[画像]3次補正予算関連法案の質問に立った西村康稔・影の財務相、2011年11月7日の衆院本会議、衆院インターネット審議中継からキャプチャ。
【2011年11月7日(月)衆院本会議】
珍しいことに、2週連続で月曜日に衆院本会議が開かれました。衆本の定例日ではなく、仮に開かれると、首班指名や施政方針(所信表明)演説などの大型議題がかかります。きょうは正午~午後2時まで、3次補正予算関連法でした。民主党は「関連法案は10本だ」と主張していますが、きょうは「復興の財源確保法案」(179閣法4号)、「地方交付税の総額の改正法案」(179閣法2号)、「地方税法の臨時特例法案」(179閣法3号)の趣旨説明と代表質問がありました。
西村康稔・影の財務相は復興債を歳入とする復興事業に関して透明性を確保するため、特別会計を儲けるべきだとし、野田佳彦首相も平成24年度(2012年度)当初予算から設ける方向で答弁しました。
この後、西村さんが持ち時間の中で再質問をしたので、野田首相のノー原稿の演説が久しぶりに聞けました。
その部分が、報道されています。ただ、以下の記事などはニュアンスが違うと思います。9月以降の体制になってからは、あまり記者会見にも出ていないので、きょうは新聞批評とします。
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asahi.com(朝日新聞社):首相、消費増税法案成立後の総選挙を強調 衆院本会議 - 政治
野田佳彦首相は7日の衆院本会議で、社会保障費を賄うための消費増税に関して「(今年度中の)法案提出の暁には成立に全力を尽くし、実施する前には総選挙で民意を問う」と述べ、衆院総選挙を実施する時期は法案成立後とする考えを改めて示した。この日は、震災復興費のため10兆円超の増税をする復興財源確保法案が審議入り。首相は早期成立への協力を求めた。
消費増税法案づくりについて、野田首相は「税率の引き上げ時期は与野党協議などをふまえ決定したい」と与野党協議を呼びかけた。3日の主要20カ国・地域(G20)首脳会議で消費増税を国際公約したことは「国会で何度も申し上げてきた従来の方針だ」と強調した。いずれも自民党の西村康稔氏や公明党の竹内譲氏の質問に答えた。
西村氏は「(消費増税に触れなかった2009年の民主党の)衆院選マニフェストはうそだったと認め、国際公約の前に信を問うのが筋だ」と主張。竹内氏も「復興財源確保の方策を論議しようという時に、消費税引き上げを海外で表明するとは何事か。国民の信を問うべきだ」と批判し、ともに早期の衆院解散・総選挙を求めた。
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このほか、共同通信も同趣旨の記事を流しています。「衆院解散総選挙は法案成立後」「早期の解散総選挙を求めた」として、社会保障と税の一体改革法案(消費増税法案)を年内に提出した後に解散するという総理の答弁を中心にしています。しかし、きょうの衆本で、西村影の財務相は再質問で「消費税引き上げ法案が成立しなければ、国際公約に反しますよ。だったら総辞職か、解散するんですね」という趣旨の発言をしています。また公明党の竹内譲さんの質問のほか、日本共産党の佐々木憲昭さんも「国民新党は消費税増税に反対している」として、連立2党にくさびを打ち込む質問をしています。このように、自公共の3党が、今年度中提出(平成21年度の税制改革法の付則104条)する社・税一体改革化法案を参議院で否決するーーおそらく2012年5月~7月?ことで、早期の解散総選挙に追い込む、ないしは話し合い前倒し解散を勝ち取る方針を明確化したというのが、きょうの衆本の感想です。
別段、メディアの陰謀ではありません。夕方のTBSニュース(JNNニュース)などは、西村質問→野田答弁とVTRがつながったので分かりやすかったです。しかし、新聞では「野田首相は~述べた。自民党の西村氏への答弁。」という定型原稿(フォーマット原稿)に基づいて記事を書き、デスクが処理するのでこういうことになるのでしょう。しかし時系列では質問→答弁です。ところが、現在、首相には衆議院解散という大権がありますが、法案を成立させる、すなわち、法案を参議院で可決させる権力はありません。このため、「成立に全力を尽くし、実施する前に総選挙」という動詞のつなぎ方になっているわけです。しかし、これでは衆参ねじれには対応できない。「西村影の財務相は~と述べた。首相は~と答弁した」で良いのではないでしょうか。
私の感覚として、自民党は「消費税すえおき」で第46回総選挙を闘うとは思えません。ですから、「社・税一体改革法案」は、参院でいったん否決のうえ、最終的に修正可決。その見返りとして、前倒し総選挙が来年6月~9月にあるのではないかと推測します。いずれにしろ、参院で否決した場合は、両院協議会をキッチリ開いて欲しい。小泉純一郎首相は郵政民営化法案が参院で否決されるやいなや、両院協議会を開かずに解散し、第44回総選挙になだれ込み、大勝しました。これは国事行為である以上、違憲ではありません。しかし、デモクラシーのプロセス、手続きとして好ましくなく、このスピード感の中、小泉自民党に投票した人は、反省すべきです。
【2011年11月7日(月) 衆院予算委員会】
平成23年度第3次補正予算(案)の基本的質疑1日目となりました。
この中で、民主党の階猛さんが、理事を務める衆院決算・行政監視委員会で「国会で与野党による事業仕分け」をすることを披露すると、野田首相は「政府がお手伝いできることは何でもお申し付けいただきたい。タイヘン良い取り組みだと思います」と述べ、政府が持つ情報の全面提供を確言しました。
自民党の平将明・決算行政監視委員会理事のツイートによると、「衆議院決算・行政監視委員会で行う行政監視質疑(事業仕分け)の対象事業が決まった。①革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラの構築(所謂スーパーコンピュター)②医療費レセプト審査事務③公務員宿舎建設・維持管理に必要な経費④原子力関連予算の独法・公益法人への支出」が対象になるそうです。
ところで、細かいですが、野田さんが笹木竜三さんの質問の中で、「(3・11当日は)参議院の決算行政監視委員会に出ていました」と答弁しましたが、参議院では、「決算委員会」と「行政監視委員会」は別々の常任委員会になっています。野田さんが出ていたのは「参議院決算委員会」の方です。このように衆院第1党(政権政党)の党首である衆院議員でさえ、参議院のことは知らないものだという現実に、衆参ねじれ国会の問題の根深さを感じました。
国民新党幹事長の下地幹郎さんは、財源確保法案で早期成立が盛り込まれている郵政改革法案(176閣法1~3号)成立後の日本郵政株式会社の株式の売却について、公開(上場)後に2年以上かかるとして、平成27年(2016年)ごろからの売却が現実的だとの考えを質問の中で示しました。
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