ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

第184臨時国会は2013年8月2日(金)召集、参議院議長選出 会期は7日(水)までの6日間

2013年07月22日 19時42分33秒 | 第184臨時国会(2013年8月)黄金の3年間

[写真]国会正門のやや参議院寄り。

 第23回参院選の勝利を受けて、自民党の安倍総裁と公明党の山口代表が党首会談で連立政権の継続を確認。

 第184回国会(第184臨時会)を、2013年(平成25年)8月2日(金)に召集することを決めました。

 会期は6日間で、8月7日(水)まで。衆院本会議定例日の火曜日である8月6日(火)の広島平和記念式典に伊吹衆院議長らが出席するため、同日の衆院本会議はないとみられ、一般法案の審議はないとみれらます。

 臨時国会の召集詔書は前日でもかまいませんが、慣例として7日前まで。おそらく26日(金)の閣議で決定し、菅官房長官が衆参の議院運営委員会理事会に陪席して伝達する見通し。

 8月2日(金)の参議院本会議は午前10時から開かれ、新議長、新副議長が選出されます。

 これに関して、きょうのニュースで、参院自民党の中曽根会長の後任に溝手幹事長を充て、議長には山崎副議長を充てるという報道が出ました。これは、9年前と同じ清和会官邸主導の「清和会・平成研・宏池会3派による中曽根外し」の構図です。中曽根外しで扇議長を首相主導で決めた翌年の郵政民営化法案で中曽根一派が造反にまわり、参院で否決し、衆院が解散される郵政政局につながりました。この9~8年前の自民党内政局は、衆院大勝ですべてかき消されましたが、今回は参院自民党内でうっぷんがたまるかもしれません。

 安倍首相は内閣改造を12月に先送りすることを表明しました。参院選で努力した閣僚適齢期のベテラン、中堅に不満がつのる可能性もあります。

 第23回参院選で当選した新人は64人(元衆院議員含む)。参議院は、衆の半分の定数、半数改選なので、新人は少なく、衆院のときのように、全国の県域のテレビ、新聞の東京支社も詰めかけてのにぎやかなものにはなりません。ここ数回は、スマイル党党首マック赤坂元候補が当選していないのに、初登院するパフォーマンスをみせて、結果的にスポーツ紙でイチバン大きく掲載されることがあります。このようなエピソードもまた、参院と衆院の違いを知る材料になると思い、紹介しました。

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第23回参院選開票 自民党は公明党の協力でねじれ解消 民主党大敗、支持者が党内リベラル否定

2013年07月22日 06時26分55秒 | 第23回参院選(2013年7月)二番底

 こちらのNHKさんの第23回参院選をうけた参議院の新勢力図があまりに秀逸なのでお借りしてしまいました。

[民主党は17議席の惨敗]

 2013年(平成25年)7月21日(日)投開票された第23回参議院議員通常選挙。

 民主党は17議席にとどまり、1人区は全敗しました。

 比例票も12年ぶりに1000万票台を割りました。

[参議院新勢力は、自民党が公明党の助力で過半数にとどまる]

 自民党が115議席で、公明党の20議席とあわせて過半数を確保。

 民主党は59議席。引き続き、衆議院議員より参議院議員の方が多いという極めて珍しい党体制が向こう3年間、続きます。

 みんなの党は18議席、日本維新の会が9議席。「み維」は議席数が「衆参ねじれ」となりましたが、自公で過半数を維持しているため、参議院みんなの党のキャスチングボートは喪失する見通し。

 日本共産党が11議席、社民党が3議席、生活の党が2議席、新党改革が1議席、沖縄社会大衆党が1議席、無所属3議席(平野達男さん、山本太郎さん、非改選で元国民新党の浜田和幸さん)という新勢力図になりました。

 民主党は17議席を獲得したため、2019年まで第2会派を維持することが確実になりました。2016年の第1会派奪還は絶望。まあ、6~10年ぶりに安定した参議院が復活するかも。

[比例代表では、6産別を含めて7人が当選] 

 民主党は比例代表で、電力総連(関電労組)新人、自動車総連(日産労連)新人が当選。

 6年前に候補を立てなかった電機連合が東芝労組新人を擁立し、連合会長・民主党選対委員長の応援もあり当選し、裏表2名の比例代表議員を確保。

 自治労現職、日教組現職、情報労連現職の3人の女性現職が議席を保ちました。その一方、UAゼンセン現職、JP労組新人、基幹労連現職の3人が落選しました。ただ、非改選に、ゼンセン、JP労組の組織内現職が残り、基幹労連と協力関係にあるJAMの現職が残ることになり、候補者を擁立した産別の声はすべて国会に届くようになりました。

[自民党は平成元年以来の単独過半数は及ばず、小渕内閣後期の体制に戻る]

 平成元年の宇野首相(自民党総裁)橋本幹事長時代に自民党が失った参院単独過半数は遠く及ばなかったものの、公明党との連立で衆参とも過半数をとることに成功しました。これは小渕恵三内閣がつくった体制に戻ったことになります。

[自公は民主党に3党協議の継続を求める見通し]

 一方、選挙前に麻生副総理がG20で「来年4月の消費税増税は3党合意でやっていく」と述べ、2012年6月の社会保障と税の一体改革3党による自民党・公明党・民主党の3党協議を続けるよう呼びかけました。自民党が参院単独過半数に及ばなかったことから、公明党は3党合意の継続を求めると考えられます。

[民主党とみんなの党の行革2党連携は継続も]

 みんなの党が神奈川選挙区で松沢成文さん、埼玉選挙区で行田邦子さんが当選を決めたこともあり、衆院側で続いていた、民主党とみんなの党による行革路線について、衆院の民主党実力者はより一層、大胆にすすめることが可能になったと考えられます。ただし、衆参とも法案可決に及ばないことから、3年間はのれんに腕押しになりそうです。

[新進党勢は堅調で、たいせつにしたい「小川勝也ってどこから来たの?」という原点]

 阪神大震災後の1995年の参院選で低投票率(44・50%)になり「創価学会による創価学会の選挙」と言われました。2013年の参院選も東日本大震災後最初の参院選だったことから同じく「政治への無力感」がありましたが、それでも投票率52・61%。多くの政策が語られるようになりました。対立軸があいまいでかみ合わなくても政策が語られるようになったことが進歩です。この過程で、多くの有権者の声が国会議員・政党に吸い上げられました。

 1995年の参院選では、東京選挙区で学会・旧自民党・連合の3者が一本化して擁立した新進党公認の新人だった魚住裕一郎さんが引き続き、公明党比例代表として議席を獲得しました。私は21歳だったけど、新進党東京11区総支部から派遣されて「夜に選挙事務所の2階の奥でやる会議」にも参加していたんですよ(^_^)v

 民主党にとって原点と言えるのは北海道選挙区の小川勝也元防衛副大臣です。1995年参院選、32歳の新進党公認の新人であった鳩山邦夫議員前秘書の小川勝也さん。テレビニュースで、あの広い北海道で、街頭演説会場に、はちまき姿で自転車でかけつける小川候補。こちら東京・魚住陣営では、「この小川っていうのはどこから来たの?」との声が上がりました。「広い北海道で自転車でどこから来たのか」と「あんなに若くて、ポスターを貼るだけでも大変な北海道で野党第1党の公認で出られる小川っていうのはどこから来たの?」。二世ではない小川さんがあの広い北海道で立候補できる、チャンスが得られる。それが新進党の原点。



[写真]出陣式の小川勝也さん、2013年7月4日(木)、小川さんフェイスブックから。

 公明党の魚住さん、民主党の小川さんの4選。「小川っていうのはどこから来たの?」という32歳の青年に北の大地で思いっきり羽ばたける機会を与えることは自民党にはできません。

 さらに、昨年末にも、民主党が創価学会からいくばくかの友情票を得て小選挙区を勝ち抜いた衆院議員が多い選挙区で勝ちました。千葉選挙区の長浜博行さんらがそうだろうと推測できます。羽田ファミリー、羽田雄一郎さんが長野で。そして、新潟選挙区で風間直樹元外務政務官、静岡選挙区で榛葉賀津也元防衛副大臣さんら保守系議員が当選しました。2010年の改選と加えて参院でも保守系議員が増えました。民主党の進む道は、リベラルでも護憲でもありません。国民が民主党に穏健なる保守いつでも自民党に代わって天皇陛下をお守りできる政権担当可能な政党を求めていることが歴然としました。

[電力総連が唯一の「ゼロ打ち当確」で、民主党結党の母、笹森元連合会長の弔いを果たす]

 笹森清さんが亡くなって初めての参院選でした。NHKは民主党全国比例でゼロ打ち当確を1人だけ打ちました。新人の浜野喜史さんです。電力総連・関電労組です。笹森さんの後輩です。電力総連のみなさんのこのすさまじく壮絶な2年半に思いをいたしながら、浜野さんの当選にフクシマ・フィフティに限らず、ずべての電力供給に関わる働く仲間のみなさんに敬服します。

[「細川・羽田内閣の志」「新進党・社保税3党合意」「民主党と連合の関係」「非自民反共産」の4つの井戸]

 「小川勝也ってどこから来たの?」という細川・羽田内閣の志を引き継ぐとともに、3党合意につながる新進党の枠組みを大事にしている候補者、県連。

 笹森清さんがつくってくれた、民主党と連合の関係をしっかり守ろうとした人。

 細川・羽田内閣の志。

 新進党=社会保障と税の3党合意。

 民主党と連合の関係。

 そして、田辺誠さんら社会党政権構想研究会や山岸章初代連合会長の「非自民反共産」。

 この4つの井戸を守った人は当選しました。

[海江田代表は続投を表明、細野幹事長は辞任の方向]

 
[写真]テレビ局開票特番のインタビューに答える海江田代表、2013年7月21日午後10時半、民主党本部内開票センター、筆者撮影。

 海江田万里代表は続投を表明しました。一方、細野豪志幹事長は東京選挙区の調整失敗について「責任を取る」と述べ、辞任する意向を示唆しました。


[写真]テレビ各局の開票特番出演の合間に、うなだれたような表情を見せた細野幹事長、2013年7月21日午後9時半、筆者撮影。

 今回の参院選は、昔とは比べものにならないくらい政策本位の選挙になりました。また、インターネット選挙運動解禁で、ツイッターを中心に、有権者の政策認識が多く発信されました。「3・11」原発事故後に官邸周りで仕事をした議員が、生き急いでいます。しかし、民主党のためには、官邸周りにいた議員には向こう3年以上は、テレビに映らないで、環境委や経産委の現場で汗をかいてもらいたいと、私はのぞみます。とくに細野さんは福島原発廃炉までを見届けるという長い人生計画をもってほしいところです。

 野党というのは、本質的には、何もできないのです。「チェック」と「政権準備」に専心すべし。

[輿石会長は続投、副議長、幹事長・国対委員長人事が焦点、会長交代論が出た場合は、前田議員が担がれる見通し] 

 一方、輿石東参議院議員会長は来年6月~8月まで任期があります。参院幹事長が落選、参院国対委員長が引退したため、後継人事に着手します。もともと、幹事長・国対委員長は1年交代です。ただ、保守系議員が増えたため、会長交代を求める声や、副議長人事をめぐって駆け引きがある可能性があります。仮に会長交代論が出る場合は、前田武志さんが担がれるとみられます。

[3年間の臥薪嘗胆、頻繁に上京するような総支部長はいらない]

 引き続き、参院議員の方が人数が多い政党でありつづけますが、今あげた3点を守る衆院総支部長が200人以上いれば、次の衆院選で一気に政権復帰もありえます。そして、元議員たちは、現議員に対してえらそうなことを行ったり、頻繁に上京したりしないでいただきたい。 現議員は今以上に大胆にみんなの党、生活の党、日本維新の会の若輩議員を議員立法に誘っていいでしょう。抵抗野党もときには必要です。社会保障制度改革国民会議が不誠実な対応をしたら、3党合意破棄をちらつかせてもいいでしょう。そして、ほんのちょっとばかり現議員にお願いしたいのは、少なくとも衆院総支部長200人がある程度、「有権者に説明できるかどうか」ということを片隅に入れながら、国会対応して欲しいということです。

 一方、創価学会が強い近畿圏では、民主党は1人区・複数区とも全敗し、統一地方選に向けて、組織の底が抜けてしまった府県連もでてくるでしょう。ここは、やはり極めて厳しい状況になりました。私自身が考えていた枠組みが正しかったことの証明ですが、近畿圏の危機的状況は極めて残念です。

[2015年4月12日の第18回藤一地方選に向けて]

 2015年4月12日(日)と思われる第18回統一地方選の前半戦(知事、県議など)、26日(日)と思われる後半戦(市長、市議など)となります。前半戦では現職県議の確実な再選がカギ。後半戦では、市議、区議、町議、村議は、公認・推薦新人の一定数の擁立がカギになります。人材供給源である「国会議員公設秘書」の人数がさらに減るため少数精鋭になります。

[第47回衆院選での政権交代は可能だ]

 この後、2016年7月~12月の可能性が高い第47回衆院選と、2016年7月の第24回参院選への対応になります。第47回衆院選では、単独過半数が可能な、250以上の小選挙区候補者擁立が絶対必須条件。とくにここで一気に政権再交代の可能性があります。

 いずれにしろ、それぞれの立場で、ていねいに日常個別訪問を重ねていき逆風のときに足腰が強い後援者づくりが必要になります。首長選では、公務員が加盟している労働組合の声に一定以上の配慮が必要です。 

[党がまとまるのが第一だが、もはや「リベラル」ではない、党支持者から「リベラル」が完全に否定された日]

 無党派層の支持があまりないのに当選した民主党の17議員は、当然にして、民主党支持層や、組合員をしっかりまとめた人です。このうち、日教組、自治労の2議員は護憲の声をくみ上げているかも知れません。しかし、残り15議員を見てハッキリ言えるのは、それは「穏健なる保守系」であることです。

 いわば、2013年7月21日というのは、民主党内で「リベラル」が完全に否定された歴史的な日です。リベラルなどという言葉を使う者は、大学教員職でも探せばいいのです。もはやリベラルではない。

 また、私の長年のセオリー「景気が良いと与党が勝つ」が実証されました。アベノミクスは信任されました。経済対策はあまり国会での法案審査はありませんから、正社員からパートまでの働き方に関して国会審議を充実させていくべきです。それと、規制緩和は、各種団体の物心両面の支援を受ける自民党ではできません。総理の国会議事録を取り続け、3年後に言行不一致をつけばいいのです。

[これだけの大敗でも、私は20年来の持論にかえって自信を深めました] 

 ハッキリ言います。

 私・宮崎信行が20年間考え続けた野党第1党の枠組みは正しかったことが証明されました。

 これからは、しかっりと衆参とも肉付けしていく3年間にしたいと考えています。

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