ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

維新・みんな「流動」国会の中、民主「労働法の権威の学者が書いた教科書」で攻める

2013年04月08日 16時21分38秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

[画像]質問する民主党の山井和則さん、2013年4月8日、衆議院インターネット審議中継から。

 震災後の不安定な時代ということもあってか、2013年4月8日(月)の衆・予算委の一般質疑では今までにない光景がありました。長妻昭さんとともに民主党年金王子として厚労部門で活躍してきた山井和則さんが、本予算審議でテーマに設定している(1)生活保護の生活扶助基準の3年間で6・5%下げ(2)正社員の解雇の金銭解決の導入ーーの2点について引き続き質問しました。

 山井さんは、まず安倍首相の3月の山井質問と4月の長妻質問のぶれを指摘。「事後型」と「事前型」の違いで答弁が揺らいでいることについて、資料として「これは労働法の権威の学者が書いた教科書だ」として、「解雇の金銭解決」の定義として、そのような違いは存在しない、としました。

 今までの国会だと、「労働法の権威が書いた教科書だ」とすると、たいてい自民党議員から「教科書なんて関係ない」とのヤジが飛んだように思いますが、きょうはインターネットで聞く限り、ヤジがなかったように思えます。この中でも、震災後、政権再交代後の国会の新しい地平を感じました。甘利大臣は「総理はこういう意味で答弁されたのだと推測しています」と苦しいフォロー。

 これだけ自民党の支持率が高いのですから、こうやって、議事録、法律、教科書でがんじがらめにして、言行不一致をいずれついていくしかないでしょう。

 民主党の与党経験を感じさせる場面として、奥野総一郎さんが行政事業レビューの継続についてただしたところ、稲田朋美大臣が「我が政権でも引き継ぐ」「基金の行政事業レビューシートもつくる」としながらも、「各省内の中立性を考慮して、大臣官房長がとりまとめる」と答弁すると、民主党委員全員が吹き出すシーンがありました。奥野さんは「大臣官房といえば、まさに省益の代表者ですよ」と指摘する場面がありました。この辺にも与党経験がある野党を感じました。

 浪人中の与党経験のある民主党前議員でも、厚労政務官をつとめた愛知9区の岡本充功さんは「平成21年に新型インフルエンザが流行した時には」「政権交代直後であり、いきなりの国民の生命の危機に、重い責任を感じました」とホームページで振り返っています。「中国から日本までは、飛行機で数時間の距離です」「あまり水際に力を入れて国民に恐怖を植え付けるより、適切な対応を周知することに力をいれていくような新型インフルエンザ対策を、既に法律にして成立させています」としました。

 予算委に戻ります。30年以上勤務医をして、50代後半で政治に目覚めて立候補した日本維新の会議員。「さきほどの奥野議員の質問にもありましたが」と質疑をはじめ、「審議会政治は官僚の隠れ蓑だ、と書いてある」と指摘し、新藤総務大臣から「その文献が手元にないので、分からない」と応じられる場面がありました。また国会議員でありながら「ちょっと前まで国民だったものの私見として」と謎の前置き。「審議会の有識者は高齢者が多い」と問題点を指摘しました。この議員は以前も安倍首相に「私は昨年12月国会に来て、3ヶ月。総理大臣は激務だと痛感しております。どうぞお体にお気を付けください」と語っていて、多少違和感を感じました。

 日本維新の会、みんなの党の新人が「我が党は今は野党ですが」と前置きして、委員室を沸かせるシーンはたびたびありました。この他に日本維新の会の地方議員出身者が「自民党はもっと女性の都道府県議会議員を増やさないといけませんよ」と閣僚(自民党議員)をたしなめる立ち位置が謎すぎる発言もありました。一般論は賛成ですが、自民党の県議を増やせというのは、あんたは、どの党の誰なんだという感じです。

 みんなの党新人が「私が興味ある分野なので、役所まで審議会の傍聴に行ってきました」とはつらつとしながらも、「審議会で私は発言しませんでした。というのは、私は傍聴者なので」と天井にアタマをぶつけそうな発言もありました。

 日本維新の会の女性新人が合計特殊出生率の各国別グラフを配り、「フランスは上がっています」と分析。選挙で構成が変わると、こういう議論から始めなければならないのかなという感じがしましたが、初の通常国会の一般質疑だからいいのかもしれません。このほか、「従軍慰安婦問題は左翼が煽っている」、「オスプレーは自衛隊も購入すべきだ」といった、これまでにないスッパッとすっきりする発言を聞くことが多い震災後国会となっています。

 いわば、どの党も政策面では流動化しており、私の持論である「政策軸は同じで権力が腐敗したらいつでも交代できる」保守二大政党制が近づいてきたようです。

 選挙で大幅に衆議院の構成が変わった後の初の通常国会は、空転なしで衆議院はフル稼働となっています。が、自民党新人や参議院議員は出番が少ないので、この後、参院選や秋の臨時国会にかけて、うっぷん晴らしをしてしまい、つまずきそうな気配を感じます。

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