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宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。

衆参新時代の幕開け 両院合同協議会が衆議院第5委員室で開催 ネットも共通

2011年11月05日 23時08分17秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

[画像]両院合同協議会会長になった小平忠正・衆院議運委員長、左は衆議院インターネット審議中継、右は参議院インターネット審議中継、2011年11月2日、衆議院第5委員室から。

【2011年11月2日(水)東京電力福島原子力発電所事故に係る両議院の議院運営委員会の合同協議会】

 さあいよいよ、「衆参新時代」の幕開けです。

 第178臨時国会で唯一成立した法案である「東京電力福島原子力発電所の事故調査委員会法」(衆・議運委員長提出の議員立法、原案は自民党の塩崎恭久さん提出)に基づき、憲法にもとづく国政調査権を発動する「両院合同協議会」が2011年11月2日(水)に発足しました。

 会議は、衆議院の第5委員室を使って行われました。このもようは、備え付けのインターネット中継装置を使い、衆議院インターネット審議中継で生放送されたほか、参議院インターネット審議中継でも、おそらく同じ素材を生放送しました。

 これまで、衆参不一致があった場合に設置される「両院協議会」は、国会議事堂中央部3階にある、「常任委員長室」で開かれていました。しかし、今回は衆参の合同会議でありながら、衆院の委員室で初回会合を開き、会長には衆・議運委員長の民主党の小平忠正さん、会長代理には参・議運委員長の自民党の鶴保庸介さんが選ばれました。両院協議会は議長は衆参のくじ引きです。が、ここでは、委員の動議により、無投票の全会一致で決まりました。

 これに先立ち、11月1日(火)の衆院本会議の冒頭、「委員数は衆院、参院とも15人ずつとする。割り当てのない会派からはそれ以外の委員の追加も認める」なとどした「両院合同協議会規定(案)」が全会一致で可決されました。11月2日(水)の参院本会議の冒頭でも全会一致で可決、成立。その日のうちの、スピーディーな初会議となりました。

 ちなみに、1日の衆本も、2日の参本も代表質問があったのでNHKの中継が入っていたと思いますが、おそらく規程(案)に関する審議の部分は、アナウンサーの声をかぶせて伝わらないようにしていたでしょう。時間的に、すでに放送は始まっていたはずですから、わざわざアナウンサーの声をかぶせることはなく、NHKも中継してほしいものです。

 それは、さておき。委員数が、衆参とも15人ずつ30人となったのは、良かったです。というのは、当初の塩崎法案では「30人」だったのが、第178臨時国会の与野党修正協議により成立した法律では「20人」になってしまいガックリ。しかし、「規程(案)」の修正協議で、再度「30人」が復活しました。

 私が、30人にこだわった理由はエントリー(http://blog.goo.ne.jp/kokkai-blog/e/2e28bce70400f715fd2f7d907c7cf950)に縷々書いておりますのでご笑覧ください。

 「両院合同協議会は30人にすべきだ!」というのは、小生の高邁な理想・・・とはまったく違って極めてテクニカルな理由。

 30議員となってくると、国会議事堂中央部3階の「常任委員長室」が使えないので、衆議院、参議院どちらかの部屋を使わなければならなくなる。

 ということで、衆院で規程が可決し、参院に送られた日に、参議院事務局に問い合わせてみました。私が「30議員となると、机などの模様替えをしても、常任委員長室は使えないのではないか?」とたずねると、「そうですね。たしかに狭いですね」とのていねいな返答。その後、「衆院第5委員室を使う」という情報をキャッチしたので、衆院事務局に問い合わせたところ、「衆・内閣委員会などが時折使っている衆・第3委員室が、他の委員会などで使えないときにたまに使う委員室が第5委員室だ」とのことで、「インターネットの中継設備はある」との回答でした。

 ところで、参院本会議の代表質問を傍聴していても、民主党・新緑風会はまったく元気がないですね。どうしたんでしょうか。自民党議員の質問中も、同僚・民主党議員の質問中も、下を向いてうなだれているだけ、首相(民主党議員)が登壇するときだけ拍手して、自民党から「拍手だけかよ!」と野次られていました。ただ、本会議の最後には、一般傍聴者が私を含めて2人だけでした。一方、午後の衆本は、後援会の国会見学ツアーも含めて、おそらく50人~100人前後(あまり周りを気にしていないのでよく分からない)の一般傍聴者が常時いる状態でしたから、多少はちゃんとしていたようでした。自民党もようやく出席率が高くなってきました。やはり傍聴者が多いと、国会議員はちゃんとします。ネットで傍聴した人も、その旨、議員事務所に伝えたらどうでしょうか。

 私の30議員か20議員かのこだわりをくだらないと感じた読者もいらっしゃるでしょう。しかし、議会制度の歴史をみると、議会(国会)というのは、こういうささいな形式的なことからルールができ、現在のシステムにつながっているケースが多々あります。「福島両院合同協議会」が今後どうなっていくか分かりませんが、見守りたいところです。とにもかくにも、二院制は今のままではダメです。プロセスが複雑であるということは、それ自体がデモクラシーの敵です。

 こういった細かい運用から、衆参の交流を良くしてほしい。衆参の議席のねじれはしかたありませんが、衆参の審議のねじれは解消すべきです。内閣支持率よりも、国会支持率が問われています。

 ◇

 この衆参新時代の幕開けを見届けたかのように、2011年11月5日(土)未明、西岡武夫・参議院議長が亡くなりました。衷心よりご冥福をお祈りいたします。旧新進党勢の三権の長でした。

 7日(月)も参院では東日本大震災復興特別委員会がありますし、衆院では、第3次補正予算(案)の実質審議入りを前に、本会議で財源確保法案など3次補正予算関連法案の趣旨説明と代表質問が行われることになりました。これらをセットで煮崩れなく衆参を通さなければなりません。残念ながら、予算パッケージの成立はAPEC後の11月16日(水)以降にずれ込むことが確実になりました。速やかな後任議長の選出を希望します。

 ◇

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凌雲会、来年解散総選挙への準備を指示 「6月」念頭か?

2011年11月05日 06時48分57秒 | 第46回衆院選(2012年12月)大惨敗

[写真]凌雲会幹部の仙谷由人会長、前原誠司さん、枝野幸男さん

 「凌雲会(りょううんかい)」(仙谷由人代表者・枝野幸男会計責任者=その他政治団体、収支報告書はコチラ)が2011年10月28日(金)と29日(土)に、軽井沢プリンスホテルで開いた合宿で、中堅・若手の衆院議員に来年(2012年)の第46回衆院議員総選挙に向けて準備するよう指示していたことが、分かりました。

 複数の出席者が明かしました。第46回衆院選の任期は再来年(2013年)8月30日までで、任期満了直前に解散すれば、2013年10月上旬まで引き延ばすことも可能です。当初予想された再来年7月の衆参ダブル選挙よりも1年ほど前倒しになる公算が高まっています。

 凌雲会は、新聞では「前原グループ」「前原誠司政調会長G」などと表記されています。

 凌雲会の合宿は政権交代後、初めてだけに、同会が首相(代表)候補の御輿にかつぐ前原さんの「来年9月の代表選挙」に向けてのコアメンバーの結束固めと思って参加した出席者は、あいさつする仙谷会長のガラス窓の後ろに映える紅葉をみて、「後でみんなで散策して結束固めをしたいな」と思ったそうです。

 
[写真]軽井沢プリンスホテルのホームページから。

 初日は金曜日でしたので、出席者は各々の持ち場での国会日程を終えて、五月雨式に到着しました。仙谷会長はマイクを片手に選挙のやり方や日常活動のやり方について、個別指導を開始。前原政調会長が到着しない状況での熱血指導に出席者は何か違うものを感じました。

 そして、参加者がほぼそろった懇親会の中締めに元環境副大臣の田島一成さんが立ちました。田島さんは、逆風の郵政選挙で滋賀2区で2度目の当選をした経験があります。

 ここで、田島さんは、「来年の選挙ガンバロー」と呼びかけ、もはや散策どころではない雰囲気になりました。

[写真]仙谷由人さんに続き、田島一成さんが「来年の選挙、ガンバロー!!」と中締め。

 これは「平成24年度の特例公債法案」を民自公3党の合意で、衆院、そして参院で通してもらう見返りに、解散の1年前倒しに応じざるを得ないとの認識にもとづくものだと考えられます。

 ただし、凌雲会合宿では、来年の何月に解散し、総選挙になるのかの、具体的な明示はありませんでした。

 複数の出席者が自身の政局感も交えて話すところでは、「(予算審議中の)1月から3月まではゼッタイにない(だろう)」としています。そして、「平成24年度の特例公債法案の成立前の解散もないだろう」との見通しは一致しています。5月上旬の大型連休の前に、民自公3党合意となると、「談合色」が強くなり、みんなの党などが議席をのばす可能性があり、大型連休前もないと思われます。大型連休後の5月ですが、ここも「社会保障と税の一体改革法案(消費税増税法案)」の審議がありそうな気配ですから、公明党が「成立前の解散」を要求していることから、参院での可決が難しい情勢になり、解散になる可能性が高くなります。

 ですから、「選挙は6月」を軸として、「早くて5月連休明け解散」~「6月総選挙」~「どんなにずれ込んでも10月総選挙」ということになりそうです。

 これについては、岡田系も9月頃から、選挙準備を急ぐよう指示。くしくも凌雲会合宿があった10月29日(土)には四日市市で民主党の比例東海ブロック単独35位で当選した1回生・金森正さん(74歳)が国政報告会を開き、盛況だったそうです。


[写真]金森正・衆院議員

 金森さんは国会では1回生ですが、四日市市議4期、三重県議4期の豊かな実績を持ち、議員はいったん引退していましたが、第45回衆院選には岡田克也幹事長(当時)の要望で、比例名簿に登載されました。金森さんは連合系ですので、四日市を選挙区とする三重2区の中川正春・文部科学大臣や、三重3区の岡田克也さんとは違った支持層を持っていると思われます。このほか、岡田筋が9月、代表選で野田佳彦さんが言及した直木賞作家について「最近読んだら面白い小説があった」と紹介してくれたので読んでみたら、エンディングは「衆議院解散」でした。

 ですから次の第180通常国会中に解散ということで、あっという間にその時期は来るでしょう。とはいえ、まだまだ先行きは不透明です。気になるのは、平成24年度の特例公債法案は衆参で通してくれるでしょうが、社会保障と税の一体改革法案がどうなるのか。これは参院を通らない可能性があり、そこで衆院解散という「郵政解散方式(郵政民営化法案は衆院では可決、参院では否決→衆院が解散)」になる可能性もあります。

 また、できれば新区割りで第46回衆院選をやってほしいという気持ちはやまやまですが、仮に今の区割りでやっても、「衆議院解散」「第46回総選挙を公示」と日本国憲法第7条に基づく天皇の国事行為が2つなされる総選挙を、最高裁が「無効→やり直し」まで命じることはおそらく「統治行為論」からしてできないだろうと、私は判断しています。もちろん定数是正による新区割り、定数削減は今すぐすべきです。ただ、新選挙制度は第47回衆院選以降に先送りになるでしょう。

 TPPがどうしたこうしたなどと、1年生議員が言っている場合じゃありません。解散になれば、その瞬間に東京駅や羽田空港に走り出し、連絡しなくても、地元の秘書・スタッフがハンドマイクを持って、地元駅や空港で待っている。降り立つや、ハンドマイクを持ち、「解散したのでよろしく頼みます」と演説する。もちろん、選挙区が広大で、組織の力がないと選挙で勝つ前に、選挙運動が展開できないような「地方部」の選挙区は、解散当日と翌日に各種団体の東京本部をあいさつして、少し掃除して、地元に戻る場合もあります。

 とにもかくにも、TPPがどうしたこうしたなどと言う前に、2回生にならなきゃどうにもならないですよ!

 停滞気味だった日本政治ですが、来年6月(頃?)総選挙に向けて一気に動き出しました。

 民主党にしろ、自民党にしろ、公明党にしろ、地滑り的勝利はなしの、本物を選ぶ選挙にしましょう。常在戦場。第46回衆院選は事実上すでにスタートしています。

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