[画像]谷垣禎一法相、2013年4月10日(水)、衆議院法務委員会、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。
菅義偉・内閣官房長官は2013年4月10日(水)午前の記者会見で、中国の上海、浙江省などで流行の兆しがあるとの情報がある新型インフルエンザに対応するため、新型インフルエンザ等対策特別措置法(議案番号は180閣58号、法律番号は平成24年法律31号)の施行を政令で前倒すと発表しました。
この法律は、自民党が昨年の通常国会の4月20日(金)、前田武志国交相・田中直紀防衛相を問責し、本会議場から去った後、連休前国会をボイコット。これにより、連休前国会最終日の4月27日まで採決が遅れました。2013年4月27日の投票結果については、こちらの押しボタン式投票結果を見てください。民主党、公明党、みんなの党が賛成。社共の反対。自民党は欠席です。
衆・内閣委(荒井聰委員長)、参・内閣委(芝博一委員長)はていねいに審議しており、とくに芝委員長は参考人として医者を呼んだり、厚労相としての体験がある新党改革の舛添要一さんに「委員外質疑」を認めたりしました。
が、思惑違いで舛添さんが自民党と一緒に寝てしまい(審議拒否)ました。この法案の原案は「この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する」となっています。仮に参議院自民党の審議拒否がなかったら、公布日、施行日が早かったかも。危機管理とは結果論がすべてです。
第180通常国会で自民党はこのほか、平成24年度特例公債法案に賛成せず(民主党が衆院で強行採決のみ)、自ら提出した0増5減法案の趣旨説明に細田博之さんがあらわれないなど傍若無人の限りをつくしました。しかし、首相官邸の新進党三羽がらす(野田総理、岡田副総理、藤村官房長官)は、非世襲で初官邸だったことと新進党仲間への一分の情から、解散せざるをえない心情に追い込まれました。
【2013年4月10日(水) 衆院法務委員会】
政権再交代で、政治を前に進めるために、2013年4月10日(水)の衆・法務委で谷垣法相が異例の謝罪をしました。
「ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)締結による国内法整備法案(183閣29号)」の趣旨説明の前に「発言」をしました。
谷垣法相は「審議入りの前に一言申し上げます。私は行政府に身を置く者が、立法府のお裁きについて口を出すのは控えるべきだと教育されてきましたが、昨年提出された法案はまったく審議されないまま廃案になったのは、私としても遺憾に思うところです。速やかにご審議の上、可決いただきますようよろしくお願いいたします」。
このように、法務大臣として、第180通常国会(3党合意国会)を「遺憾だ」と述べることによって、第180通常国会の衆参自民党(谷垣総裁)のふるまいを自己批判しました。これは民主党の提案を受け入れた議事進行です。
この議案について、2年前の通常国会を指揮した岡田幹事長は「外務大臣当時も、法務大臣と直接協議をいたしました。法務大臣はいいのですが、法務省の中にもいろいろなご意見があり、あるいは当事者の皆さんの中にも根強い反対、あるいは不安ですね、そういったものがあって、様々なご意見がありました」と語り、法務省内の対立があったと示唆しています。
そして、3党合意のなかでも低所得者対策に不可欠な「マイナンバー(社会保障と税の共通番号)関連4法案」は、衆院内閣委、財務金融委、厚生労働委の連合審査会が開かれます。日本の国会は、閉会中でも、全府省庁に対応した国政調査ができるという世界に誇る「委員会システム」が戦後整備されていますが、連合審査会は手間がかかるため、それほど活用されていません。これもどんどん活用していってほしいところです。
第180回国会は、前田・田中問責の後、参議院は「野田問責」をしますが、これは実は、「3党合意問責」であり、民主党・自民党・公明党が問責されたものです。この経緯に関しては私の一連のエントリーが今もって史実に近いようです。(参考エントリー谷垣さんが落ちた問責落とし穴にちらつく小沢一郎氏の影 やはり可決したのは14号議案だった 参議運議事録)。
この日(2012年8月29日)の議院運営委員会の議事録は公開されていますが、各会派に深い傷を残したようです。参議院自民党国会対策委員長はホームページはいまだに実際に本会議で趣旨弁明されたものとは違う問責決議案を掲示したままです。そして、谷垣さんは自民党総裁から転落し、野田さんは総理から転落しました。それでも3党合意の文書だけは何とか子々孫々につながりました。
谷垣法相の「自己批判」で手打ちといきたいところですが、心残りがあります。
それは、参議院がいまだに2012年8月29日の本会議の議事録を公開していないことです。
参院選前までに、参・議運委が議事録の公開で折り合う。それは会派に限らず、すべての参議院議員に課せられた歴史に対する責任です。
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