[画像]平成23年度第3次補正予算(案)の賛成討論に立つ民主党・新緑風会の金子洋一さん、2011年11月21日、参議院インターネット審議中継から。
【2011年11月21日(月)参・予算委】
民主党は高知県選出で自治労組織内の武内則男さんが質問しました。人事院勧告不実施を求めました。
続いて、自民党からは礒崎陽輔さんが登場。「給与引き下げ関連法案はことしの人勧を内包している」と答弁する川端達夫総務相や野田佳彦首相に対して、「人勧を実施して、給与引き下げ関連法案を成立させればいい」と反論。そのうえで「じゃあ、聞きましょう、野田総理は連合と人勧不実施を約束しましたか?」とストレートな質問。これに対して、総理は「給与引き下げ法案の成立だけで、それ以外はない」としました。礒崎さんはたたみかけて、「あるんでしょう。人勧不実施で、労働協約締結権を得たいんでしょう」として、労働協約に多少の理解は示しながらも、「ひきょうなやり方だと思いますが、どうですか?」と質問しました。
この間、答弁の不一致などで山本一太・野党側筆頭理事の抗議でたびたび審議がストップしましたが、石井一委員長が「礒崎さん、あなたも理事なんだから、後で理事会で協議しましょう。質問を続けてください」と切り返しました。
[画像]安定した運営をした石井一・参院予算委員長。
公明党の浜田昌良さんは、TPPの説明責任について質問。野田総理は「すべての外交交渉は2項対立ではないと思います」と答弁しました。浜田さんは「私も(通産省出身でもあり)自由貿易は推進する立場ですが・・・」と現在の公明党の党議と若干違和感がある切り返しをしました。
浜田さんの「ウォール・ストリートの格差是正デモが起きている理由はなぜか」との質問には、財務大臣の安住淳さんが「行きすぎた金融市場が実態経済からかけ離れているのが原因だ」と答弁しました。これはともに、ペーパーをみずに、自分の言葉で答弁したようすで、こういう根本中の根本の状況認識で、総理と財務大臣が背骨の通った答弁をしたことはタイヘンな安心感・安定感がありました。
このほか、浜田さんは原子力被害者への賠償支援について質問しました。ただ、これ以外の委員はほとんど3次補正予算のメニューへの質問がなく、残念でした。また、浜田さんはペーパーを見ながら「ところで野田総理はトインビーの信奉者でしょうか?」というなぞの質問をし、総理はトインビーの言葉についての感想は述べませんでしたが、質問そのものには答えませんでした。何だったんでしょう。国会も疲れるわ。
この後、討論の中で、自民党の赤石清美さん(全国比例、2016年改選)が賛成討論に立ち、「この補正を持って自民党は協力を終わります」と宣言しました。かねて見通し報道がありましたが、ハッキリと議事録に残りました。そのうえで、赤石さんは「これからは閣僚の資質を追及していきます」としました。公明党の竹谷とし子さんは「公明党の提案が一部盛り込まれた」「今後は予算の執行が大事だ」と賛成しました。一方、日本共産党の田村智子議員は「復興債の償還財源を庶民増税に頼っている。その一方で法人税など大企業減税が進んでいる」として反対討論しました。
この後、採決され、民主党、自民党、公明党、みんなの党、たちあがれ日本・新党改革、社民党・護憲連合が賛成し、正午前に可決しました。
【2011年11月21日(月)参・本会議】
平田健二さんが初めて議長席に座りました。
石井一・予算委員長が報告。その後の採決で、平成23年度第3次補正予算が可決、成立しました。投票総数は231、賛成225、反対6。
この後、野田首相のホノルルAPEC(アジア太平洋経済協力)やバリ島でのASEAN+3(東南アジア、日本、中国、韓国)などの2週にわたった国際会議の報告とそれに対する代表質問。
またこの後、片山さつきさんら提出の「二重ローン軽減法案」(「株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法案」=第177回国会参法第12号)の衆院修正部分の回付案が可決・成立。みんなの党は、「参法の共同提出者の自民党や公明党には大変申し訳ないが、衆院での修正部分に納得できない」(先週の委員会での桜内文城さんの討論)として反対。先週の委員会では、片山さんが「JA(農協)、JF(漁協)、商工会議所の窓口になってもらいたい。銀行の支店までは、(被災者の方は)行けないですよ」と答弁しており、少し残念な気もしますが、それは現実だと思います。
衆院先議が原則のため、参院本会議は、会期末前日ごろに17本ほどの日程(議案)が集中したりすることがよくあります。ただ、会期末まできょうを入れて14営業日ある時点で、これだけてんこ盛りの本会議は異例です。これは課題が先送りになってきた証拠ですが、逆にスピードアップしているともいえます。現時点で良し悪しは判断できません。
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[写真]参院自民党の礒崎陽輔さん、2011年11月21日、参議院インターネット審議中継からキャプチャ。
【2011年11月21日(月)参・予算委】
参・予算委が月曜日午前9時から、参・本会議が午後1時設定という異例な国会日程となっています。
参・予算委は平成23年度第3次補正予算(案)のしめくくり質疑に入りました。採決のうえ、可決(民公自)。本会議に緊急上程のうえ成立する見通しです。
しめくくり質疑で、参院自民党は礒崎陽輔・理事を起用しました。
礒崎さんは、2012年3月31日までに国会に提出しなければいけない、と解釈されている「消費増税準備法案」について、附則104条は「景気回復に向けた集中的な取組により経済状況を好転させることを前提として、遅滞なく、かつ、段階的に消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、平成二十三年度までに必要な法制上の措置を講ずるものとする」との条文から、経済状況が好転していなければ、2012年3月31日までに消費税増税準備法案を出さなくてもいいという趣旨と思われる発言をしました。政府に対する一つのヒントだと思います。
震災後、参院自民党は、82人中十数人の議員が質問者、提案者、答弁者としてヘビーローテーションで登場する「正念場」となっており、その他大勢の議員がいつか造反などのスタンドプレーにでないか懸念されます。先週の衆院本会議でも自民党の谷公一さんが礒崎さんが8月に提出した復旧交付金の法案について「いわば礒崎法案と呼ぶべきものだ」として、閣法に取り込まず、参法として審議、成立させるべきだという趣旨の演説をしました。今までの日本の国会ではあまりなかったシーンです。ただ、法案をよく読んだら、紐付きなので、そのまま成立させるべき法案ではない、と私としては判断しました。
それはさておき、自民党の前の与党期最後となった第171通常国会で成立した「所得税法など国税改正法」の「附則104条」について、礒崎さんは「私が書いた」と述べました。礒崎さんは当時1回生で2年目の議員でしたが、党税調の事務局をやっていたのでしょうか。礒崎さんは地方税制を企画する自治省出身で、総務省自治税務局と財務省主税局は「50年戦争」と呼ばれる激しい対立関係のなか、国税と地方税をめぐる議論を続けてきました。
野田総理は、社会保障と税の一体改革について、消費税増税法案は2012年度、社会保障の一体改革成案の一連の法案は2013年度に出すというタイムスケジュールを重ねて提示しました。しかし、「一体」とは「同時」と同じ意味。これは民間の複式簿記ではイロハのイ。国の単式簿記の社会で生きてきて、さすがの財務官僚も勘違いしたのではないか、と私は推測しています。
なお、礒崎さんの「ヒント」は、民主党も自民党も方向性は一致している消費増税準備法案を提出させずに、平成24年度の特例公債法案の成立(参院での自民党の賛成が不可欠)を衆院解散の6月前後への前倒しに引き換え条件として明確化させるゆさぶりかもしれません。これについて、衆院予算委でのしめくくり質疑で自民党の元財務大臣・伊吹文明さんも「消費税増税準備法を成立させて、(民主党が)選挙に負けたら、(消費税増税のプログラムは)どうするんですか。日本の未来のために、民主党は党をまとめて(第46回衆院選)マニフェストに(消費税増税を)入れてください。自民党もマニフェストに入れますから。以上!」と述べて、質疑をしめくくっています。
自民党のターゲットが消費税増税準備法案ではなく、平成24年度特例公債法案であることが浮き彫りになりつつあります。
[衆議院議案ホームページから引用はじめ(注:現在は法律案ではなく法律)]
第一七一回
閣第六号
所得税法等の一部を改正する法律案
(所得税法の一部改正)
(略)
附則
(税制の抜本的な改革に係る措置)
第百四条 政府は、基礎年金の国庫負担割合の二分の一への引上げのための財源措置並びに年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する費用の見通しを踏まえつつ、平成二十年度を含む三年以内の景気回復に向けた集中的な取組により経済状況を好転させることを前提として、遅滞なく、かつ、段階的に消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、平成二十三年度までに必要な法制上の措置を講ずるものとする。この場合において、当該改革は、二千十年代(平成二十二年から平成三十一年までの期間をいう。)の半ばまでに持続可能な財政構造を確立することを旨とするものとする。
2 前項の改革を具体的に実施するための施行期日等を法制上定めるに当たっては、景気回復過程の状況、国際経済の動向等を見極め、予期せざる経済変動にも柔軟に対応できる仕組みとするものとし、当該改革は、不断に行政改革を推進すること及び歳出の無駄の排除を徹底することに一段と注力して行われるものとする。
3 第一項の措置は、次に定める基本的方向性により検討を加え、その結果に基づいて講じられるものとする。
一 個人所得課税については、格差の是正及び所得再分配機能の回復の観点から、各種控除及び税率構造を見直し、最高税率及び給与所得控除の上限の調整等により高所得者の税負担を引き上げるとともに、給付付き税額控除(給付と税額控除を適切に組み合わせて行う仕組みその他これに準ずるものをいう。)の検討を含む歳出面も合わせた総合的な取組の中で子育て等に配慮して中低所得者世帯の負担の軽減を検討すること並びに金融所得課税の一体化を更に推進すること。
二 法人課税については、国際的整合性の確保及び国際競争力の強化の観点から、社会保険料を含む企業の実質的な負担に留意しつつ、課税ベース(課税標準とされるべきものの範囲をいう。第五号において同じ。)の拡大とともに、法人の実効税率の引下げを検討すること。
三 消費課税については、その負担が確実に国民に還元されることを明らかにする観点から、消費税の全額が制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する費用に充てられることが予算及び決算において明確化されることを前提に、消費税の税率を検討すること。その際、歳出面も合わせた視点に立って複数税率の検討等の総合的な取組を行うことにより低所得者への配慮について検討すること。
四 自動車関係諸税については、簡素化を図るとともに、厳しい財政事情、環境に与える影響等を踏まえつつ、税制の在り方及び暫定税率(租税特別措置法及び地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)附則に基づく特例による税率をいう。)を含む税率の在り方を総合的に見直し、負担の軽減を検討すること。
五 資産課税については、格差の固定化の防止、老後における扶養の社会化の進展への対処等の観点から、相続税の課税ベース、税率構造等を見直し、負担の適正化を検討すること。
六 納税者番号制度の導入の準備を含め、納税者の利便の向上及び課税の適正化を図ること。
七 地方税制については、地方分権の推進及び国と地方を通じた社会保障制度の安定財源の確保の観点から、地方消費税の充実を検討するとともに、地方法人課税の在り方を見直すことにより、税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系の構築を進めること。
八 低炭素化を促進する観点から、税制全体のグリーン化(環境への負荷の低減に資するための見直しをいう。)を推進すること。
[引用おわり]
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