終了)の後、に審議して、5月31日まで議論の時間を延長するというアイディアもあると考えます。とはいえ、ぜひ提出した閣法は、どんどん趣旨説明(提案理由説明)して、衆院で審議入りさせちゃってほしいと思います。

 私は、鉢呂吉雄さん、安住さんらの「オープンな国対」「国会見える化」を支持します。自民党や参議院も同調して欲しいと願います。

菅直人耐えて行け克て時は寒

2011年02月13日 09時09分39秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

 おはようございます。お寒うございます。

 きょうの朝日新聞11面の「朝日俳壇」で、時事俳句の投稿が入選するという面白い出来事がありました。
 選者は俳人、金子兜太(かねこ・とうた)さんで、投稿者は八王子市の田中由紀子さん。

 「菅直人耐えて行け克て時は寒」。

 「菅(カン)」と「寒(カン)」の韻をふんで、「耐えて行け!克て!」とエールを送っています。

 朝日の学芸記者が書いた記事では、「本日の朝日俳壇欄、金子選に時事俳句が選ばれた。実験的な句を選ぼうとする金子さんにしても「ここまでストレートな表現は普段はとらない(=選ばないとの意味)」。--と書いており、極めて異例な出来事なようです。懐の寒さ、世情の寒さを反映して、俳壇も心がまっすぐに伝わる三多摩からの応援俳句を季語がしっかり入っていますので、入選させたようです。この朝日新聞紙面が後の世の人から見て、どういう風に感じられるのか、気になるところですが、前に進むしかありません。

 記事では、作者の田中さんがインタビューを受けたようで、「逆境の菅首相にエールを送りたかったのが最初の思い。韻を踏んで〈時は寒〉という季語を選んだ時、ことしの厳しい寒さと世の中の寒々しさが重なった」と話し、「菅首相だけでなく、世間にもうすぐ春が来ますよ、と伝えたい」とのこと。この田中さん、楽天主義者のように思いますが、春は必ず来ます。地球が太陽の周りを回っていれば、日本列島は3月か4月から春になります。だから田中さんは楽天主義ではなく、当たり前のことを、ちょっとアタマをひねって、俳句にしたためただけのことなのです。

 ちなみに、行け!克て!ということで、「勝」と「克」はどう違うのかな、と白川静『字源』をみたら、「克」は象形文字で、刻む道具が由来。なので、「かつ(勝つ)」の他の意味として、「きざむ」、「たえる」、「「うちかつ」という語感(ニュアンス)もあるようです。菅さんは衆院選挙では10連勝していますが、己(おのれ、自分)に克つのはあまり得意でないかもしれない。歴史に名を刻み、己に克つまで、菅直人は前に進むしかない。それが国民生活の窮乏を脱出する唯一の道です。

 朝日俳壇では4人の選者が毎週10句ずつ選んでいます。

 兜太さんは「菅直人耐えて行け克て時は寒」を入選させた理由を次のように評しています。「こういう俳句があってもよい」--達観したような表現に、現在91歳の兜太さんが、元気に長生きされている秘訣を見た思いがしました。