宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

参議院決算委員会の「準」総括質疑 会期内に平成22年度決算を仕上げるべきだ

2012年09月03日 23時59分59秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

(このエントリーの初投稿日時は2012-09-04 06:11:36)

 参議院決算委員会は2012年9月3日(月)、平成22年度決算の「準総括質疑」をしました。同委員会はすでに同年度決算の省庁別審査を終えており、委員会での総括質疑・採決と、本会議での委員長報告・採決をすれば、平成22年度決算審査を終了し、秋の臨時国会(召集日未定)のおそらく初日に会計検査院から平成23年度決算(震災復旧・復興決算)を受け取る運びとなります。

 「準総括質疑」の「準」という聞き慣れない言葉は、先週の水曜日(8月29日)の本会議で内閣総理大臣野田佳彦君問責決議(180国会決議14号)が可決されたため、総理出席の総括質疑(通例NHK入り)がやりにくい状態のため。しかし、決算委員としては、各党とも会期内に決算審査を終え、秋の臨時国会を迎えたいという意識が共有されています。実際に、問責(案)上程の前に、参院会派「自民党・たちあがれ日本」の決算委員が同会派の脇雅史・国会対策委員長に総括質疑をするために、問責採決を1日ずらすよう直談判し(本会議の委員長報告には総理出席は不要)、「問答無用だ」とはねつけられる事件も起きています。

 この日は正午に開会し、午後6時25分の散会まで、6時間半ぶっ続けで「準」総括質疑が行われ、安住淳・財務大臣、藤村修・官房長官らが答弁しました。

 山本順三委員長(自民党)の指名で、質問に立った、大島九州男さん(民主党)は、「先週の野田首相問責決議可決後にもかかわらず、準総括質疑の開催にこぎつけた山本順三委員長、与野党の筆頭理事、理事に感謝します。これは先例としても大きい。決算の参議院として、会期内に総括質疑にこぎつけたい」と切り出しました。

 初当選以来決算委員を務める、社民党の又市征治さんは「参議院で野田総理問責決議が可決されたもとで、その内閣と質疑をすることに論議はあるところですが、22年度の審査結果を24年度の予算編成に反映させたいという与野党の使命感から本日の準・総括質疑となりました」と語りました。

 きょうの審議では民主党の安井美沙子さんが、政権交代直後に行われてテレビを席巻した平成22年度(予算の)事業仕分けをもとに、農水省の食育事業のキャラクターがAKB48から小林幸子さんにかわった経緯について、同省の高橋博消費・安全局長が「小林さんはボランティア(無償)だ」と答弁する場面がありました。高橋さんは最初の事業仕分けの際、世論が行け行けドンドンになっていたときに、農水省生産局長として、「冒頭、前回の議事の進め方に農水省として抗議があります。文書にまとめましたのでお読み下さい」と事業仕分け人に反論したおそらく最初の官僚で、良くも悪くも官僚らしい人だと感じてます。厚労省復帰が決まった村木厚子・内閣府政策統括官も答弁しました。

 野党の質問では、玄葉光一郎外相、枝野幸男経産相、羽田雄一郎国交相、松原仁国家公安委員長、滝実法相らが答弁し、総理以外は、総括質疑や集中審議のような風景になりました。このなかで、国民の生活が第一のはたともこさんの質疑答弁のなかで、関西電力大飯原子力発電所を再稼働していなくても、関電管内が供給不足にならなかったばかりか、他の電力会社からの応援融通の余力があったことがあきらかになり、枝野経産相が「結果論だ」と答弁する場面がありました。同党の外山斎さんへの答弁で、松原拉致問題相が、宮澤内閣時代の河野談話について見直す可能性があることを示唆しました。

 ところで、問責後に参院決算委員会が開かれたことが新聞やテレビで報じられない。このことを不思議に思う向きは多いでしょう。これは、「民主党代表選vs自民党総裁選」という構図の時に、参議院のニュースの原稿を書いていると、それだけで本社に控える部長やデスクに「暇な奴」「傍流」「次の人事異動の際の転出候補」ということになるのを恐れているということでしょう。政治部長・デスクなんていうのは地方の小作農の次男坊が地域一番高校と早大教育学部あたりを出て「インテリ」を自称しているような輩。それでインテリならインドには1億人いるよ。いき場所がないのですよ。多摩川手前のマンション守るために国をねじまげるのです。話は変わりますが、朝日新聞は9月3日付社説で「政務調査費―地方議員は襟を正せ」と書いているけど、私は8月8日付ブログで、政務調査費あらため政務活動費のことを書いています。改正地方自治法が参議院で可決・成立してから「襟を正せ」では、遅すぎやしないか。こっちは1人でやっているのだから、朝日にはもっとしっかりしてほしいところです。

 終わりよければすべてよし。

 参議院決算委員会は、秋の臨時国会で平成23年度決算の審査にすぐにとりかかれる環境を今会期末に整えなければならない使命があります。なぜでしょう。それは3・11当日、国会でやっていたのが、同委員会だったからです。


2011年3月11日の参議院決算委員会議事録から抜粋引用はじめ]

(前略)

御説明させていただきます。
 議員から配付されております……
○委員長(鶴保庸介君) ちょっと速記をお止めください。
   〔速記中止〕
○委員長(鶴保庸介君) 速記を起こしてください。
 それでは、暫時ちょっと休憩をさせていただきたいと思います。
   午後二時五十分休憩
   〔休憩後開会に至らなかった〕

[引用終わり]

 この日は、平成21年度決算全般質疑でした。決算(案)の全般質疑とは、予算(案)の基本的質疑に相当します。総理入りでNHK中継される慣例になっています。そのときのNHK映像がこれです。



 一部の出席者が天井を見上げています。

 ところで、このビデオを改めて見て驚いたのは、地震の数十秒ほど前に、野田佳彦財務大臣(当時)が休憩を取りに、委員会室から中座しているんですね。その野田さんが菅内閣の後継になったことはさておき、総理としてののぞんだ予算審議など第1委員(会)室で、5時間以上いっさい席を立たない我慢強さはこのとき体で覚えた与党の重荷を感じているからかもしれません。総理就任1年が経ちました。3・11後、参議院決算委員会もよく頑張っていて、平成22年度決算を仕上げて、秋の臨時国会で会計検査院から平成23年度決算(案)を受け取る直前まで来ています。これで、会期内に総理問責を理由に、総括質疑と本会議採決をしないようでは、問責されるのは参議院の方でしょう。

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