ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

◎第180通常国会が閉幕 229日間の長丁場

2012年09月07日 13時20分33秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[画像]閉幕挨拶をする横路孝弘・衆議院議長、2012年9月7日、衆議院インターネット審議中継

 2012年(平成24年)1月24日(火)から9月8日(土)までの229日間に及んだ長丁場の第180回国会(第180常会)が閉幕しました。

 社会保障と税の一体改革関連法が成立した、「一体改革国会」「消費税増税国会」と呼ばれることになるでしょう。民主党分裂と衆院第3会派「国民の生活が第一」が結党されるなど、院の構成が変化し、会期独立主義に問題を残した国会となりましたが、2007年の通常国会以来5年ぶりに、内閣総辞職も衆議院解散もない落ち着いた国会となりました。

 衆法成立本数、参法提出本数が多く、閣法の議員修正も活発になるなど、未来への扉が大きく開いた国会となりました。

 衆院本会議は、同日参院を通過したばかりの「参院の4増4減による定数是正のための公職選挙法改正案」(180参法36号)を議院運営委員会理事会の付託を省略して、本会議で衆院政治倫理の確立および公職選挙法改正に関する特別委員会での閉会中審査案件にしました。

 法務行政や厚労行政に関して、355請願を採択しました。

 昨年の通常国会の閉幕あいさつで、第177回国会を震災国会と名付けた横路孝弘議長でしたが、第180回国会の閉幕にあたっては「今国会は1月24日の召集以来、229日間の長期間に及びました。諸君におかれましては、ご自愛のうえいっそうご活躍くださいますよう祈念いたします」という短いあいさつで終わりました。度重なる院の構成の変化に思うところがあったのかもしれません。

 第181臨時国会は二大政党党首選が今月下旬に終了して以降に召集されることになります。特例公債法案(廃案)の出し直しと公明党が水ぶくれ予算と批判する今年度予算のメリハリのある見直しがポイントとなりそうです。第45期衆議院・第21期第22期参議院としては、秋の臨時国会と次の通常国会が解散含みとなりますので、対決法案と全会一致法案をていねいに陣立てしてよく理解したうえでの次の国会がのぞまれます。

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平田健二・参議院議長が第180通常国会閉幕のあいさつで「定数是正を衆院に送付」に安堵

2012年09月07日 12時38分29秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[画像]閉幕あいさつをする平田健二・参議院議長、2012年9月7日、参議院インターネット審議中継から。

 平田健二・参議院議長が第180回通常国会閉幕のあいさつをしました。

 平田さんは「今国会は時として会派構成が変わる中で、社会保障と税の一体改革関連法案など活発な議論がされました」とし、民主党分裂・国民の生活が第一結党による院の構成の変化に苦言を呈しながらも、今国会の重大案件は一体改革だったとの認識を示しました。

 そして「定数是正についても本日、衆議院に送付することができました」と語り、前任者の西岡武夫議長が求めた11ブロックによる抜本改革にはほど遠いとはいえ、来年7月の第23回参院選に向けて、違憲状態の解消を参院で可決し、衆院に送付したことで最低限の仕事を果たせたとの安堵感をみせました。

 「さる7月に本院が主催し、こども国会を開催しました。報告書は近く、みなさまのお手元にお届けする予定です。議長として本院がこれからも未来を担う子どもたちのこのような機会を与えることを期待します」と語りました。

 そのうえで「内外の情勢が多難な折、議員各位におかれましては、これからもなお一層ご活躍されることを願ってやみません」としめくくりました。

 参議院議長が通常国会閉幕にあたりあいさつできたのは、2年連続。第174回通常国会では、政治とカネの問題で国民の信頼を失った鳩山由紀夫首相・小沢一郎与党幹事長の総辞職から会期末まで14日間しかなく、予想外の複数立候補による民主党代表選で菅直人首相が選ばれた混乱から、会期末処理ができず、全法案廃案、全請願不採択という大失態をおかして、参院選に突入し、大惨敗、衆参ねじれとなる取り返しのつかない事態となりました。

 その状態から、何とか態勢を立て直して、2年連続で議長があいさつできる状態となりました。平田さんは民社協会2人目の三権の長ですが、政治キャリアが短いため、議長席で時折、言いよどむこともありますが、無事これ名馬、初めての通常国会を見事やり終えました。

 財政運営のために必要な特例公債法案は廃案となったので、秋の臨時国会では、衆院先議で新しい法案が出てくるものと思われます。

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衆・倫選特別委員長の解任動議が提出 大荒れの会期末処理

2012年09月07日 12時27分25秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[画像]会期末に委員長解任動議を趣旨説明する衆議院政治倫理の確立および公職選挙法改正特別委員会、2012年9月7日、衆議院インターネット審議中継から。

 各委員会で会期末処理が行われました。

【特例公債法案、防衛省設置法改正案、総合こども園法案は審議未了で廃案に】

  ただし、衆議院社会保障と税の一体改革に関する特別委員会は開かれませんでしたので、総合こども園法案(180閣法76号)は審議未了で廃案になりました。参院の特別委員会では「消費増税反対」の請願が実に749件寄せられましたが、採択は保留して散会しました。

 また、参・財政金融委員会は「財政運営に必要な特例公債法案」(180閣法2号内閣修正衆院可決)を議題としませんでした。参・議院運営委員会が付託していないものとみられ、廃案になる見通しです。政府は第181回・秋の臨時国会の冒頭にも再度法案を出し直す必要が出てきました。ただし、公明党が「水ぶくれ予算の見直しと含めて出し直す責任は政府・民主党にある」という趣旨の発言を代表や国対委員長がしていますので、閉会中に政府の知恵や公明党とのパイプが太い新進党勢が官邸を占める野田政権の水面下での工作が期待されます。

 参院・政治倫理の確立および選挙制度改革に関する特別委員会は、衆院定数是正法案(180衆法22号、樽床伸二さんら提出)を議題とせず、審議未了・廃案となりました。秋の臨時国会の召集を待たずして超党派で合意した法案の提出と成立が衆参与野党の全議員の義務です。

 衆院安全保障委員会は、第174回国会で自民党が提出した3つの衆法を継続審査としました。しかし、今国会で防衛省の唯一の国会提出法案だった「防衛省設置法改正案」(180閣法29号)は議題とならず、審議未了廃案となりました。この法案は、昨年の通常国会で衆院可決・参院で審議未了廃案となったものを出し直したものですが、防衛官僚が国際会議で発言しやすいよう防衛政策局長の上に「防衛審議官」というポストを新設したり、防衛医科大学に看護学科を新設したりするという法案。別に防衛政策局長の肩書きで国際会議に出たり、他の学校を出た看護師を自衛隊が採用すれば事足りるわけで、自民党からも必要ないとの声があり、廃案となりました。もう出ることはないと思います。防衛省国会連絡室は、夏休みをとりやすかったかもしれません。

【衆院内閣委員会では内閣提出だけでも12議案が継続審査の渋滞続く】

 現在もっとも長くたなざらしになっている第174回通常国会提出の独禁法改正案(174閣法49号)は、衆院経産委で、民主党・自民党などの起立多数で閉会中審査(継続審議)となりました。174回国会で参院で可決寸前まで行きながら鳩山内閣総辞職など会期末の混乱で廃案となり、出し直された「地球温暖化対策基本法案」(176閣法5号)も民主党などの賛成多数で衆院環境委員会で閉会中審査となりました。が、野党・民主党が参院に出した福山・岡田法案の前提が「3・11」で大きく崩れましたので、引き続き練り直しを求められます。

 衆院内閣委員会では、閣法だけで11法案1議案の合計12本が継続審査となり、渋滞ぶりが際立ちました。枝野幸男・行政刷新相が力を入れていた「裁判官のインカメラ審査を可能とする情報公開法改正案(177閣法60号)」、中川正春国務大臣により衆院委員会での質疑答弁までこぎ着けた「労働協約権を付与する国家公務員制度改革4法案と1承認案件」(177閣法など)、マイナンバー2法案、独立行政法人通則法2法案などが民主党と公明党などの賛成多数で閉会中審査となりました。

 衆院厚生労働委員会は請願896件のうち、腎疾患に関する167件、難病・小児医療に関する131件、精神疾患の地域医療に関する10件の3類型の請願を内閣に送付することを全会一致で可決しました。そのうえで、「消えた年金の回復を受けた国民年金法の一部を改正する法案」 (179閣法15号)、「労働安全衛生法の一部を改正する法案」(179閣法16号)、「年金交付国債を外し年金特例公債に付け替える国民年金法改正案」(180閣法26号内閣修正)、3党合意に基づき社会保障と税の一体改革法を補う「年金生活者支援給付金法案」(180閣法83号)は起立多数で閉会中審査(継続審議)としました。

 そのうえで、前日に付託されたばかりの長妻昭さんら提出の「医薬品行政評価・監視委員会設置法案」(180衆法35号)は、採決の結果、起立が民主党ら22人。池田元久委員長は念のため反対者を起立させたところ、自民党ら22人。可否同数のため、国会法50条にもとづき委員長が判断し、可決、継続審査としました。

【衆院倫選特では委員長解任動議、衆院国交委・内閣委は自民党欠席】

 衆議院政治倫理の確立および公職選挙法改正特別委員会では冒頭、自民党の西野陽さんらから「赤松広隆委員長解任動議」が提出されました。そのため与党側筆頭理事の加藤公一さんが委員長代理を務め、西野陽さんが趣旨説明し、民主党の柿沼正明さんが反対討論、自民党の阿部俊子さんが反対討論、公明党の富田茂之さん、共産党の佐々木憲昭さんらも反対討論。そのうえで採決し、解任動議は否決されました。赤松委員長が席に戻ってから、自民党や公明党が提出した定数是正法案、政治資金規正法強化法案、政党助成法改正案などの各種議員立法が継続審査となりました。

 衆院国交委や衆院内閣委などで自民党が欠席しました。

【参院決算委は無念の平成22年度決算継続審査も、委員長と理事が衆院決算行政監視委に申し入れ】

 参院決算委員会では、山本順三委員長が、中川雅治、今野東両理事とともに、衆院決算行政監視委員会を訪れ、衆院先議の各年度の予備費使用調書(半年ごとにその1、その2)をもっと早く送るよう申し入れたことが紹介された後に、平成22年度決算を継続審査としました。

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かけこみで命にかかわる2法が成立 参院本会議

2012年09月07日 11時49分13秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

 命に関わる2法案がかけこみで成立しました。

 参議院厚生労働委員会(小林正夫委員長)は2012年9月7日(金)の午前9時から開会。

 「改正薬害肝炎(特定フィブリノゲン製剤と第9因子血液凝固製剤)被害者救援金の特別措置法」(180衆法34号)
 「母子家庭の母、父子家庭の父の就業支援に関する特別措置法」(180衆法38号)

 の2本が、審議入り。提出者の池田元久・衆院厚生労働委員長が趣旨説明し、質疑、討論は省略の上採決し、ともに全会一致で可決しました。

 午前11時半からの参院本会議で成立しました。賛成238、反対0の全会一致。

 このほか、参院選挙区定数を4増4減する公職選挙法の一部を改正する法案(180参法36号、一川保夫・溝手顕正民自幹事長ら提出)が賛成202、反対36で可決し、衆院に送られました。

  野田問責後国会では、9月6日の衆院本会議で「移植にもちいる造血幹細胞の適切な提供の推進法」(180参法35号)も成立しています。

 これについて、7日付公明新聞は1面トップで伝え、2つのNPO法人の理事長の声を紹介。一人は「公明党をはじめ、法律成立に尽力していただいた各党の方々には大変感謝しています」。もう1人は「率直に言って私には、これまで活動に際して政治家に頼るという発想はありませんでした」とし、先に掲載された理事長からの紹介を受けて、「公明党のみなさんと触れ合う中で、一人の市民の声に耳を傾け、党を挙げて取り組む姿勢を目の当たりにしました。公明党の中に真の政治家の姿を見た思いです」と感謝のコメントを寄せました。公明新聞は昨年7月に、松あきら副代表や今回提出者となった渡辺孝男さんら7議員が臍帯血の保存設備を東京都赤十字血液センターを訪れた写真を載せました。


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第180国会は「議員立法国会」衆法成立は55年体制以降最多の24本、参法36本提出は参議院発足後最多

2012年09月07日 07時02分19秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[画像]衆法提出者として参院本会議に登壇した民主党の長妻昭・衆院議員、2012年7月11日、参議院インターネット審議中継から。

 歴史に残る国会となりました。

 第180回通常国会は、衆法の成立本数が24本(7日参本で可決・成立する改正薬害肝炎被害者救済金特措法と母子家庭の母父子家庭の父の就労支援法の2法入れる)となり、55年体制以降最多となりました。また、参法の新規提出本数は36本で、憲政史上(参議院発足以来)最多となりました。

 今国会での新規提出法案は

 閣法(内閣提出法案)が新規提出83本中51本で成立率61%。

 衆法(衆院提出法案)が新規提出38本中24本で成立率63%。


 参法(参院提出法案)が新規提出36本中 5本で成立率13%。

 このうち、衆法の成立本数24本は、第22回特別国会(1955年3月18日から7月30日)の35本以来、久しぶりの20本台となり、55年体制(自民党衆参1党支配)1993年体制(連立内閣時代)を通じて最も多い本数。成立率も1本提出1本成立の場合もありますが、57%は極めて高い水準。

 参法の提出は36本で、参議院発足以来最多。もともと閣法としてできた法律を、参議院農林水産委員長、厚生労働委員長、文教科学委員長、経済産業委員長らの起草で全会一致で通すケースが多くみられました。

 参法の成立件数も、55年体制が発足した第24回通常国会での13本中7本成立、小渕連立内閣の第145回通常国会の22本中5本成立となっており、平成元年からずっと続く参院で第一会派が過半数を得ない状態での最多タイ記録となりました。

 衆院委員長も同様で、農水、厚労、環境各省などは、手間がかかる閣法よりも、必要な修正部分を国会議員に根回しして提出してもらっているような気配を感じました。参法が増えた背景には、衆参ねじれにより予算成立後の序盤に衆院委員会で法案が渋滞しているさいちゅうに、参院がバックアップする「働きます国会」が、参院の一部委員会でありました。民主党の小川勝也・参院農林水産委員長、小林正夫・参院厚生労働委員長に加えて、自民党の野上浩太郎・参院文教科学委員長らが良い仕事をしました。やはり政務三役経験者が委員長である傾向があります。衆参ねじれと「余裕がない時代」の国会においては有力な手段となりそうです。ただし、起草から可決まで時間が短いことから、衆参両院のホームページの迅速化・充実を求めます。

 衆法に関しては、3党協議や与野党協議で、閣法などを撤回したうえで、議員立法するケースが目立ちました。郵政見直し法(改正郵政民営化法)や、原子力安全委員会設置法が、3党の実務者が提出者になったり、衆院環境委員長が提出者になったりして、参議院でも答弁したうえで成立しました。

 このほか、閣法を議院修正するケースも激増し、社会保障と税の一体改革関連8法案は衆院段階で修正し、衆法2本を新規追加したうえで、衆院で可決。参院でも成立しました。このため、修正案と原案をあわせて委員会での採決は15回起立を繰り返したことから、委員の10倍になる本会議メンバーが状況を把握できず、大量造反者を出すことにつながってしまいました。このほか、衆議院厚生労働委員会では、筆頭理事の民主党・岡本充功さんが3党合意にもとづく修正案発議者をたびたび務め、「岡本国会」の様相を呈しました。小選挙区導入後初めて首相経験者(海部俊樹元首相)を落選に追い込んで得た第45期衆議院の議席での岡本さんの活躍は、海部さんも喜んでいるのではないでしょうか。沖縄の本土復帰40周年にともない特措法2本を10年延長する法律づくりでは衆参与野党の沖縄選出・担当議員が会議室に集い閣法を修正(野党提出参法は撤回)しました。

 参院先議の閣法では、「改正船員法」で参院修正がかかってから、衆院に送られるなど、衆参とも議員の自由度が高まりました。

 新規提出参法が最多になった背景には、提出のハードルが衆議院より低いことで、みんなの党、公明党がおそらく第46回衆院選マニフェストに盛り込むねらいがある政策を参法として提出したことがかさ上げにつながりました。
 
 これまでの議員立法の主流だった「議員連盟方式」では、通称「音(おと)議連」による、劇場法(劇場、音楽堂等の活性化に関する法律)が参法で、「古典の日に関する法律」が衆法でともに委員長提出で成立。しかし、やはり国会全体が「余裕がない」状態となっており、超党派議員連盟方式による新規立法は冬の時代を迎えそうです。 

 与野党問わず、実力ある衆議院議員が参議院で答弁し、実力ある参議院議員が衆議院で答弁する機会が増えました。一体改革法案では自民党の3期生が重要な修正者になったり、民主党の1期生が参院答弁者になったりしました。こういった両院の垣根が低くなったことが衆参ねじれの解消につながるでしょう。

 二大政党激突時代に、衆議院任期中解散含みとなる3度目の通常国会ですから、閣法成立率の低下はある程度やむを得ませんが、政務三役経験者の増加により議員立法の成立が増え、政権交代をねらう野党が単独で「マニフェスト法案」を提出したことで提出本数が増えたという傾向がみてとれます。このように政権交代ある政治の果実は確実に増えています。

 その一方で、法案提出者・修正案提出者が一部議員に偏る傾向がありました。ハッキリ言えば、能力のない議員が何もできない状況が続いています。そのため、両院とも委員会と本会議の垣根が高くなりそうです。それが、一体改革法案の衆院採決での大量造反につながったのでしょう。国会法では委員会の賛否に限らず、本会議での採決がすべてです。時代の速さに半歩以上遅れだして必死にあがく与野党議員に情けは無用です。私たち有権者はそういう議員を切らなければ、私たちの生活にかかわります。たしかに定数削減は必要ですが、極端なまでに、衆議院・参議院・国立国会図書館の総予算を切り込んでしまうのは問題ありでしょう。

 付け加えると、成立衆法が55年体制以降最多、新規提出参法が参議院発足後最多となったことにふれずに、党首選に明け暮れる既存メディアに猛省を促したいところです。衆参各院の議事課、広報課、法制局は積極的・能動的に、これを記者発表すべきだったでしょう。

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