宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。

[院の構成]参議院副議長に輿石東さん選出へ 自民党会長に謝罪 日教組出身は3人目に

2013年07月31日 15時12分58秒 | 第184臨時国会(2013年8月)黄金の3年間

 2日の本会議で、輿石東さん(民主党・新緑風会、山梨)が参議院副議長に選出される見通しとなりました。輿石氏が、参議院自民党の溝手会長や、脇雅史幹事長に過去の行いを謝罪したため、脇さんらが容認しました。

 日教組選出の参議院副議長は、民主党立党以来3人目。

 1998年就任の菅野久光(すがの・ひさみつ、北海道)さん、2001年就任の本岡昭次さん(兵庫)についで3人目で、輿石さんが議員任期満了の2016年まで副議長をすると、立党以来18年のうち9年間は、日教組出身の民主党副議長ということになってしまいそうです。

 なお、他の3年間の副議長は、弁護士出身で社会党の角田義一さん。角田副議長が不祥事で辞任したあとは、旧民社党旧新進党の今泉昭さん(UAゼンセン)が副議長をしました。6年間の議長は、旧社民連旧新進党の江田五月さん、旧自民党旧新進党の西岡武男さん、旧民社党旧新進党の平田健二さん(UAゼンセン)と、旧新進党3人衆が務めました。しかし、第2会派転落にともない、副議長を再び社会党・日教組に取り戻されてしまった格好で先祖返りとなりました。

 ちなみに、民主党結党前の新進党出身の副議長は旧自民党旧新生党の松尾官平(まつお・かんぺい)先生が務めていました。統一会派「平成会」出身でした。

 民主党立党以来の参議院議院会長は、初代の菅野久光さん、本岡昭次さん、久保亘さん(鹿児島、副総理、元社会党書記長)と3代連続で日教組出身者が務めました。その後、弁護士の角田義一会長が就任。副議長昇格にともない、幹事長で旧自民党旧新生党の北澤俊美さんが昇格しかけたところで、クーデターが起こり、現在まで社会党(社民連含む)支配が続いています。立党以来、自民党出身者、民社党出身者の会長すらいない世論との乖離が民主党・新緑風会を支配しています。

 とはいえ、輿石会長も、6年間の参院第1会派時代に、新進党勢を議長にすえ続けたのは、人を見る目がありました。これに限れば、輿石先生に絶対評価でも相対評価でも「5」をあげましょう。

 参議院副議長室を、18年中9年間、日教組が占拠するというお寒い実態になりました。

 教職員給与の据え置き法案などが出ると、昔は日教組組合員が参議院委員室に大挙して傍聴し、審議未了廃案に追い込むよう参議院社会党にプレッシャーをかけたようです。

 参議院社会党の唯一の権力は、閣法を会期末に審議未了廃案に追い込むことだけですから。

 その政治運動の名残が、18年中9年間、参議院副議長室を占拠する状態を可能にしたのでしょう。運動の成果が実績につながっている、という面では、私は原理主義者なので、たんたんと輿石副議長を受け容れ、拍手を贈りたいところです。

 教職員には自律的労使関係を与えて、春闘に専念してもらい、その間に、ブラック企業対策などディーセント・ワークを求める労働者が国会を監視し、ディーセント・ワーク族を将来の副議長にしましょう。

 2日の本会議では、議長には自民党の山崎正昭さんが選出される予定。

 そして、輿石東議長は、先輩日教組議長が演じた次のような「奇策」はゼッタイにとってはいけません。反面教師として、心すべし。

国会会議録データベースから引用はじめ]

159 - 参 - 本会議 - 28号 平成16年06月05日

○副議長(本岡昭次君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 これにて本日は散会いたします。
   〔副議長退席〕
     ─────・─────
   〔議長着席〕

○議長(倉田寛之君) 先ほど副議長が散会を宣告いたしましたが、これは本院規則第八十二条の規定に反し、無効でありますので、会議を続けます。

[引用おわり] 

[お知らせ1 はじめ]

 「国会傍聴取材支援基金」を設けております。日本唯一の国会傍聴記にご協力ください。

 「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い

 ご協力ください。よろしくお願いします。

[おわり]

[お知らせ2 はじめ]

 会員制ブログで今後の政治日程とポイントを解説しています。

 今後の政治日程 by 下町の太陽

 最初の1ヶ月は無料で試し読みできます。お気軽にご登録ください。銀行振り込みにも対応しました。法人でもご購読いただけます。

[おわり]

[お知らせ3 はじめ]
 このブログは次の各ホームページを参照して、記事を作成しています。

最近の法律・条約(内閣法制局ホームページ)
衆議院議案(衆議院ホームページ) 
今国会情報(参議院ホームページ)
予算書・決算書データベース(財務省ホームページ)
衆議院インターネット審議中継
参議院インターネット審議中継
国会会議録検索システム(国立国会図書館ホームページ)
民主党ニュース(民主党ホームページ)goo 政治ニュース

[おわり]

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

万里、「総理になるのか」との質問に「私は自分が総理になりたいと言ったことは一度もありません」と答える

2013年07月31日 08時27分05秒 | 第184臨時国会(2013年8月)黄金の3年間

 民主党の海江田万里代表は2013年7月29日(月)、定例としては第23回参院選後初の記者会見にのぞみました。

 このなかで、筆者が「新聞に『私は総理大臣にならない』と周囲に語っていると報道があるが、総理大臣になる気はあるのか」とした質問に答えました。

 「総理というのは、自分がなりたくてギンギラギンにやってもなれるものでもないんですよ、これは。私は「総理というものは自分がなりたくてなれるものではない」というのは昔からの考え方です。その意味では私は自分が総理になりたいと言ったことは一度もありません」

 と語りました。

<iframe width="640" height="360" src="http://www.youtube.com/embed/gOh8pU0WgbY?feature=player_embedded" frameborder="0" allowfullscreen></iframe>

 昔からの考え方として「総理というものは自分がなりたくてなれるものではない」というのは真理です。しかし、時代は大きく変わり、二大政党党首のどちらを総理大臣にするかは、国民の衆院選での最大の選択肢となっています。

 「私は自分が総理になりたいと言ったことは一度もありません」というのは、いつでも首相の座をうかがう、自民党内の石破幹事長、甘利経財相らの作法であり、実際、政治ジャーナリストによる、政局講演では、安倍首相の体調をうかがわせる最新情報を盛り込むのが定番となっています。

 私たち民主党員がこれから、3年間の党再建のけわしくも、楽しい登山に出るときに、ネクスト総理がこのような認識でいいのでしょうか。

 私たちが、しっかりと、この人なら国民の過半数から総理として認められるという人物をネクスト総理(代表)にすえて、全国を引き回し、総理にふさわしい顔につくりあげていく。

 中国共産党の長征は、英語では、ロング・マーチと呼ぶそうです。海江田代表は1年後、第18回統一地方選の備えができるまでの続投を表明しています。それまでに私たちは、将来の総理を選ぶ目をやしなわなければなりません。

[お知らせ1 はじめ


 「海江田万里」のGoogle検索による当ブログ訪問が、摩訶不思議なことに全くないこともありますが、とにかく我が党代表(ネクスト総理)の発信力を高めるために、今までは「海江田代表、」「民主代表、」などとしていた記事見出し(エントリーのタイトル)をダメで元々の思いで、今後は「万里、」として親しみやすさをアピールしていこうと思います。
[おわり]

[お知らせ2 はじめ]


「国会傍聴取材支援基金」を設けております。日本唯一の国会傍聴記にご協力ください。


 「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い

 ご協力ください。よろしくお願いします。

[おわり]

[お知らせ3 はじめ]

 会員制ブログで今後の政治日程とポイントを解説しています。

 今後の政治日程 by 下町の太陽

 最初の1ヶ月は無料で試し読みできます。お気軽にご登録ください。銀行振り込みにも対応しました。法人でもご購読いただけます。

[おわり]

[お知らせ4 はじめ]
 このブログは次の各ホームページを参照して、記事を作成しています。

最近の法律・条約(内閣法制局ホームページ)
衆議院議案(衆議院ホームページ) 
今国会情報(参議院ホームページ)
予算書・決算書データベース(財務省ホームページ)
衆議院インターネット審議中継
参議院インターネット審議中継
国会会議録検索システム(国立国会図書館ホームページ)
民主党ニュース(民主党ホームページ)goo 政治ニュース

[おわり]

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

陛下、詔書を発布 第184回臨時国会は2013年8月2日(金)、東京で召集

2013年07月31日 07時13分40秒 | 第184臨時国会(2013年8月)黄金の3年間

[写真]先の通常国会の開会式でおことばを述べられる陛下、宮内庁ホームページから。

 天皇陛下は詔書を発布され、第184臨時会(第184回臨時国会)を2013年8月2日(金)、東京に召集されました。これは憲法第7条、国会法第1条にくわえて、国会法第2条の3にもとづきます。




 「参議院議員の通常選挙が行われたときは、その任期が始まる日から30日以内に臨時会を召集しなければならない」とあり、7月29日(月)から30日以内に国会を召集しなければならないという、いわば立憲主義に陛下がしばられており、詔書を発布されたことになります。

 ところで、「東京に召集する」とはどういう意味でしょうか。

 先の通常国会で、民主党の大西健介さんが次のような質疑を、鬼塚誠・衆議院事務総長とかわしています。

 「国会の召集詔書を見ると、○月○日に国会の常会を東京に召集するというふうに書いてありますけれども、東京以外での召集というのが理論上可能かどうかについて確認をさせてください

 「帝国議会時代ではございますが、実例はございますし、東京を別の都道府県にかえるということは、当然、可能でございます。ただ、東京で開く場合におきましては、例えば立川で開くとか、そういうことについて検討の対象になるかと思いますが、国会議事堂という、議会として活動するための施設がございますので、東京で開くということにつきましては、当然、国会議事堂で開くということになるんじゃないかとは思います。」(衆・決算行政監視委員会第一分科会 2013年6月21日(金))

 このように、鬼塚事務総長は、東京以外での国会召集は可能だとしながらも、「東京で開く」とは「国会議事堂で開く」という意味だとの認識を示しています。

 実は、東京を首都とする法律はありません。

 陛下のあまりにも偉大な曾祖父、明治天皇が1868年7月17日に、「江戸は(略)よろしく親臨以てその政を視るべし。よって自今江戸を称して東京とせん、これ朕の海内一家、東西同視する所以なり」との詔書を発布されています。これは、京を西(京都)と東(東京)を同一視し、江戸で政治をする、という意味にとれます。正直、あいまいで解釈は分かりませんが、このように陛下が江戸に引っ越され、王政復古後の政治をなさるために、「江戸を東京とせん」とおっしゃったことから、遷都したと考えられています。この最大の理由は、籠から、人力車・馬車など車輪の時代に応じた都市計画は、京都・大阪(大阪)では狭いので、土地が広い江戸・東京に移すという経済計画が念頭にあったと考えられます。(参考文献・土岐寛『東京問題の政治学』) 。

 このように法律にないことを、官僚が解釈する官治政治が日本で続き、現行憲法でも、各府省の活動を国会が歳出額でしばる「予算」を天皇陛下が公布しないのに、 官僚が自民党内閣のお墨付きで国民をしばる「政令」は天皇陛下が公布している現状にも引き継がれています。

 選挙があっても、国会を開かないような国は世界にはまだまだたくさんあります。

 しかし、私たちは、普段気にしていなくても、なかば「自動的」に、選挙後の国会を天皇陛下が詔書という実に透明な格好で、誰でも読めるインターネット官報で掲示しています。召集詔書は一人一人の国会議員に配布されず、官報への掲示で、配布したことになります。

 この国民が陛下すらしばるという立憲主義を守りながら、官僚が安倍内閣を通じて陛下を利用して政令などで国民をしばる官治政治を打破する。政治を国民の手に取り戻す。

 それができるのは、自民党と民主党の二大政党だけです。そして、野党として党再建のための黄金の3年間にのぞむ、民主党国会議員、民主党員の一人当たりの重荷はもっとも重くなったと自覚しなければなりません。 

このエントリーの tags 

[お知らせ1 はじめ]

<iframe src="https://fansfans.jp/item/blogparts_new?type=iframe&item_id=18259&blogparts_type=normal&blogparts_default_view=comment" frameborder="0" scrolling="no"></iframe>

[おわり]

[お知らせ2 はじめ]

 「国会傍聴取材支援基金」を設けております。日本唯一の国会傍聴記にご協力ください。

 「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い

 ご協力ください。よろしくお願いします。

[おわり]

[お知らせ3 はじめ]

 会員制ブログで今後の政治日程とポイントを解説しています。

 今後の政治日程 by 下町の太陽

 最初の1ヶ月は無料で試し読みできます。お気軽にご登録ください。銀行振り込みにも対応しました。法人でもご購読いただけます。

[おわり]

[お知らせ4 はじめ]
 このブログは次の各ホームページを参照して、記事を作成しています。

最近の法律・条約(内閣法制局ホームページ)
衆議院議案(衆議院ホームページ) 
今国会情報(参議院ホームページ)
予算書・決算書データベース(財務省ホームページ)
衆議院インターネット審議中継
参議院インターネット審議中継
国会会議録検索システム(国立国会図書館ホームページ)
民主党ニュース(民主党ホームページ)goo 政治ニュース

[お知らせ3 おわり]

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする