宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。

衆・北朝鮮拉致問題特別委が閉会中審査 拉致家族に加えて特定失踪者家族も

2013年07月26日 23時59分42秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

(このエントリーの初投稿日時は2013年7月27日(土)午前6時からバックデート)

[画像]参考人として意見を述べる、横田早紀江さん、2013年7月26日(金)、衆・北朝鮮拉致問題特別委、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。

【衆・北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会 閉会中審査 2013年7月26日(金)】 

 衆・拉致問題特別委の閉会中審査が第1委員室を使って行われました。

 これは先の通常国会の会期末処理で、山本拓委員長が

 「次に、閉会中審査におきまして、参考人より意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人の出席を求めることとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。なお、先ほどの理事会において、閉会中、参考人質疑を行うこととなりましたので、委員各位の御出席をお願いいたします本日は、これにて散会いたします。」 

 と語っていました。一応、私はネット中継でリアルでキャッチできていましたが、この50分後には、参議院で議長不信任案と首相問責決議案の採決に入っており、リアルにキャッチできた報道関係者は他にいないと考えます。そして参院選が実質スタートしているのに、あとで会議録をチェックする人もいないでしょう。このような会期末の情報過多は、もっと分散する方向性にしてほしいところです。 

 閉会中審査では、参考人が意見を述べて、各党が質問。

 自民党の竹本直一・筆頭理事の質問に横田早紀江さんが答えて「育て方が悪いから、めぐみは出ていったのかな、と思うこともあった」と語りました。横田滋さんは、当初は新潟県議会しか取り上げてくれなかったけれども、その後、全国的に活動になってけれども、就職活動生などが何か悪い影響があると困ると署名を拒むようなことがあったとしました。

 
[画像]横田滋さん。

 竹本さんは、生前のダニエル・イノウエ上院議員から「アメリカ政府は拉致の情報をつかんでいたが、日本政府は『さわがないで欲しい』と言ってきた」と聞いたとのエピソードを披露。私もそうだろうと推測します。警察キャリアは8割が公安畑ですが、当時入省した若手がすでに警察庁長官の年次を超えており、公安警察は抜本的に反省し、出直すべきではないでしょうか。

 新潟・佐渡島を選挙区に持つ、民主党の鷲尾英一郎さんは「(拉致被害者家族だけでなく)特定失踪者家族が国会で発言するのは初めてだ」として、今後もこのような取り組みをしていきたいとしました。ただ、委員長に「通常国会中に開いて欲しかった」と議事日程に注文を付けました。

 この後、維新の会が質問に立ったので、衆院で維新の会が第3会派だったことを再認識しました。

 理事会決定にもとづき、自由質疑が行われました。自由質疑は、前の任期の衆院科学技術・イノベーション特別委員会や憲法審査会で定着してきた手法です。きょうは第1委員室だったので、議員席にマイクがないのですが、挙手した議員が委員長から指名されると、衆・委員部職員からワイヤレスマイクを渡されて発言するという珍しいシーンがありました。


[画像]ワイヤレスマイクで自席から発言する高木毅さん。

[画像]ワイヤレスマイクで自席から発言する高木毅さん。

 真っ先に質疑したのは、福井県の高木毅さん。

 高木さんは衆・議運委委員長代理理事で、第184臨時国会で正式に委員長に昇格する見通し。議運委員長になる前に、委員会で発言しようという意気込みもあったのだと思いますが、このように、第1委員室でワイヤレスマイクで、自席から発言するというのは、初めてではないでしょうか。

 英国議会の本会議場や日本の第1委員(会)室に似たつくりですが、議長が指名した政府外議員に縦横に設置されたワイヤーマイクをその議員の顔の前に垂らすという作業をします。

 きょうのように、職員が議員にワイヤレスマイクを渡す方式なら、システム改修費もかからないでしょう。

 衆参とも分館の委員室は自席にマイクがあります。

 このように歴史の流れの中、永田町・霞が関もどんどん変わらないと、生き残れません。インターネット選挙運動解禁であまり参院選は変わらなかったとの分析、報道がされていますが、刺激を与える、触媒になったことは確かなようです。

 高木さんも議運委員長になると、他の委員会で発言する機会はないでしょうが、議会改革、まずは衆議院のホームページに「民主党の次の内閣」の名簿を載せるというところから、改革に着手してほしいとお願いしたいところです。

 政治では「冷却期間」を置くのは人間どうしなので有効ですが、「先送り」はもうこれからはゼッタイに許されません。 

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大畠章宏幹事長が就任 ディーセント・ワーク(まともな働き方)の民主党を目指せ!

2013年07月26日 20時42分39秒 | 第184臨時国会(2013年8月)黄金の3年間

[写真]大畠章宏・民主党幹事長、民主党ホームページから。

 民主党は2013年7月26日(金)、第23回参院選敗北を受けた両院議員総会を開き、海江田万里代表は新しい幹事長に大畠章宏さんを提案し、了承を得ました。

 大畠章宏さんは連続当選8回の衆院議員。日立市を含む茨城5区選出で、日立労組出身。大畠さんの日立労組は、電機連合で、連合の古賀伸明会長と同じ産別。よく間違われますが、電力総連とはまったく別の産別。第23回参院選では東芝グループ労組の石上俊雄さんが当選して、この日の両院議員総会で紹介されました。加藤敏幸・選対委員長は三菱電機労組。このように、重電中心に見えますが、古賀会長は家電のパナソニック労組。もともと連合結成の元になった中立労連系で、旧同盟系、旧総評系とは別。大畠さんは1990年初当選で、輿石東衆院議員(当時)と同期。1996年民主党結成の際の基本政策は「社会党から輿石、大畠、さきがけから簗瀬進、五十嵐文彦の4人でつくった」(参院民主党首脳)としており、輿石さんが参院副議長などに転出した場合に、輿石亜流を執行部に残そうという思惑も見て取れます。

 ただ、大畠さんはバランス感覚がよく、必ずしも輿石直系ではないので、ディーセント・ワーク(ましな働き方)実現に向けて、民主党と連合のパートナーシップの再構築に期待できます。

 大畠さんは労組出身では珍しいかなりの高学歴ファミリーです。大畠さんは次男ですが、兄は百貨店の重役で本店長をつとめた「エリートサラリーマン兄弟」。大畠さんの奥さんはお茶の水女子大大学院修了で、茨城県内の大学の教授。奥さんのお兄さんは東京芸術大学大学院修了の日本画家で、その奥さんは日本女子大大学院修了の某女子大教授という、「大学院」ファミリーです。

 このように、1990年初当選の連続当選8回は、民主党衆院議員では三権の長経験者の菅直人さん、横路孝弘さんの11期に続いてベテランになります。岡田さんも同期で、1998年の民主党で初めて同じ党になりました。

[画像]政治改革について質疑する岡田克也さん(質疑者席)を腕組みして眺める大畠章宏・民主党幹事長(向かって右側)。向かって左側は、広野ただし・生活の党副代表(参院議員)、岡田かつやホームページ国会論戦ビデオハイライト、1994年10月19日、政治改革調査特別委員会からキャプチャ。

 連合会長と同じ産別の民主党幹事長。


[画像]民主党本部、2013年7月26日、筆者撮影。

[画像]連合本部、2013年7月26日、筆者撮影。

 民主党と連合は親密になって、ディーセント・ワーク(まともな働き方)を正社員、非正規雇用者ができるように、第185回秋の臨時国会からしっかりとチェックしなければなりません。

 きょうの両院議員総会では、福山哲郎さんから「岡田さんが代表の時、あの郵政選挙でも、政党名では(2480万票)結党以来最多得票だったのに、岡田さんは辞めた」と語り、海江田代表の辞任を要求。若手、中堅から、執行部総退陣や、代表選や代表予備選の実施の要求がでました。しかし、海江田代表が1年後をめどとして党再建を図りたいとしました。1年後というのは、2015年4月の第18回統一自治体選挙の候補者擁立のめどだとしました。衆院総支部長については、「各県連ごとに候補者(予定者)を公募して欲しい」とし、英労働党型の候補者公募システムを提案しました。

 中堅・若手からは執行部総退陣論が出たものの、「一致団結することが大事だ」との声が上回り、海江田続投が決まりました。なお、「解党して、野党再編すべきだ」という意見はまったく出ませんでした。

 

 この日の朝には、自民党政府がさっそく情報操作報道を開始。日経新聞1面で「解雇特区」の創設構想が浮上しました。これは「再就職奨励金」を払えばいつでも「金銭解決による解雇」ができる「解雇特区」を設けるという構想。特区は、東京、名古屋、大阪を指定し、そこに本社があれば、どこの支社でも金銭解決による解雇ができるという構想です。事実上、ほぼすべての大企業正社員がいつでも解雇できることになります。

 民主党は衆参野党第1党として、連合唯一のパートーナーとして、すべての働く者のための党として泰然自若としなければなりません。

[お知らせ1 はじめ]

 

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