[写真]衆・決算行政監視委員長の新藤義孝さんと参・決算委員長の山本順三さんの2人の自民党議員。背景の自民党本部写真は筆者が撮影した物。
【衆参とも決算委員長を務める自民党は、決算審査を終えてから解散風を吹かすべきだ】
政府は、会計検査院の意見をつけて、2011年11月22日(火)に、衆議院と参議院に別々に「平成22年度決算(案)」を提出しました。財政法では通常国会冒頭に出すことになっていますが、最近では会計検査院が頑張っていて、秋の臨時国会に提出しています。
衆院決算行政監視委員会は、24日(木)に10分ほど会議を開き、「平成21年度の予備費」の国会での事後承諾を求めるという議案について、安住淳・財務大臣から趣旨説明を聴取しました。予備費とは、 当初予算に通例1兆円盛り込まれていて、その範囲内で災害の復旧工事などで、閣議の決定で歳出することができるお金で、翌年度に国会の事後承諾を受けることになっています。
今後、この予備費の使用調書を審査して、その後に平成21年度の決算(一般会計、特別会計、政府関係機関など)の審査をします。そして、そのまた後に、平成22年度の決算の審査をするのでしょう。
夏休みの宿題が溜まった小学生時代を思い出すのは、私だけではないでしょう。
ちなみに、日本中のほとんどの地方議会はすでに平成22年度の決算審査を終えています。
平成21年度決算(案)は、自民党麻生政権が当初予算を編成し、4月に第1次補正で14兆円増額し、政権交代後の10月に民主党鳩山内閣が第2次補正で歳出の減額などの補正をしたものです。ですから、審査が難しいのは分かっていますが、それとこれとは別です。
衆・決算行政監視委員長は新藤義孝さん(埼玉2区)、参院決算委員長も、自民党で、山本順三さん(愛媛県選出)が務めています。衆参とも決算委員長は自民党なのですから、第46回総選挙での政権交代をめざすうえで、平成21年度決算は当然として、平成22年度決算も府省別の審査や総理への総括質疑をし、議決したうえで、解散を求めるのが当然でしょう。衆参とも平成22年度決算審査が仕上がっていない状態で、選挙をやっても、どちらが勝っても、その政権は上手く行かないでしょう。仮に決算審査が意味のないセレモニーだとしたら、国会など不要です。
[追記 2011年12月7日(水) 午後1時]
補足します。参・決算委員会は3月11日に平成21年度決算(案)の全般質疑をしましたが、これが震災のため、休憩・散会となり、5月から審議を再開しました。その後、省別審査を終えて、12月7日の決算委員会でしめくくり総括質疑となります。一方、衆・決算行政監視委員会は平成21年度決算(案)について、趣旨説明を受けていない段階です。衆参での審査の進捗度に関する認識が私の中で違っていたことに気付きましたので、補足しました。[追記おわり]
決算(案)は他の議案と違い、衆院先議などが該当せず、両議院が別個に審査し、別個に議決(認定、不認定)することができます。
【第179臨時国会は延長せず12月9日(金)で閉会すべきだ】
第179臨時国会は会期末まで残り2週間となりました。第3次補正予算(東日本大震災復興、原子力被害の賠償や研究など、全国自治体の防災対策、年金財源の安定化、台風19号復旧、B型肝炎賠償の基金の新設など)を成立させることができました。また、本来は一体的(同時)に成立させるべき歳入関連5法案(復興債発行、平成23年度税制改正積み残し、地方交付税増額法案、全国防災費のための地方税措置)が参院本会議できょう25日審議入りしました。5法案は衆院段階で3党修正が入り、賛成多数(日本共産党が反対)ないしは全会一致で可決していますので、参院でも過半数を上回り成立する運びです。
東日本大震災復興基本法にもとづく、3点セット、復興債・復興特区・復興庁は、復興債が上述の通り、参院で審議入りし、参・財政金融委員会(尾立源幸委員長=民主党)が審議していて、成立の見通し。復興特区は、衆・復興特別委(古賀一成委員長=民主党)が審議していますが、衆参与野党による修正協議がまとまっており、修正可決のうえ、参院に送られ、おそらく会期内に成立するでしょう。復興庁設置法も衆院本会議で代表質問が済みましたが、閣法の「本部は東京」「他府省に勧告できる」という部分が「本部は仙台」「他府省を上回るスーパー官庁に」という意見がでており、難航しています。
それと、2大政党と7中小政党が話し合っている衆院の定数是正・定数削減・選挙制度改革の3点を協議する会合(座長は民主党幹事長代行の樽床伸二・衆院議員)がもめています。ただ、内閣府にある「衆院選挙区区割り画定審議会(村松岐夫会長ら7委員)」の設置法にある「1人1枠方式」を定めた条文では、民主党の樽床座長と自民党の細田博之さんの間で削除することが合意できていますので、議員立法で今国会中に改正区割り審設置法が衆参で過半数以上で可決します。しかし、民主党参院議員会長と民主党幹事長を兼ねる輿石東さんが、慎重な姿勢をもっています。定数削減と選挙制度改革は来年に持ち越しになるでしょうが、定数是正に関しては、今年中でないと、来年2月25日の総理への新区割りの勧告に間に合わないでしょう。ぜひ今国会中に成立させるべきです。なお、新区割りの勧告の後、衆参で公職選挙法改正案が成立させる作業が必要です。しかし、区割り審の村松会長が総理の野田さんに勧告した時点で、第46回衆院選の区割りは分かるので、改正公職選挙法が成立すれば、周知期間をおかずに、すぐに総理が解散しても合憲合法だという学説や解釈が有力です。さらにいえば、現在第1党の民主党にとっては、抜き打ち的に解散した方が有利である可能性が高いと考えられます。
このように様々な神経戦が行われている大震災イヤー納めの第179臨時国会です。今週辺りでは、野田総理や、安住財務大臣の答弁は安定しています。しかし、川端達夫大臣などはかなり答弁がキツイ状態になっています。おそらく文科大臣のときは、文部科学省という一つの役所でしたが、現在は、総務省と内閣府地域主権本部、内閣府北方対策本部、内閣府沖縄振興局を兼ねているので、優れた組織人である川端さんには、かえって手の抜き所や大づかみな議論が分からなくなっているのかもしれません。このほか、自民党議員が「質問通告しましたよ」としながら、民主党大臣が「質問通告は受けていないと思いますが・・・」と口ごもる場面がより増えてきました。
私は第179臨時国会は当初会期通り12月9日(金)で閉会すべきだと考えます。そのうえで、衆参決算委員会は閉会中審査で決算審査をすべきでしょう。いずれにしろ、大臣は土日も閉会中も東京にいなくちゃいけないので、予算編成・税制改正に余り関係ない大臣、例えば、人件費が中心の法務省や外務省の大臣を衆参で午前と午後のたすき掛けで呼んで、ドンドン府省別審査を進めればいいでしょう。
【野田首相が4次補正を組まない可能性に言及、できれば時間の余裕ある年始に】
また、野田佳彦首相がきょうの参院本会議で、二重ローン軽減法(片山さつき法)などの追加財政需要を予備費で対応し、今年度はもう補正予算を組まない可能性に言及しました。その方が、年越し後、じっくり準備してから、第180通常国会にのぞむことができます。私はその方が賛成です。
解散風が吹くとどうしても、あわてふためく人がいますが、こういうときこそ、君子は本を務む、本立ちて道生ず。しかっり決算を審査して、たっぷり時間をとって来年の計をはかる。二大政党どちらが勝とうと、しっかり日本を立て直すには、それしかありません。
[お知らせ①]
今後の政治日程 by 下町の太陽・宮崎信行
(有料ブログ)
http://regimag.jp/b/sample/list/?blog=65
こちらのブログは有料ブログで、月840円(税込み)となります。初月度無料ということで試し読みできます。いつでも気軽にご登録ください。
これまでのクレジット払いに加えて、「ポイント」を、コンビニ払いや銀行振り込みで購入して頂き、そのポイントを今後の政治日程 by 下町の太陽・宮崎信行の購読に充てていただくことができます。ですから、個人だけでなく、法人として購読していただくこともできます。
「今後の政治日程 by 下町の太陽・宮崎信行」の購読のしかたは、下のアドレスでご確認ください。
http://regimag.jp/navigation/buy
-----------------------------------------
[お知らせ②]
確かな取材、情報源に近づけるために、「国会傍聴取材支援基金」にご協力いただきたく存じます。
アクセス数を稼ぐための「あおり」のない本質にせまった国会傍聴記、政治の実態をブログでお伝えしていきます。
詳細は、次のリンク先(http://blog.goo.ne.jp/kokkai-blog/e/e8879dfc5196cbd00d79ece544842407)でお読みいただけます。
「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い
どうぞご協力ください。