宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

税と社会保障の“分離”法案?に自民党ほくそ笑む 

2011年11月08日 18時52分40秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

(正式な議事録は、衆議院ホームページや国立国会図書館ホームページなどでご確認下さい)。

【2011年11月8日(火) 衆院予算委 第3次補正予算(案)の基本的質疑2日目】

 かなり驚きました。

 きょうは自民党から、茂木敏充政調会長(影の官房長官)や野田毅税調会長、棚橋泰文さんなど合計8議員が合計7時間以上の質疑をしました。

 この中で、野田内閣が「税と社会保障の一体改革成案」の法案化の作業で、「消費税増税法案」が2012年1月~3月(第180通常国会前半)に提出するのに対して、社会保障の4政策(年金、医療、介護、子育て)のメニューはその後に提出する政治日程を描いていることが分かりました。野田毅さんの質問に対して、首相は「(消費)税の引き上げ法案をお願いして、その後、社会保障の一体改革法案はパッケージの中から、法案ができ次第、国会に提出する」と答弁しました。

 小宮山洋子・厚生労働大臣は、最低保障年金(満額は月7万円)と、上乗せ分の所得比例年金の創設といった「税と社会保障の一体改革成案」(民主党が党議決定済み)の法案化について、「平成25年度(2013年度)になる」との見通しを示しました。ということは、消費税増税(段階的に10%へ引きあげ)という「料金」を先に提示して、その後から「料理」を提示するというスケジュールになります。私は消費税が目的税化されるとは思っていませんでしたが、てっきり、税と社会保障の一体改革成案が、次の通常国会に関連法案として同時に提出されるものだとばかり思っていました。これには、自民党も多少驚いたようで、1番手の茂木さんが「消費税の引き上げは国際公約か?ではなく、総理のご決意を」と述べ、仮に不成立となった場合は内閣総辞職か衆議院解散するようジャブを浴びせました。そして、4番手の野田毅さんの質問の中で、首相は「先送りできないと言うことは、現在与党の立場にある民主党も、野党の立場にある自民党も共通の認識を持っている」と良い答弁をしましたが、この後、上の答弁が出ました。さらに6番手の棚橋泰文さんが好機と見たようで、畳みかけ、閣議決定のメドや、法案提出について詳しく聞き、古川元久・税と社会保障の一体改革担当大臣がタジタジとなる場面があり、法案が別々に出ることが確実になりました。

   
[画像](左)好機と見て畳みかけた自民党の棚橋泰文さん (右)タジタジとなった古川元久・税と社会保障の一体改革担当大臣=衆議院インターネット審議中継。

 なぜ、私が驚いたかと言うと、社会保障の充実という「料理」がメニュー(法案)として示されていない状態で、消費税増税法案という「料金」だけが示されて、消費税増税法が参議院で可決するとはとうてい思えないからです。

 参議院での法案成立には、民主党(105議席)と国民新党(3議席)に加えて、あと、13議席必要です。みんなの党(11)は震災後の国会では、民自公3党の枠組みから外れ、ほとんど無視された状態となっていて、採決の直前に修正案を単独で提出し、否決されるという定番が続いています。ちょっと賛成は考えられません。たちあがれ日本(3)や新党改革(2)が協力しても、どう考えても、社会保障のメニューが出ない状態で、あえて来年の3月~6月ぐらいのときに、民主党内閣提出の消費増税法案を参議院で賛成に回ろうという政党があるとは思えないのです。

 ところが、一つだけ可能性がある政党があると思います。それは自民党(82)です。自民党が賛成に回れば法案は可決、成立します。つまり、自民党は法案に賛成する代わりに、衆議院解散の確約を取り付けるのではないでしょうか。そもそも、自民党も昨年夏の参院選で「消費税10%に引きあげ」を公約にしていますし、「付則104条」なるものは、麻生自民党政権時代に成立した法律ですから、あまり消費税増税法案に反対し続けるのは世論の納得が得られないし、総選挙の争点にしたくないでしょう。ならば、今年の「辞任3条件」のように、消費税増税法案、特例公債法案、特別会計法改正案(東日本大震災復興特別会計新設)などの法案を参院で可決・成立した上で、衆議院解散という道筋しかないでしょう。自民党は、月曜日の本会議での西村康稔・影の財務相の質問からこのスケジュールを引き出せて、好感触を得ているように感じ取れます。野田佳彦さんも、よくこの状況で総理を引き受けたものです。何とか、法案を成立させた上で、解散ということになるんでしょう。イバラの道ですが、進むしかないでしょう。衆院選挙区の定数是正は何とか間に合わせられないものでしょうか。

 ◇

 復興債の償還期間は25年間で、民自公3党が合意しました。


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